新作はより多くの人に聴いてもらえてる
ーー新作は街がテーマにありながら、確かに生活を感じる内容になってますね。
福富:はい。そこは意識してやってみたくて。
ーー「DON’T WORRY BOYS」の“曜日に区切られた毎日がこれからずっと続くような気がして 参っちゃっているんだろう(和訳)”は、働いてるゆえのフレーズですか?
福富:いえいえ、これはそんなつもりじゃなくて(笑)。幼稚園くらいから思ってた「ずっと続くやん!」みたいな、あの気持ちです。
福田:幼稚園!? 早っ! そのときからこんなふうに思ってたん? すごいな(笑)。
石田:ねー、あははは!
畳野:まぁ「学校行くの嫌やな〜」って気持ちはわかる。
ーー「ANOTHER NEW YEAR」でも“仕事”というワードがあったりします。
福富:出してなかったモンを出すっていうよりかは、状況がそうなって自然と出てきてる感じですね。
ーー発売から2週間くらい経ちましたが、新作の反響はどう受け止めてますか?(※取材日は5月末)
福富:ちゃんと広がってる感じがします。
畳野:聴いてくれてる範囲が、前作よりもグッとね。いろんな人たちに届いてて、歌詞やライナーノーツ、中面の絵とかにも触れた上で、Homecomingsらしさ、曲の雰囲気をちゃんと掴んでくれてる。
福富:僕、タワーレコードで働いてるんですけど、女子高生がたくさん買ってくれたり、若い子が予約してくれたりするのはやっぱり嬉しい!
ーー洋楽のマーケットが決して良いと言える状況ではない中、Homecomingsの英語の曲を好む若いリスナーがじわじわ増えてる印象はあります。しかも、ディテールをちゃん汲んで。
畳野:ありがたいですね。
福富:洋楽へのきっかけになれたら、なお最高だし!
ーー自分たちの音楽を海外に広めたいですか? それとも、国内で浸透してほしい思いのほうが強い?
福富:海外進出をめちゃくちゃ目標にしてるわけではないですね。日本国内があってのもので、「その中で僕らが提示するのはこういう音楽です」というスタンスでやってます。
歌詞も見てほしいってのは、声を大にして言いたい!
ーーHomecomingsの曲って、歌詞の和訳を読んで聴くとかなり印象が変わりますよね。
福富:そうなんですよ。さっき話に出ましたけど、CDの作りにもこだわってて、盤面とケース裏の絵が繋がってたり、ライナーや和訳を入れてたり、それがひとつの楽しみ方の提示になってます。音源だけじゃなくて、その全部を含めて作品だと思ってるので。
ーーサウンドを切り口に紹介されることが多いと思うんですけど、音のあーだこーだで終始しちゃうのはすごくもったいないなって。特に今作は、バンドが提示する楽しみにまで手を伸ばしてほしい完成度になってるから。
福富:その見方もなくなってきましたけどね、やっと。確かに、ずーっと「“ギターポップ”と言われるのがちょっと……」って思いはあって。でも、前作からはジャンルで括られないようにしてるというか、もはや括れるようなことだけをひとつのアルバムでやってるわけじゃないんですよ。
畳野:自分たちで歌詞をアピールするようになったしね。「HURTS」のMVがデカかったんです。字幕を入れてみたら和訳を気に入ってくれる人が多くて、あれでガッと掴んだ感じがある。曲を聴いて和訳を読む、っていう流れが自然とできたというか。『Somehow, Somewhere』から和訳を書くようにしてて、「HURTS」(1stシングル/2015年7月リリース)で完成されたものが書けたので読んでもらいたくて、MVに字幕で入れました。映画みたいな雰囲気も出したくて、ちょうどいいタイミングだなと。
ーー歌詞も見てほしいですよね。見てこそ、広がりや深みを増す。そんな楽曲が揃ったアルバムだと思うから。
畳野:本当にそうですね。いや〜、それはもう声を大にして言いたい! もちろん、サウンドも自信はありますけど。
ーー新作で自信がある部分を、具体的に聞いてもいいですか?
福富:やっぱりジャケットとかを含めて、自分らが今やりたかったことがすべて形にできた点ですね。全体でひとつの世界を表わせたところ。
畳野:私も同じになっちゃうんですけど、パッと見たときのジャケットから中身の作りまで納得いくものができたのは嬉しくて。曲に関しても、出来上がって並べてみるときれいにまとまってて、13曲がアルバムらしく聴けると思いますね。その中でピアノを入れるとか、前回までやってなかったことも自然にできてるし。
石田:だから、これまで聴いてきてくれた人たちに対しても、ちゃんと前に進んでるっていうのを伝えられるよね。サウンドのアプローチも、歌詞の内容も、ジャケットもさらに凝ったものになって、Homecomingsらしさがギュッと詰まってると思います。
福田:最初から最後まで通して全部がいいアルバムって、あまりないじゃないですか。飛ばしたいなとか、次の曲に早く行きたいって大抵はなっちゃう。でも、自分で言うのもアレなんですけど、『SALE OF BROKEN DREAMS』は順番に聴いていきたいし、いろんな曲があって飽きずに楽しめる気がします。
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