あれはミュウツー差別だし、GOMESS差別
――自分を「エイリアン」と名乗る場面を良く見かけるのですが、今でも自分をエイリアンだと感じることはありますか。
もともと、エイリアンというのは小学生のときに、虐められたときのアダ名なんですよ。だから、自分が名乗らなければもう言われないんですけど、今は。
でも、好きですよ。エイリアンというフレーズは。すごく良い加減な言葉だな、みたいな。”地球外生命体”みたいなニュアンスで使うじゃないですか。なんか…、すごいご都合主義な、日本人にはすごく扱いやすい言葉で。そういう、”差別”とか(について考えること)が好きで。そういう、人間の思想が。好きっていうか、良くないことだとは思ってますけど、面白いなあ、って。
――高校生ラップ選手権で、在日韓国人のラッパーを相手に、「差別は絶対にしない」とラップしていたのを憶えているのですが、GOMESSさんは差別は、やはりしませんか。
「俺は絶対にしない」って言い切ったやつですよね。差別にも、意図的な差別と、自然にしてしまう差別ってあるじゃないですか。だからある程度はしょうがないと思っていて。”区別”と”差別”の違いは、区別は自然と行っているもので、差別は、差を見極めてしているものだと思うんですね。差を見てしているもの。諸説はあると思うんですけど、僕はそうだと思ってて。だから、区別はしていると思うけど、差別は絶対にしないっていう。
――GOMESSさんの名前の元になっている『ウルトラQ』の、怪獣ゴメスが出てくる回を観たのですが、寂しい、独特な終わり方ですよね。※『ウルトラQ』の劇中では、人間に目覚めさせられたゴメスが地上に出てきて暴れるが、ある少年によって目覚めさせられたリトラという別の鳥型の怪獣によって倒される。物語のラストは、怪獣二匹の相討ちで終わってしまう。
あれは見方次第で。…ポケモンGOのCM映像って、Youtubeに上がってるんですけど、観たことありますか? 三分くらいのショートムービでめちゃくちゃ完成度高いんですよ。めっちゃかっこ良いんですよ。ちゃんとストーリーがあって。「ポケモンGOやってみたい」って思えるような動画なんですけど。最後の最後、街中のみんなが、こう…、携帯に、「緊急指令、緊急指令、ミュウツーを捕獲せよ」って出るんですよ。で、ミュウツーが街にいるんですよ。みんなのポケモンが一斉にミュウツーを攻撃して、ミュウツーを最後捕まえて、「やったー」って盛り上がって、ポケモンGOの映像は終わるんですよ。
すごいかっこ良い映像なんですけど。『ウルトラQ』と同じ気持で、「ミュウツーなにしたんだろう」みたいな…。わからないですけど、ミュウツーは強そうだし、なにか悪いことしたのかも知れないですけど、「ここまですることなのかなぁ…」と。ああいう映像を観るたびに、「やばいな」って思うんですよね。
――『ウルトラQ』にしても、『ポケモンGO』のCM映像にしても、そこには差別の源泉がある、とGOMESSさんは感じていますか。
本当にそう思いますよ。あれをやっている時点で、誰も差別うんぬん言えないでしょ、みたいな。あれはミュウツー差別だし、ゴメス差別だし。すごいですよ、ゴメスとリトラが逆だったら、ゴメスがヒーローですからね。リトラがなんらかの形で現れて人間を襲って、火を吹いて、その熱で目覚めさせられたゴメスが地中から現れて、リトラを倒したら、ゴメスがヒーロですよ。
――人間のこういう意識は無くなることはない、と思いますか。
一生ないと思います。一生、地球が続いて、人間が生き続けても、絶対に変わることはないと思いますね。変わることがあるとしたら、機械が人間を乗っ取る世界が来るとか。期待しているとしたら、そこですかね。コンピューターが暴走を起こして、人間より強くなったら、もしかしたら、人間たちの認識は変わるかもしれない。人間より強い生き物が出ないと変わらないと思いますね。
SHARE
Written by