SNSで話題沸騰!ネクストブレイク候補、Omoinotakeの魅力に迫る。
近年、音楽シーンにおいて「シティポップ」という言葉が、再び注目を集めています。以前は、1980年代にR&Bやファンクを日本語ポップスに取り入れたミュージシャンたちを指す言葉として知られていました。しかし、2010年代中盤になりR&Bやファンク、ディスコミュージック、そして80年代の日本語ポップスなどに影響を受けたミュージシャンやバンドに注目が集まり始めます。そして、彼らを形容する言葉として、再び「シティポップ」という表現が用いられるようになったのです。
そんな現代のシティポップから多大な影響を受けているのが、3ピースピアノバンドのOmoinotakeです。彼らはインディーズデビューからわずか2年にも関わらず、ストリートライブで驚異の集客力を誇り、SNSでも話題沸騰。次世代のネクストブレイクのバンドとして注目を集めています。そんなオリジナルな日本語R&Bを志向するOmoinotakeの音楽をルーツ、歌詞、メロディ、ライブの四つのポイントから紹介します。
ceroの『Obscure Ride』からの大きな影響。Omoinotakeの音楽が出来るまで。
Omoinotakeが結成されたのは2014年。島根県松江市出身の藤井怜央(Vo,Key)と福島智朗(B,Cho)、冨田洋之進(Dr)3人のメンバーが東京で出会ったことから始まりました。もともと藤井と福島は、中学でコピーバンドをしていた仲。HAWAIAN6やHi-Standard、銀杏BOYZのようなパンクやメロコアを好んでコピーしていたそうです。そうした経緯から、結成当初はタテノリのビートとシンプルでポップなメロディを志向した楽曲を作り始めます。しかしながら、ピアノとリズム隊の3人編成であったことから、ラウドなギターサウンドを鳴らす他のバンドに比べて、ライブハウスでの反応は芳しくありませんでした。2015年、自分たちの編成を生かした音楽を模索していたOmoinotakeにとってヒントとなる作品がリリースされます。それはceroのアルバム『Obscure Ride』です。このアルバムは、日本語ロックのエッセンスを現代的なR&Bやジャズ、ヒップホップのサウンドスケープを用いて表現した、いわば現代のシティポップの金字塔。ceroのサウンドに衝撃を受けたOmoinotakeの3人は、日本語R&Bこそが自分たちが鳴らすべき音楽だということに気づいたのです。そして『Obscure Ride』のルーツになったロバート・グラスパーや山下達郎、ドナルド・フェイゲンなどの作品を研究しながら自分たちのサウンドを構築していきます。やがて彼らのポップなメロディと、R&Bやジャズを基調としたアレンジメントが評判をより2017年1月にアルバム『So far』でインディーズデビューを果たしたのです。アルバムのリードトラック「Hit It Up」からは80年代のシティポップにも通じるきらびやかなポップセンスと情景が浮かぶような歌詞、そして幸福感溢れるメロディからは、Omoinotakeがオリジナルな日本語R&Bを追求していることがわかります。
「Hit It Up」
目指すのは「スタンダードナンバー」。美しきメロディと歌詞の持つ魅力。
Omoinotakeの作曲のほとんどは、ボーカルの藤井が担当。彼の音域が広くメロウな声から生まれるメロディは、ポップミュージックの持つ幸福感と切なさを同時に表現した不思議な魅力を持っています。また、流麗なメロディでありながらバックビートのリズムにピタリとはまるようなグルーヴ感は、藤井自身が幼少期からドラムをやっていたことから生まれたものように思えます。
そんなメロディに歌詞をつけるのは、ベースの福島。もともとバンド名である「Omoinotake」も「日本語の歌詞で自分たちの思いの丈を伝えたい」という想いから生まれたものなのだそう。その言葉の通り、日本語を音として美しく響かせるワードセンスと、情景と心情を重ねあわせた描写が、福島の紡ぐ歌詞の最大の魅力です。セカンドミニアルバム『Street Light』に収録された「Stand Alone」は、Omoinotakeの歌詞とメロディの持つ力が最大限に発揮された楽曲です。
君の澄んだナイフみたいな 眼差しに飲み込まれそうだ
街明かりは夜に沈んで 宵闇が僕らを包んだ
「Stand Alone」
そんな彼らの目標は多くの人にカバーされるような、スタンダードナンバーを作ること。シティポップの先人たち、大瀧詠一や山下達郎のような普遍性があるメロディと、シンプルで美しい日本語の歌詞はそんな想いから生まれているように思えます。
2019年にリリースされた新曲「惑星」も、ファルセットボイスを生かした甘美なメロディと失恋した男の心情と生活情景が浮かぶような歌詞が印象的な楽曲。
「惑星」
音の余白を生かしたようなアレンジやリズムからは現代のアンビエントR&Bやジャズからの影響を感じます。しかし、サビのメロディを支えるストリングスによって、ビートルズのようなスタンダードな味わいも醸し出されています。
新しさと普遍性をブレンドすることによって、Omoinotakeはシティポップ・ブーム以降の新しい日本語ポップスのスタンダードを生み出そうとしているのです。
ストリートライブで鍛えられたヨコノリのグルーヴを体感せよ。
Omoinotakeはインディーズデビューを果たした時期より、渋谷のスクランブル交差点でストリートライブを開始。彼らにとってライブハウス以外でのライブは初めての経験ではありましたが、3人が作り出したR&Bサウンドを固めるのには最適な場所でした。街ゆく人に足を止めて聴いてもらえることを意識し演奏することによって、3人のグルーヴはより強靭になり、楽曲もポップで開かれたものになったのです。
ストリートライブで培ったバンドサウンドは、ライブハウスでの演奏でも生きています。とりわけ近年のライブではパーカッションとホーンを加えた5人編成になり、Omoinotakeの楽曲たちをよりきらびやかに彩っています。ストリートで鍛えたグルーヴと、研ぎ澄まされたポップセンスをより鮮やかに表現する彼らのライブは、一度足を運べば虜になることは間違いなしです。
Omoinotake 公式サイト
Omoinotake Twitter
Omoinotake Instagram
■ライブ情報
[開催日] 2019/9/9(月)
[会場] TSUTAYA O-WEST
[時間] 開場 18:30 / 開演 19:00
出演アーティスト
Omoinotake / THREE1989 / JABBA DA FOOTBALL CLUB
料金 スタンディング ¥3,000(税込)
■チケット情報
https://l-tike.com/omoinotake
SHARE
Written by