まずは今回のハイライトをスペシャルムービーでどうぞ。
かつてエリック・クラプトンは、「ギターを弾くときはいつだって、初めて弾いた時の気持ちを忘れてはいけない」と言ったという。「THE COLLECTORS」の古市コータローと「GLIM SPANKY」亀本寛貴は、そんな初期衝動そのままに「ギタリスト」でありつづける二人だ。年齢は倍、キャリアは3倍違う二人でも、その情熱に差異は存在しない。時代を跨いでロックの波をおよぐ、ギタリストたちの初邂逅。
Photography_KOUSUKE MATSUKI
Movie_JUNYA OBA(HTP inc.)
text_RUI KONNO
Edit_YUICA SHIVA,ADO ISHINO(E inc.)
――お二人は今日が初対面だったんですね。
亀本寛貴(以下亀本) : はい。もうほんとに、初めてです。
古市コータロー(以下古市) : そうですね。でも、うちの息子がグリムスパンキーの大ファンで。今日も「サインもらってきて!」って言われました(笑)。
亀本 : 古市さんの息子さん、中学三年なんですね。僕のお母さんが古市さんと同世代だと思うんですよ。だからもっと大きいお子さんがいるのかと勝手に思っていました。
古市 : 亀本くん、’90年生まれくらいでしょ?
亀本 : ちょうど’90年です。
古市 : その時にはもう俺たちデビューしてるんだもんね、’87年デビューだからさ。亀本くんたちには俺が内田裕也さんみたいに見えてるのかな(笑)。
亀本 : いやいや(笑)。テレビ番組か何かの動画だったと思うんですけど、古市さんがリッケンバッカーに(アンプは)AC30を使ってて。もう音楽性がビジュアルからして滲み出ていて。持ってる楽器に出で立ち、出してる音すべてが1つになってるなあと思った記憶があります。
古市コータローさん@furuichikotaro が愛してやまないリッケンバッカーの魅力について語ったインタビューを始め、リッケンまみれの5月号は好評発売中! 写真は愛用の330FGを手にしたコータローさん! pic.twitter.com/W5R69y4fwD
— ギター・マガジン (@guitarmagazine1) 2015年4月20日
古市 : 当時は浮いてたよ。あの頃は音楽やってる人たちも渋谷系が全盛だったからね。爽やかでお父さんに紹介しやすそうな感じの人たちばっかりだった(笑)。
亀本 : (笑)。
古市 : 俺、個人的にグリムスパンキーがおもしろいなと思うのが、ルーツがわからないこと。俺と同世代とか上の人たちの音楽は聴くとだいたいわかるんですよ、何を聴いてきたのかが。どんなパンクな格好してても、曲を聴いたら“あ、メタル上がりか”とかね。でもグリムスパンキーはそういうのが一切わからないんだよね。そこが良かった。
亀本 : ありがとうございます。でも、最初からああいう音だったわけではなくて。僕、高校二年生からギターを始めたんですけど、それがGLAYとかを聴いて、格好いいな!ってところから始まっていて。僕自身はロックのロの字も知らなかったんですよ。とりあえずギターやってみようっていうぐらいで。ボーカルのレミさんは親がすごく音楽を好きだったから、家に音源がいっぱいあって。それで色々と貸してもらって聴くんですよね。ビートルズだツェッペリンだって。でも何がいいんだか全然わかんねぇやって思って。それでツタヤに行ってオアシスとかニルヴァーナを借りて聴いてもやっぱりよくわかんなくて。最初はそんな感じでした。
古市 : そうなんだ。
亀本 : でもギターマガジンとかを読んでると、そういうアーティストがたくさん出てくるじゃないですか? それで何回も繰り返して聴いてるうちに、あれ?なんかこれ格好いいかもって。それが18,9歳くらいで、そんなことを繰り返してるうちにだんだん当たり前になっちゃって。
古市 : よくインタビューでルーツは? とかって訊かれない? そういう時なんて答えるの?
亀本 : 演奏のスタイル的にはその頃に聴いてたジミヘン(ジミ・ヘンドリックス)とかジミー・ペイジとか、エリック・クラプトンとかの名前を挙げてるんですけど、始めたきっかけは?と訊かれたら「GLAYです」って答えてます。僕らがバンドを始めた時って、ギタリストが高いポジションにギターを構えてピロピロやってるのなんてほとんどいなかったから、ジミヘンとかジミー・ペイジを見て、これぐらいハイポジションにギターを構えて弾いてる方が逆におもしろいんじゃない?と思って。
古市 : おもしろいね。僕らの世代の三大ギタリストっていうとクラプトンとかジミー・ペイジとかだけど、今は普通だとジョン・フルシアンテとかでしょ?
亀本 : もちろんその辺も好きで聴くんですけど、今の音楽でも昔の匂いがちゃんとするものが好きだったりしますね。
古市 : 俺もグリムスパンキーはそんなにオールドロックなサウンドには聴こえてこなかったね。スタイル的にはクラシカルなものなんだろうけど、出てくるフレーズとかはそうじゃない。それがおもしろいんですよね。
――古市さんがグリムスパンキーを知られたのはいつ頃ですか?
古市 : 去年かな。うちの息子がスーパーフライも好きなんだけど、誰かに「スーパーフライが好きなら多分グリムスパンキーも好きだよ」って言われたんだよね。それで聴いてみたんですよ。それで息子にも紹介した(笑)。そしたらまんまとハマってましたね。
――新しいバンドだと普通はフロントマンから見がちですけど、お二人は違いますか?
古市 : やっぱりギターから見ちゃうね。
亀本 : 僕もそうですね。ギターばっかり見てしまう。
古市 : キャロル・キングを観に行ってもギターばっか見ちゃう(笑)。これはもう職業病ですよ。CDを聴いててもギターのリフばっか気になっちゃう。だからメロディー全然覚えらんないんですよ、本当に(笑)。マルチプレイヤーの人とかどういう風に音楽を聴いてるのか気になるね。
亀本 : 確かに。やっぱり自分の担当するところが気になっちゃいますもんね。
古市 : 歌もちゃんと聴いてるんだけどね(笑)。比重の問題だよね。
亀本 : あと、ギターが良いと、良い曲だと思っちゃいませんか?
古市 : あるある。ザ・スミスとかそうだもん。その逆もあるけど、それだとやっぱり聴く頻度は減っちゃうよね。やっぱりギターが良い方が良い(笑)。でもライブの後とかは逆にギターの入ってないものとかを聴くけどね。
――それはなぜですか?
古市 : クールダウンですよ。ずっとギターばっかり聴いてるとうるせぇよ! って思っちゃって(笑)。
亀本 : 僕、曲を作ろうとか、スタジオ前にリハがあるからしばらく弾いてなかった曲を思い出さなきゃ、っていうタイミングじゃないとあんまりギターを弾かなくて。
古市 : それ俺と同じだ。
亀本 : いつもギターを弾いてる人っているじゃないですか?あぁいう風にはならないですね。
古市 : 俺なんかライブ前のリハーサルがない時とかだと、ステージに出てその日初めてギター触るからね(笑)。
――ギターを何気なく弾いて曲を作ってく、っていう人も多いですけどね。
古市 : 素晴らしいよね、そういう方は(笑)。俺らは違うね。楽屋でもずっと弾いてる人とかいるもんね。
亀本 : いますね。そんなに弾いたら弦錆びちゃうよって思っちゃいます。僕、すぐ錆びちゃう派なんで。
古市 : ボク飽きちゃう派(笑)。同じ曲は1日1回がいいなぁって。
盛り上がりを見せる2人。ギターの話はさらに奥へ奥へ。SHARE
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