梅棒 6th OPUS GLOVER J-POPが届ける曲の力が感動を生みだす
梅棒といえばやはりJ-POPを使用して、作品や舞台を作るというのが特徴だ。
今作のGLOVERも全24曲のJ-POPを使用し、中には本公演のために制作したオリジナル楽曲『つないだテとて』も含まれており、ストーリーだけでなく、選曲にも強いこだわりを見せていた。
素晴らしいのは、シーンと楽曲がうまくリンクしていて、今はこういうシーンなんだというが分かることだ。
冒頭でレジスタンスが登場するシーンで使われた「V6のTAKE ME HIGER」なんかは、ウルトラマンティガの主題歌で使われていた印象が強い。そのことから、レジスタンスは戦うヒーロー的な存在なのかなというイメージが沸くのだ。
曲の歌詞やサウンドだけでなく、背景までも利用するこの選曲はさすがとしか言えない。
その他、ロボットが出てくるシーンではEDMの楽曲やPerfume、きゃりーぱみゅぱみゅなどのデジタルな音が使われている選曲をするなど、考えなくてもシーンが頭に入ってくる気持ち良さもある。
選曲づかいはこれだけでは終わらない、天才科学者・中田カウンタックとロボットのシーンでは「RADIO FISHのPERFECT HUMAN」が使用されたのだが、天才と中田をかけた選曲も時代を読んでいて、ダンスと舞台とJ-POPでここまで表現遊びができることに感動すら覚えるほどであった。
梅棒 6th OPUS GLOVER ダンスから放たれる表現力!これも演劇だ
J-POPとダンス演劇で魅せる梅棒エンターテイメント。もちろんこのGLOVERも一部ナレーションを除けば、一切セリフはない。ダンスで魅せることに一貫している。
それでも、ストーリーが伝わり、観客の感情を揺さぶるのは、出演者の演技力並びに表現力の高さによるものが大きい。
ロメオ役の大貫はバレエやJAZZの要素から、顔だけでなく体のラインから出る表現も伝わり、訴えかけてくるものがある。一方、ジュリエッタ役の梅田は表情や仕草の表現力がやはりずば抜けていた。
ジュリエッタの無垢で何もわからない子供のような明るさ、ロメオに恋して大人になっていく過程、記憶を消されて非情なロボットになる冷徹さ、見事に演じ切っていたのだ。
ロボット軍団は感情のない無機質感を1つ1つの動きにこめてロボットらしい表現になっていたし、レジスタンス側は嫉妬や怒り、友情など人間臭い部分が良く伝わった。地底人もガヤに徹しているときと、覚悟を決めてロボットに立ち向かっているマジなシーンでの表裏一体な姿が印象付けており、高い演技力と表現力がこのストーリーの基盤を支えていると感じさせた。
東京、大阪と約2週間のロングランでおこなわれた、梅棒 6th OPUS『GLOVER』
出演者達が自信を持って届けた舞台は、その期待通り、いや、期待以上の感動を観客与えていた。
公演期間中は多くの有名人や舞台関係者も観劇し、こんな素晴らしくて、新しい舞台は他にはないと大絶賛。
その他、SNSでも梅棒 6th OPUS『GLOVER』が今まで以上にすごかったと、過去最高の舞台となっていたという反響であふれていた。
梅棒が劇場公演に進出してからわずか4年。そのクオリティは年々あがり、期待以上のものを生みだしている。
これからも梅棒にしかできない新しい舞台を作りつづけてくれることだろう。
頭に情景が、心に感情が伝わる感動の舞台!梅棒の公演に今後も期待したい。
執筆:NOZATATSU(https://twitter.com/nozatatsu
画像提供:レッド・カーペット
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