始まりは「美少女」、グサリとくる「歌」と「詞」、気がつけば「虜」
とても小さなYouTubeのサムネール。なのに、そのキャッチがササりました。「大体汗水たらしてエルメスなんてもう幻想でしょ」の長いひと言。思わずクリックしてしまったところから、綿めぐみワールドへの第一歩が始まります。華奢な美少女の登場が、まずはファーストインパクト。長い黒髪と白い肌、クリクリと大きな瞳が印象的です。やがて「忘れられない声質」「ゆるいと思いきやグサリとくる歌詞」「中毒性あるよね」などなど、同じ動画を見た人々のコメントに、しっかりうなずいてしまいます。生まれは香港、国籍は日本、性別は女性で趣味はアニメ鑑賞。はっきりしているのはそれだけ。だから「もっと知りたい」気持ちが募ります。聴いて調べて、調べて聴いて…それでもやっぱり、綿めぐみはとても謎、なまま。公式プロフィールには「インターネット育ち」と書かれていますが、もちろんバーチャルアイドルではありませんから、ご安心を。
注目の若手アーティストとして「タワレコメン」に選出。
インターネット上に彼女の最初の楽曲がアップロードされたのは、2014年7月でした。シンプルなのに刺激的な「災難だわ」というタイトルどおり、サラリとシニカルな歌詞とラップ調のサウンドが話題を呼びます。12月にはライブ会場、ウェブ通販限定などで同タイトルの1stアルバムをリリース、シンガーとしての活動が本格的に広がっていきます。2016年2月には、初めての全国流通盤となるミニアルバム「ブラインドマン」を発売。3月には新たに2曲を追加した「災難だわ(全国版)」と、まさに矢継ぎ早の展開です。タワーレコードのスタッフたちが注目の若手アーティストを選んで応援するスペシャルな企画「タワレコメン」にも選ばれて、一気にブレーク! の予感がヒシヒシ。そんな彼女の道筋を約2年かけて切り拓いてきたのが、プロデュースを担当するベンチャー系音楽レーベル「Tokyo Recordings」でした。
自由で力強く、挑戦的なプロモーション活動と楽曲作り。
Tokyo Recordingsは、スタッフ全員が平成生まれ。しなやかな発想力と力強い行動力が光ります。たとえば2ちゃんねるまとめサイト風の歌詞サイトや、「日本初の簡易VR(バーチャルリアリティ)ミュージックビデオ」を謳う「都会」のティザームービーなど、ユニークなプロモーション活動を展開してきました。もちろんクリエイターとしても、挑戦的な楽曲作りに取り組んでいます。「災難だわ」では、綿めぐみ自身のパーソナリティを表現していましたが、「ブラインドマン」では楽曲をドラマティックに構成、1枚のアルバムをひとつのテーマに沿ったストーリーにまとめ上げました。そこにいる綿めぐみはシンガーであると同時に、歌を通して物語を紡ぐ女優。Tokyo Recordingsは「ブラインドマン」で、彼女の隠されていた魅力を巧みに引き出した…と言えるかもしれません。
ふたつの「未知数」が、これからのお楽しみ!
これまでリリースされた2枚のアルバムを通して聞いていると、綿めぐみの歌声には、まだまだ隠された魅力がありそうです。感情を押し付けることなく、自然体で語るようにつないでいく歌い方も魅力的ですが、「ブラインドマン」や「恋が曖昧」などでは、同じフレーズを繰り返すリフレインとその余韻が色っぽくて艶やかで、思わずゾクゾクしてしまいます。さらに時には、歌声そのものが楽器のひとつになったかのように、ほかの音源と絡み合って美しいハーモニーを奏でることも。あるいは「モンキージョージ」のように、少し大人っぽいポップス調でも楽しませてくれたりして。綿めぐみは、いったいいくつの顔を持っているのでしょう…「美少女」「歌」「詩」という3つの天賦の才能とともに、Tokyo Recordingsの仲間たちと彼女自身が秘めたふたつの「未知数」が、綿めぐみにハマるイチバンの理由、と言えそうです。
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