最新作「ファイアーエムブレム 風花雪月」が発売。ファイアーエムブレムシリーズを振り返る
2019年7月26日、ある名作シリーズの最新作が発売された。
「ファイアーエムブレム」
同シリーズは、ゲーム史に名を残す、シミュレーションRPG(碁盤目状にマスが用意されたマップの上を敵味方両軍のユニットが交互に移動・戦闘し、相手軍の全滅や拠点の制圧を狙うタイプのロールプレイングゲーム)の金字塔だ。それと同時にジャンルの草分け的存在でもある。今回のゲームコラムでは、来年がアニバーサリーイヤーとなるファイアーエムブレムの30年を振り返る。
ファイアーエムブレムの歴史
記念すべき第1作「ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣」OP
ファイアーエムブレム(以下、FE)シリーズの歴史は1990年、第1作「ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣」から始まった。1990年はファミリーコンピュータ(以下、FC)の後継ハードであるスーパーファミコン(以下、SFC)が発売された年。ドラゴンクエスト4やファイナルファンタジー3、スーパーマリオワールドなどと発売年をともにする。(ほかにも魍魎戦記MADARAやドクターマリオ、ウィザードリィ3、ロックマン3などが発売されている。今振り返れば大豊作の年だ。)まだシミュレーションRPGというジャンルが確立されていない時代に産み落とされた渾身の意欲作だった。
2年後の92年には、既存のシステムは残しつつ、クラスチェンジ(一定レベルに達することで、別の特性を持つユニットへと転じられるシステム)の要素に自由度を持たせた「ファイアーエムブレム 外伝」がFCで発売。新シリーズながら約30万本を記録した前作と同等の本数を売り上げ、同シリーズが人気シリーズとなっていく礎を作った。さらに2年後の94年には、第1作のリメイクと新シナリオを追加した「ファイアーエムブレム 紋章の謎」がSFCで発売。同タイトルには、シリーズで初めて支援効果(特定のユニット同士をマップ上で隣接させると、能力に上方修正がかかるシステム)が実装され、このシステムは、以後のシミュレーションRPG作品に軒並み取り入れられる同ジャンルの基本システムとなった。
「ファイアーエムブレム 聖戦の系譜」はシリーズ史上屈指の名作と名高い
さらに2年後の96年には、4年ぶりの完全新作となる「ファイアーエムブレム 聖戦の系譜」がSFCで発売された。シリーズ初の恋愛システムが実装された同タイトルは、恋愛関係になったユニット同士から子どもが生まれ、その子世代を中心に後半のストーリーが展開されていく。それまでのRPGでは前例の少ない、親子2世代によるドラマティックなシナリオも評価される理由のひとつとなっている。恋愛システムの対象となるユニットは複数おり、どのユニット同士が恋愛関係となるかはプレイ内容次第だ。生まれた子世代の能力は両親に依存するため、組み合わせを考えるキャラメイクの自由度もあった。こうした画期的な取り組みとドラマティックな展開は、今日まで続くシリーズの大きな特長ともなっている。
「ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡」。ハードの進化によるOP映像の変遷もみどころ
その後は、前作「聖戦の系譜」の外伝的な位置づけであるSFC「ファイアーエムブレム トラキア776」(99年)、ゲームボーイアドバンス3部作としても語られる「ファイアーエムブレム 封印の剣」(02年)「ファイアーエムブレム 烈火の炎」(03年)「ファイアーエムブレム 聖魔の光石」(04年)、据え置きハードに回帰してゲームキューブで発売されたシリーズ15周年記念作品「ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡」(05年)、前作「蒼炎の軌跡」の正統続編であるWii「ファイアーエムブレム 暁の女神」(07年)、5年ぶりの発売で話題を呼び、第3次とも言える現代ファイアーエムブレムシリーズの基礎をつくった3DS「ファイアーエムブレム 覚醒」(12年)、シリーズ初の複数バージョン同時発売となった3DS「ファイアーエムブレム if」(15年)、今夏Switchで発売された最新作「ファイアーエムブレム 風花雪月」と続く。
ファミコンにはじまり、スーパーファミコン、ゲームボーイアドバンス、ゲームキューブ、Wii、3DS、Switchと、任天堂ハードを渡り歩いてきた同シリーズ。安定した売上本数からは、30年の歴史の中で魅了してきた熱狂的なファンの存在も窺えるだろう。家庭用ハードに向けて発売されたオリジナルタイトルは13作、もちろんそのどれもが名作と呼べる内容で相応の評価も受けてきた。「覚醒」以降のタイトルは世界中で販売されており、日本以上の売上本数を記録している点も知っておきたい。
「シミュレーションRPGの歴史は、FEとともにあった」そう言っても過言ではない一大シリーズが、FEなのだ。
「ファイアーエムブレム 覚醒」からは最多の3キャラがスマブラに参戦
なお、シリーズに登場したキャラの一部は、大乱闘スマッシュブラザーズシリーズにも参加している。マルス(暗黒竜と光の剣)、ロイ(封印の剣)、アイク(蒼炎の軌跡)、クロム(覚醒)、ルキナ(同)、ルフレ(同)、カムイ(if)らが同シリーズからの参戦であることは、意外と知られていない。
SHARE
Written by