ウェットな感情から焦燥感のある激情まで奏でるスリーピースバンドuri gagarnの聴きどころ
人類で初めて宇宙へ行ったのはユーリィ・ガガーリンでした。図らずも、語感の良さで決めたというバンド名がuri gagarnだったことにどこか運命的で神秘めいたものを感じます。熱を帯びた危うい演奏と遊び心のある叙事的な歌詞が合わさった曲。予定調和のないライブはまさにロックバンドです。
uri gagarnってどんなバンド?
uri gagarnは都内のインディーズシーンを中心に活動する3ピースバンドです。レーベルは自身で立ち上げたレーベル、aLPs。メンバーはギターボーカルを担当している写真の右、威文橋 (イブンキョウ)です。cpという名義でgroup_inouでもMCを担当していました。ベースは中央の英。2008年、バンドnhhmbaseを解散後、2009年にuri gagarnに加入しました。ドラムは写真左、川村です。英と同じく2008年のnhhmbase解散後、2009年にuri gagarnに加入。
昨年の4月にニューアルバムの「For」をリリースし、これまでには4枚のアルバム、2枚のシングル、さらにLOSTAGEとのスプリット7inchシングルをリリースしています。ファーストアルバムの名前はなんと「無題」。帯には想像の産物と書かれていたのでタイトル名を「想像の産物」と誤る人も多いようです。
過去にはSebadoh、Mineral、764-hero、The Messthetics(Members of Fugazi)等、海外のアーティストとも共演を果たしています。2016年にはFUJI ROCK FESTIVALのステージにも立ちました。「月刊ぼくら」と題した自主企画の対バンライブも開催しています。
YouTubeで人気のあるおすすめ楽曲を紹介します。
ファーストアルバムの「無題」より「Resistor」。囁くようなメロディと叫ぶサビが印象的です。サビとメロディの温度差はどこか暴力的で危うさを孕んでいます。見ていると感情が乱されるようなプレイはライブで味わうとより一層に魅力を感じられそうです。
3枚目のアルバム「my favorite skin」より「Doom」
簡単には分からない歌詞も彼らの持ち味です。
行間を残すことによって聴く人は自由に楽曲を楽しむことができます。おどけているのか、はたまた真剣に取り組んでいるのかも、聴き手としては想像するしかありません。分からなさ、というのは中毒性を孕んでいます。抽象画のような成分を持つ歌詞は詩に近いものを感じます。
ファーストシングルより「IJDB」
歌詞と力強くもどこか気怠そうな演奏からは夏の夜を彷彿とさせます。最後の一行にある”計画は全てミス”。言葉にしてしまえばネガティブなニュアンスを含んでしまいますが、音楽にすると、上手くいかない自分を一歩俯瞰して楽しんでいるようにも捉えられます。喜怒哀楽のどれにも当てはまらない、複雑な感情を馳せることが出来る楽曲です。
2018年4月4日にリリースされた4枚目のアルバム「For」より「Jinx」
ボーカルの威文橋が演じるミステリアスな男が印象的なMVです。言葉としての意味よりも音感覚を大切にした歌詞は耳当たりが良くて気持ち良いです。楽曲のテンポが変化するところも変態性があってユーモラス。
こちらは7インチシングル「LOSTAGE x uri gagarn」の映像です。
毎年4月の第3土曜日に開催されているレコード・ストア・デイの特別企画として500枚限定で発売されたLOSTAGEとのスプリット7インチシングルです。リリース後にはLOSTAGEとのスプリットツアーも開催され、話題になりました。
今後のアナウンスされているライブ情報
6月28日には恵比寿LIQUIDROOMにて[fashion & music]をコンセプトにおくヴィンテージセレクトショップ・BOYの10周年を記念したオールナイトイベントに出演します。group_inouのimaiも出演するほか、THE NOVEMBERS、yahyel、GEZAN、MONO NO AWARE、TENDOUJI、羊文学も出演。
7月22日、名古屋のK.D JAPONにて自主企画ライブの「月刊ぼくら vol.6」を開催します。共演は名古屋のインディーズシーンで活躍するシラオカです。
そこから約1ヶ月空けて8月23日、SHIBUYA TSUTAYA o-nestにて「月刊ぼくら vol.7」を開催。共演者はミツメ、DJとして交友関係のあるBOYからTOMMYが出演します。
スリリングな面としっとり感、その二面性を感じさせるuri gagarnの音楽。ユニークな言葉遊びのなかにある、感傷的なリリックも味わい深いです。ライブで見るとその魅力が何十倍も伝わってきます。
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