ルーツはボカロP。n-bunaが放つ青春ポップユニット『ヨルシカ』の魅力
2010年ごろから聞かれるようになった「ボカロP」ということば。近年のシーンでは、そこにルーツを持つクリエイターもよく見かけるようになりました。前回紹介した「ずっと真夜中でいいのに。」、その制作にかかわるぬゆりも、ボカロPとしての活動をルーツとするクリエイターのひとり。動画文化の中心がニコニコ動画からYouTubeへと移ったことで、以前は区別されていたサブカルチャーとポップカルチャーの境目も曖昧なものになり、アングラだった音楽もぼくたちの耳にバイアスなく届くようになりました。YouTubeのプラットフォーム内では、すべてのコンテンツが再生回数という軸で同列に評価されています。
ヨルシカというミュージシャンの名前を聞いたことがあるでしょうか?彼らもまた、ボカロPとしての活動をルーツとしています。淡くほろ苦いファンタジックな世界観を真骨頂とするヨルシカ。今回はいま注目のミュージシャン、ヨルシカについて紹介します。
ヨルシカとはどんなミュージシャン?
ヨルシカは、ボカロPとして活動していたn-buna(ナブナ)が、交流のあったsuis(スイ)とともに結成したユニット。2017年に結成されました。バンドアレンジの曲が多いことからバンドだと勘違いされることも多い彼ら。正規のメンバーはn-bunaとsuisの2人だけであるため、ユニットと呼ぶのが正解のようです。楽曲のレコーディングやライブには、サポートメンバーとして下鶴光康(gt.)、キタニタツヤ(ba.)、Masack(dr.)が参加しています。
公式のバイオグラフィーにはn-bunaの活動歴が記載されていますが、2人のパーソナリティにかかわる部分については言及されていません。当然ながら2人の顔に関連する情報もなし。まだまだ秘密につつまれたユニットだと言えるでしょう。
ヨルシカの音楽とはいったいどのようなものなのでしょうか。過去、n-bunaはTwitterでこのように話しています。
ヨルシカについて、インタビューで二人組のバンドと書かれてたりしますが正確にはちょっとイメージが違って、
僕のしたい人間的な表現を、楽器やボーカルで形にしてもらったのがヨルシカだなと思います
言ってみればヨルシカという一つの作品があって、その下にアルバムや楽曲が枝分かれしてるような— ナブナn-buna (@nabuna2) 2017年6月27日
ボカロPというデジタルな文化をルーツとしながら、ヨルシカの活動では、ボーカロイドではなく生身の人間の声を起用し、アナログなアレンジで発信する。n-bunaのことばにもあるように、人間的な表現にこだわった制作の形がヨルシカなのかもしれません。
彼らが真骨頂とするのは、淡くほろ苦いファンタジックな世界観。オーソドックスなバンドアンサンブルという形態ながら、どこか懐かしさを感じる彼らの音楽は、アニメーションとの相性が抜群です。彼らのMVの多くは、「ヨルシカの音楽×アニメーション」という形で制作されているので、気になった方はぜひ観てみてください。この記事で紹介している曲以外にも魅力的な曲がたくさんあります。MVには字幕で歌詞も用意されているので、ヨルシカの世界に触れる入り口にもってこいでしょう。
2019年1月現在、YouTubeのチャンネル登録者数は約52万人。もっとも多く再生された『言って。』のMVは、2,400万回以上再生されています。現在進行形でファンの数を大きく増やしているヨルシカ。結成から2年足らずでこの支持なのですから、今後さらにシーンを席巻していくことが予想されています。
ヨルシカのディスコグラフィー
ヨルシカはこれまでにミニアルバムを2枚リリースしています。どちらもAmazonやタワーレコードなどで購入が可能です。いつか売り切れになってしまう可能性もあるため、気になる方は早めに購入しておいたほうが良いでしょう。この項では、ヨルシカの2枚のミニアルバムの情報を掲載します。
1stミニアルバム『夏草が邪魔をする』
<収録曲>
01.夏陰、ピアノを弾く
02.カトレア
03.言って。
04.あの夏に咲け
05.飛行
06.靴の花火
07.雲と幽霊
>全7曲
2ndミニアルバム『負け犬にアンコールはいらない』
<収録曲>
01.前世
02.負け犬にアンコールはいらない
03.爆弾魔
04.ヒッチコック
05.落下
06.準透明少年
07.ただ君に晴れ
08.冬眠
09.夏、バス停、君を待つ
>全9曲
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