フジロック2019回想録あの夏よもう一度〜前夜祭 &Day1〜

トム・ヨーク

『Tomorrow’s Modern Boxes』（トム・ヨークが2014年にリリースした2ndソロアルバム）と銘打たれているものの、セットリストの内容は『ANIMA』にとどまらずAtoms For Peace（トム・ヨーク、ナイジェル・ゴドリッチ、Red Hot Chili Peppersのフリーが中心となって2013年に結成されたスーパーバンド）の曲も含まれていました。この日ステージに立ったのは、トム・ヨークとナイジェル・ゴドリッチに加えて、オランダのビジュアル・アーティスト、タリク・バリ。彼の存在は本当にデカかった…。VJが一般化してしばらく経っており、「半端なビジュアライズならばむしろ不要」と辛らつな意見も飛び交う昨今、彼がスクリーンに映す映像の完成度たるや格が違いました。凄まじいスケールの抽象的な世界観。
フジロック 2019

「Not the News」や「Traffic」、「Twist」…。終盤のたたみかけるようなパフォーマンスの後ろで、深海に生息する生物のように揺らめく映像。疲れ切った体でユラユラ踊りながら体感してましたが、途中からは夢遊病にかかったような心地でした。まるで高熱が出たときに見る夢。Chemical Brothersのスーパーレイヴタイムによって我が体は使い古した雑巾のような有り様でしたが、そのコンディションでこそ観るべきステージだったかもしれません。