話題の始球式や、生い立ち、音楽をはじめたきっかけについてインタビュー!
オーディションで12万組の頂点に立ち、15秒動画や始球式などでも話題のシンガーソングライター・足立佳奈が、4th シングル『チェンジっ!』をリリース。作詞作曲をいきものがかりの水野良樹が手がけた同曲は、テレビアニメ『レイトン ミステリー探偵社 〜カトリーのナゾトキファイル〜』のオープニングテーマに起用されている。「変化」をテーマにした明るいポップな楽曲は、等身大の足立佳奈がぎゅっと詰まった作品に仕上がった。本インタビューでは、楽曲に対する想いや「応援」をテーマに歌を歌う理由、さらには大好きな野球の話まで幅広く語ってもらい、そのまぶしい笑顔の秘密に迫った。
Interview & Text_Sotaro Yamada
Edit_Kenta Baba
ついに本日!!💭💕
4thシングル「チェンジっ!」
リリースです!!カップリングには、
私が作詞作曲した「いつも一緒に」も収録されてます!フルも配信スタートしているのでぜひチェックしてみてくださいっ😊 pic.twitter.com/HRYl1kVXsu
— 足立 佳奈 (@kana1014lm) 2018年5月29日
話題の始球式。実は反省点がいっぱい?
――始球式見ました。すごくないですか? あの投球(動画はこちら)。
足立 : いや全然です……ほんとにお恥ずかしくて……反省しています。コースは良かったと思うんですけど、あそこでワンバンさせてしまうとは……。あのマウンドの高さに慣れていないから距離感がうまくつかめなかったのかもしれないです。一本足で立った時に、足が震えちゃったんです。だからすごくタメてから投げました。ランナーがいたら走られてるだろうなって思いながら。
――あのタメがむしろ堂々としていて、投げ慣れている感じがしましたけどね。しかも身体の芯が全然ブレてなかったし。
足立 : 野球経験はあったけどピッチャーは初めてだったので、いろんな反省がありました。むかし野球をしていた時は、セカンドとファーストを守っていて。
――ああ、だからランナーに走られることが気になるんですね(笑)。始球式後のコメントが素敵でした。ふつうなら「うれしかった!」とかで終わるのに、足立さんは「ワンバンしたからこそ付いた、ボールのこの傷が一生の宝物になりました」って。ガチすぎる(笑)。
今日の始球式、
ノーバンで投げれなくて、
本当は、すごく悔しかったです。でも、
この甲子園という舞台で、
マウンドに立てるチャンスを頂けて。
ワンバンしたからこそ付いた、
ボールのこの傷が一生の宝物になりました。スタッフの皆様、
温かく応援して下さった皆様
ありがとうございました。 pic.twitter.com/S4MTrMoNDd— 足立 佳奈 (@kana1014lm) 2018年5月3日
足立 : ノーバンで投げた人はあの時のいろんな気持ちを忘れちゃうと思うんですよね。きれいな状態のボールをいただいておうちに飾るより、ひとつ傷が残っていた方が、きっと一生忘れられない思い出になる。
――あのコメントは完全にプレイヤーのコメントでしたね。「高校野球最後の夏」みたいでした。
足立 : やっぱりバッターに打席に立たれると緊張しちゃいます。ピッチャーの経験があればいろんなコースが見えてたのかもしれないけど、ひとつのコースしか見えなくなってしまって。ストライクを入れることしか考えられなくなった。結果、ワンバンさせてボールゾーンに投げてしまったし。
――でも内角低めに沈む良い球でしたよ。
足立 : いや〜全然だめでした。でもありがとうございます。甲子園という場所でみなさんの前で投げられたことは、わたしにとって宝物です。
――解説をしていた八木裕さんが、驚きすぎて会話をぶった切って「この人すごい!」って言ってましたからね。足立さんは「代打の神様・八木を興奮させたシンガーソングライター」ですよ。
足立 : そうなんですか! うれしいです……。
もし女子野球部があれば……
――もし、女子高校野球があったら、そのまま野球を続けていましたか?
足立 : もちろんやっていました。中学の時に野球部には入れないと言われて、それでソフトボールに転向したんです。あの時、もし女子が受け入れられていたら、いまでも野球を続けていたと思います。たぶん歌は趣味くらいで、こういうふうにはなっていなかった。小学生の頃は、将来女子プロ野球選手になることを考えて、野球ができる関西の高校を見学しに行ったこともあるんです。
――じゃあ本当にリアルな夢だったんですね。ところで、足立さんは岐阜出身なのに巨人ファンですよね。
足立 : 気付いた時には巨人を応援していました。うちはお兄ちゃんとお母さんが中日ファンなんですけど、おじいちゃんが巨人ファンだったから、その影響があるのかも。わたし、おじいちゃんおばあちゃんっ子なんです。中日対巨人の日は、わたしとおじいちゃんだけ別の部屋でテレビを見て応援していました。
――でも始球式は阪神の試合でしたね(笑)。
足立 : そうですね(笑)。でも現役の時の金本さんが大好きだったので嬉しかったです。始球式が終わってわたしが退場するまで、金本さんはずっと拍手をしてくださっていてたんです。めちゃくちゃ感動しました。
――好きな選手はいますか?
足立 : 今は監督になられましたけど、わたしはずっと高橋由伸さんが選手時代から大好きなんです。ホームランを打つ時の男気あるワイルドな感じが好きで、おじいちゃんといつもテレビを観て盛り上がっていました。女子目線で見ても、お顔がいちばんタイプなんです。ドラフト会議にスカウト陣を連れて登場する時なんか、ふだん見ないカッチリしたスーツ姿にキュンとしたり。巨人のインスタもフォローしてるんですけど、オフの時の笑顔の写真や、勝った試合のあとに更新されるハイタッチの写真も素敵です。憧れの存在ですね。
「音楽は、いつもそばにいる」
――ちょっと野球の話で盛り上がりすぎたので(笑)、そろそろ音楽のことを聞きますね。足立さんの曲は、誰かを応援していることが多いですよね。やはり「応援」にはこだわりがあるんでしょうか。
足立 : ありますね。同世代の水泳の池江璃花子選手のレースを見てすごく刺激を受けたんです。わたしはもうアスリートになれないけど、彼らに応援歌を届けることはできるし、それは素敵なことなんじゃないかと思って。選手の方々とお話していると、「あ、自分と同じなんだな」と思うことがあります。あんなに素晴らしい選手たちでも、わたしたちと同じように落ち込んだり悔しがったり、心細くなったりしているんですね。そのことに気付いた時に、曲をつくりたい、そう思ったんです。自分もスポーツをやっていたからこそわかる気持ちもありますし。自分の想いと誰かの想いが同じだと感じた時、曲をつくりたくなるんです。だからわたしの曲は、基本的に自分の経験をもとに書いています。
――初めてそういうふうに思ったのはいつでしたか?
足立 : 小学4年生の頃でした。好きな人がいて、彼もわたしのことを好きなのかもしれない、って感じたことがあって。その時「これは歌にして伝えるべきだ」って思ったんです。あの時は告白ソングだったから応援ソングとは少し違うけど、想いが繋がった瞬間に歌いたいと思うんです。それは小学生の頃から変わっていないと思います。その恋は結局実りませんでしたが……(笑)。
――そういった「想いが繋がった瞬間」に音楽に向かうようになったのは、なぜだと思いますか。
足立 : きっと、音楽の先生の影響だと思います。当時はずっと男の子たちと野球をやっていたので、まわりの女の子たちとうまくいかなくなったことがありました。
――それはつらいですね……。
足立 : つらかったし、「わたしって、ひとりなのか」と感じていました。その時に音楽の先生が「音楽はいつもそばにいる」って言ってくださったんです。たしかに、ショッピングモールに行っても音楽が鳴っているし、学校の下校の時間にもチャイムが鳴っているし、音楽っていつもすぐそばにありますよね。そう考えたら、自分はひとりじゃないって思えるようになったんです。その時から音楽に向かう時間が多くなりました。スポーツが大好きだったけど、それと同じくらい音楽が好きになって、いまは音楽のほうをさらに好きになりました。
――すばらしい先生ですね。
足立 : すばらしいですよね。先生が音楽の素晴らしさを気付かせてくれました。中学校の音楽の先生もすごく素敵な人で、そういったすばらしい先生たちに恵まれていたからこそ、音楽に向き合うことができたんだと思います。
「『チェンジっ!』は、いまの等身大の想いが詰まっている」
――『チェンジっ!』のMVには、野球のバッティングのシーンがあります。あれ、本当に打っているらしいですね。
(足立佳奈『チェンジっ!』MV)
足立 : 沖縄で撮影したんですけど、生きた球を打つのは久しぶりだったし、自分の野球レベルも小学生で止まっていたのでガチガチになってしまいました。やっぱり1球では仕留められずに何度もカットしちゃって。ようやく打てた1打がMVでは使われています。
――作詞作曲はいきものがかりの水野良樹さんが手がけられていますが、自分らしい曲に仕上がったと思いますか?
足立 : はい、何度かやりとりさせていただいて曲を仕上げていったので、自分らしいし、テレビアニメ『レイトン ミステリー探偵社 〜カトリーのナゾトキファイル〜』のオープニングテーマとしてぴったりで素敵だと思いました。主人公のカトリーは、まさにこの歌詞みたいな元気な子なんです。しかもカトリーとわたしは似ている部分が多くて。だから『チェンジっ!』は、いまのわたしの等身大の想いが詰まっています。
――カトリーと似ている部分というのは、具体的にはどんなところでしょう?
足立 : もっと輝きたいしもっと頑張りたいけど、世の中そんなに甘くないから壁に当たっているところ。ぐらぐらゆれてる想いと、壁を越えてがむしゃらに頑張ろうという想いが、いまのわたしにぴったりだと思います。
――なるほど。曲調もすごく明るくて、足立さんのキャラクターに合っていますよね。実際の足立さんもずっと笑顔だし、ニコニコしてない瞬間がほとんどない。
足立 : 頭のネジがゆるんでるのかも(笑)。いつも口が空いてるって言われます……。
「なりたい自分といまの自分が、同じところにいる感覚」
――ずっと笑顔の人って、逆に素の部分では案外根暗だよ、みたいな方もいるかと思いますが、足立さんはどちらのタイプでしょうか?
足立 : ステージで歌っている自分は素直な自分でもあるけど、なりたい憧れの自分でもあります。実際には落ち込んだり暗い気持ちになったりもするけど、表に出た時にそういう自分を見せるよりなりたい自分、笑顔で明るい自分でいた方が良いかなって。笑顔の輪って、誰かひとりが笑顔でいればどんどん広がっていくから、それはわたしにもできることなんじゃないかと思って始めました。
――なるほど。
足立 : なりたい自分といまの自分、それらがちょうど同じところにいる、という感じでしょうか。小学生の頃はつらい経験があったので、あんまり人を信用していなかったかもしれません。小さい子って、よく「わたしたち友だちだよね!」とか言うじゃないですか。それすら怖くて言えなくて。でもこの世界に入ってもうすぐ1年、スタッフのみなさんが本当に優しいし、ファンの方がとってもあったかくて。こんなに人ってあったかいんだな、わたしがいても良い場所があるんだ、って思えるようになったんです。だからいまずっと笑顔なんだと思います。
――いまの話は、足立さんの笑顔の秘密を解き明かすうえで重要な話ですね。ちなみに、これまでいちばん悲しかったことは何でしたか?
足立 : うーん……、思いつかないですね。なんだかんだ言ってもすごく楽しく毎日を過ごしてきたし、環境にも恵まれていました。近所のおじいちゃんおばあちゃんまでめちゃくちゃ優しかったし。愛にあふれた環境だったんです。
――地元にはコミュニティがあるんですか?
足立 : めちゃくちゃあります。みんなが家族みたいな感じで。みんなわたしのことを知っているので、学校からの帰り道では近所のみんなに「ただいまー」って言いながら家に着くみたいな。
――昭和の下町みたいですね。
足立 : 朝ドラでよく見るような光景がほんとにあります。だから、ヘルメットかぶらないで自転車に乗るとすぐバレるんですよ(笑)。家に着く頃にはもうお母さんが知ってる。悪いことはできない環境ですね。
これからなりたい姿は、考えて、見つけていく。
――足立さんは音楽だけでなく、役者としても飛躍しそうです。TBSドラマ『チア☆ダン』に出演することが発表されましたね。注目度の高いドラマだし、若手の有望役者を総動員したようなキャスティングも話題です。
足立 : 『チア☆ダン』のメンバーは、似たような境遇にいて共感し合えるメンバーが多いです。たとえば伊原六花(いはら・りっか)ちゃんとか。六花はバブリーダンスで出てきて、世の中では「バブリーの子ね」っていう認識ですよね。わたしもキムチの15秒動画があったので「キムチの子ね」と言われる。置かれた状況が近いから、自然と仲良くなりましたね。
――なるほど。歌もやって役者もやって、どんどん輝いていきそうですが、これから足立さんはどんなアーティストを目指しますか?
足立 : それについて最近すごく考えてます。最近、ある人に「佳奈ちゃんにとって人生の目的ってなに?」って聞かれたんです。「武道館でライブをやりたい」と言ったら、「それは目標でしょ? まず目的があって、それを達成させるために目標を立てるんだよ」と教えてもらって。それからずっと、自分の目的って何だろうって考えてるんです。
――本質的な問いですね。
足立 : わたしにいまできるのはピアノとギターで、それらはこれからもきっと磨いていける。だから、アンジェラ・アキさんのようなピアノを弾けるアーティストになりたいし、井上苑子さんやmiwaさんのようにギターを弾けるアーティストになりたい。そして、大原櫻子さんのように女優さんのお仕事もできて、その女優さんという仕事のなかで歌を歌える藤原さくらさんのような人になりたい。いまはマイク1本で歌うことが多いけど、今後はピアノとギターを演奏して、わたしの想いを、その想いのまま音楽で伝えられる人になりたいですね。ってまとまりが全くないですが(笑)、これからの理想も、今後まだまだ見つけていきたいです。
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