【2. 上弦の参のエピソード(18巻)】
今(2019年11月3日現在)出ている最新のコミックスは17巻だけど、週刊連載派である僕の2つ目の推しシーンは18巻に収録されるはず。まだ単行本化されていない、最新刊の次に描かれるエピソード。完全にネタバレが含まれるので、以下の文字色が変わっている部分は、既読の方もしくはネタバレOKの方だけお読みください。
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8巻は、最初の推しシーンで紹介した煉獄さんですら倒せなかった鬼・上弦(じょうげん)の参のエピソード。「十二鬼月(じゅうにきづき)」という、鬼舞辻無惨が選別した最強の鬼が12体いて、彼らは強い順に「上弦(じょうげん)」の6鬼と「下弦(かげん)」の6鬼に別れています。なかでも、上弦の参を預かる猗窩座(あかざ)は、純粋な強さを求めて至高の領域に到達することを望んでいる鬼、いうなれば格闘家です。
では、なぜ猗窩座は格闘家を目指し、鬼になったのか?
子供の頃の彼は、やむにやまれぬきっかけで罪人になり、街を追われてしまいました。流れた先で、武術道場を運営している慶蔵という男に出会います。そして自分の道場に来ないかと誘われます。彼は慶蔵の弟子として稽古を受け、病弱な慶蔵の娘の看病をして過ごすようになります。そうして初めて人に恋をし、愛を知るわけです。
しかし幸せは長く続きませんでした。隣の道場の者が井戸に毒を入れ、慶蔵と娘を殺してしまうんです。物凄い悲しみのなか、猗窩座は鍛え上げた技で犯人たちを皆殺しにします。
そのタイミングで、この世のすべての鬼をつくっている鬼舞辻無惨(きぶつじ・むざん)という、一千年以上前に生まれた最初の鬼(つまりラスボス)に出会い、鬼になってしまうんです。そうして人間だった頃の記憶を失い、強さだけを求めるようになる。
このエピソードの描き込みが素晴らしい。『鬼滅の刃』の登場人物のなかで、僕はこの猗窩座というキャラクターをいちばん推しています。
【3. 上弦の壱のエピソード(連載中)】
3つ目は、現在ジャンプで連載中のシーン。
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連載では、鬼殺隊と十二鬼月が全面戦争しています。そのうちの、最強の十二鬼月である「上弦の壱」を預かる黒死牟(こくしぼう)との戦い、彼にまつわるエピソード、回想シーンが本当に素晴らしいんです。あぁ、泣ける!!! めちゃめちゃ泣ける!!!!
これだけでも感動してしまうのに、主人公側のメンバーもこの戦いで2人、死んでしまうんですよね……いや、この部分を語るだけでも一晩以上かかる……。
『鬼滅の刃』は、完璧すぎる漫画
……熱くなって語りすぎてしまった。漫画の事を話し出すとトランス状態になってしまいます。数えたらここまでで7000字近くありました(笑)。ネタバレ防止で文字色変えてるからほとんど読めないしね。めちゃめちゃ空白の多い縦長の記事になってると思いますが、その長い空白に僕の情熱が詰まってると思っていただければありがたいです。
とにかく、すべてのキャラクターが魅力的で、エピソードのつくり方がめちゃくちゃうまいんです。伏線と思わせない伏線が数々散りばめられていて、その回収の仕方も素晴らしい。なぜ彼らは鬼になり、あるいは鬼殺隊になったのか。そしてなぜ今ここでこの死に至るのか。そういったことを描くのが本当にうまいんです。
この漫画には、生まれつきの極悪人がいません。現実の世界もそうですよね。やっぱり何にしろ理由があるし、悪になるまでのエピソードが必ずある。
もうひとつ、『鬼滅の刃』からは、作者の漫画愛がひしひしと伝わってきます。主人公たちの怪我がなかなか治らないことにも、作者が抱いている他の漫画に対するアンチテーゼが読み取れる気がします。きっとこの作者には、確固たる自分の漫画感があるんです。それを王道のフォーマットに乗せてやれてしまうことが本当にカッコ良い。
要約すると、『鬼滅の刃』は完璧な漫画、ってことです。
福永的『鬼滅の刃』名セリフ3選
最後に、『鬼滅の刃』の名セリフを3つ厳選して、初回の連載を締めたいと思います。
1. 「なぜ自分が人よりも強く生まれたのかわかりますか」
8巻掲載
2. 「胸を張って生きろ」
8巻掲載
3. 「あ゛あ゛あ゛あ゛頼む神様 どうかどうか 弟を連れて行かないでくれ お願いだ」
週刊少年ジャンプ2019年47号掲載
どれも思い出すだけで泣ける……!!!
最後に、雨のパレードの最新アルバム『BORDERLESS』が2020年1月22日にリリースされることが発表されたばかりなのに、一切その話をしないことに痺れを切らしたレーベルスタッフから一言・・・・
「“無限列車”ばりに止まらぬ福永のマンガ語り!!鬼は滅せど、マンガ愛は不滅!」
※次回は松本大洋さんの『ピンポン』を予定しています。お楽しみに!
ファンの方が“鬼滅の刃”風に福永浩平を書いてくれたイラストを紹介!
鬼滅の刃っぽい雨のパレード
浩平先生 @kohei__33 pic.twitter.com/CWSfXdumd7— ペトリ (@pet_ri_chor) September 27, 2019
▲ペトリさん ありがとうございました!(福永)
次回、“ピンポン”風福永浩平のイラストも大募集!Twitterで #雨のパレード #漫画deトランス #meetia をつけてイラスト画像と共に投稿してください♪ドシドシお待ちしております!
今回マンガを語った場所は……
新宿ゴールデン街の「bar 図書室」さん!
店主ののんさんがセレクトした漫画がずらりと並ぶ、図書室をイメージしたbar。漫画好きはもちろんですが、店内に並んでいるのはほとんどが1、2巻なので、漫画初心者でもOK。気になる漫画を片手に、美味しいお酒と楽しい漫画トークが楽しめます。住所:東京都新宿区歌舞伎町1-1-10 2F
店主のんさんのTwitter
https://twitter.com/nobinobi_nontan
福永浩平(雨のパレード)
3人組バンド「雨のパレード」の中心人物であり、コンポーザー。
柔軟な音楽観、クールなビジュアルとは裏腹に真っ直ぐでエモーショナルなメロディー、繊細な歌詞が国内外で高い評価を受ける。大きな変革期を迎えたアジアの音楽シーンにおいて、新時代を切り拓く可能性を秘めた重要人物。漫画や映画などのサブカルチャーラヴァーの側面も。オフィシャルサイト
http://amenoparade.com/
https://twitter.com/kohei__33
https://www.instagram.com/kohei33/
YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC4Jg3VEaN4ObWljygDbtwFg
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