トレモノ × 古着屋。夜のシティクルーズへ。
音楽と古着って、似てる気がする。積み重なる時間と共に味わいが増していく感じとか、聞く人や着る人によって別の意味を持つ感じとか。1曲(1着)がつくられた背景とは別の軸で、聞く人着る人の文化や思いがそこに積み重ねられて、物語が紡がれて行く感じが、とても似ている気がする。そして古着屋さんは、店主の視点をもとに、世界中から集められた古着たちが集まる場所。バラバラだった物語が、店主のまなざしで紡がれる場所なのだ。
トレモノの音楽って、とても「古着屋的」なんじゃないかなって思う。奇遇にもメンバーの木田龍良(Gt.&Vo.)は、過去に古着屋で働いていた経歴があるんだとか。まずはこの曲を聴いてみよう。
トレモノ – 『Orange’s Star』
基調となっているのはレゲェだけれど、ソウルやスカなどの要素もあり、トレモノがジャンルを横断的に解釈しているのが分かる。まさに音楽の歴史が一曲につめ込まれているわけだ。他の楽曲を聴いてもそれは言える。
そんな「古着屋的」な音を鳴らすトレモノと、東京の古着屋を夜に回ってみよう考えた。目まぐるしさでは世界トップクラスの東京だけど、トレモノとお店を巡っていると、そこが別のどこかであるような感覚にとらわれる。スローで、心地よくて、可能ならばもう数店舗ぐらい一緒に回りたかった。
一軒目。原宿「Strato」
原宿キャットストリート沿いにある、シンプルな店構えのStrato。けれども、その中身は実にディープ。象徴するモチーフがあるわけではないけれど、音楽への愛情がヒシヒシと伝わってきた。店名の「Strato」という名前も、遊びで買ったストラトキャスターに由来するという。
トレモノ、物色開始。
「昔はこういう赤いのを着ていたので、また着てみるのも良いですね」と語るのは、ギターの難波良。居酒屋経営者としての顔も持つ彼には、独特の雰囲気がある。あらかじめアイテムを決めて、というよりは直感に頼ってラックに手を伸ばしてみる。出会い頭の楽しみがあるのは古着屋巡りの最たる楽しさ。
「柄物よりシンプルなのが気になりますね。オーバーサイズでシャツインしたい。普段は渋い色が多いです。ステージでは、もう少し目立ちたいので派手なのを着ます」。木田龍良のささやかな主張である。確かに柄物のイメージが強いが、どうやらそこには小さじ一杯分の積極性があったらしい。
この好みがアッチコッチに行く感じ、まさしくトレモノの音楽そのものである。ファッションしかり、音楽しかり、良い意味で「浮気症」だ。語り口は終始柔らかだったけれど、彼の芯の強さを垣間見たような気がして嬉しかった。
Strato
東京都渋谷区神宮前 3-20-5iNOUEビル1F
<公式サイト>
http://strato-shopping.com/
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