大反響を巻き起こすNissyのパフォーマンス
続いて触れたいのがNissyのパフォーマンス。
冒頭で紹介した通り、歌・ダンス・演技どれをとっても見るものを惹きつける魅力があり、ハイクオリティだ。
ボーカルは、透き通った高音が美しく、絡みつくような低音もどこかセクシー。グルーヴの強いサウンドではがなりを効かせた迫力ある歌唱を響かせるし、何よりも歌詞の世界観が伝わるパフォーマンス・表現力がずば抜けている。
ダンスもキレのよさや表現力を武器に、ここでキメたらカッコよく見えるというアクセントの見せ方が非常にうまく、印象に残りやすい。
そして、ボーカルとダンスに共通しているのが表情だ。
歌詞の世界観に合わせた表情は、まるで目の前で芝居を見ているように陥る時すらある。
「歌を芝居にのせる」というより、「歌詞のストーリーを芝居へと変換して歌にのせるパフォーマンス」という言葉が彼に合う表現スタイルなのかもしれない。歌手でもなく、役者でもなく、ミュージカルアーティストでもなく、彼自身のオリジナティある表現方法。それが、彼が自ら提示している「Nissy Entertainment」なのかもしれない。
Nissy(西島隆弘) / 「SUGAR」 Music Video short ver.
彼のこういったパフォーマンスの深さを”天性の才能”の一言で片付けてしまうこともできるが、彼の深みというのは才能だけでなく、今までの経験値によるものが大きいのではないだろうか。
彼が所属するAAAは「Atack All Around」の頭文字をとったユニット名で、すべてのことに挑戦するという意味を持っている。
音楽だけでなく演技やクリエイティブといった様々なことを経験し、グループコンセプトを常に体現してきたのがAAAのセンターである西島隆弘だ。
彼の場合は演技で才能を開花させたことが非常に大きい。
その実力は、「世界のニナガワ」と呼ばれ厳しい指導で若手俳優を育ててきた有名演出家・蜷川幸雄氏に「世の中の荒波に出会ったとき、俺はちゃんと西島君の側に立って守るから、早く一緒に仕事をしましょう」と口説かれるほど。
さらに、蜷川氏は
「クリエイティブな人として考えると、センスはいいし、勘がいいね。頭いいからさ、頭のいい表現者だと思うのね。あとシャープさを持っていて、人を傷つけるというよりはとても純粋な何かで人を射抜いていく所があるから、そういう純粋さがヒュッと矢のように飛んでいくのがいいと思う。あれほどストレートにそういうのが現れるのは中々難しくて、それは珍しい資質だと思う。」(アーティスト・ドキュメント NHK「AAA 西島隆弘 ~完璧のその先へ~」内コメント)
と高評価していた。
このコメントからもわかるように、人の感情を演技や表現に100%の状態で反映できるのが強みで、演技で培った表現力の使い方が歌とダンスにも生かされている。加えて見ている人に楽しんでもらいたいというサービスマインドがパフォーマンスから伝わり、魅了される人も多いのではないだろうか。
ここまでであれば、人によってはファンや関係者の色目と受け取るかもしれない。しかし、Nissyのパフォーマンスは、彼の存在をよく知らない人でも実力の高さを認めさせてしまう力を持っている。
その代表的なエピソードが、
2016年に放送された”FNS歌謡祭”で、華原朋美と『I’m proud』をデュエットしたことが同番組の最高瞬間視聴率を獲得。
SNSでは「高音が半端ない」「男の人であんな高くて強い声でるなんて衝撃!!」「最初の入り聞いた時めっちゃ鳥肌立った」といった歌唱力の高さを褒める反響があふれ、”Nissy””西島隆弘”のワードがTwitterのトレンド入りを果たし話題に。2017年の夏には、ゆずとのコラボレーション“ゆずッシー”で「夏色」を披露。その他にはスキマスイッチとのコラボレーションで披露した「奏」での高音のハモリも評価されている。
Nissyが前にFNS歌謡祭で歌った
I’m proud 定期的に聴きたくなる!
ほんと、鳥肌物だよな〜
歌だしてくれれば絶対買うのにな〜
FNS歌謡祭 また出てほしいな〜— S♡Rumi (@su68ki) July 24, 2018
もうひとつは、AAAのメンバーである宇野実彩子とデュエットした『Beauty and the Beast』のバズだ。
この映像は事前にレーベルとの話し合いで決まっていたことではなく、西島隆弘が個人的にやってみたいという希望から制作が始まり世に発信されたエピソードを持つ。
公開からわずか2週間を待たずして再生回数が300万回を超える大反響を起こし、その実績を評価され有名音楽番組”ミュージックステーション”への出演を果たすことになった。
1年以上経過した現在も再生回数は伸びており、1600万回に届きそうな勢いである。
西島隆弘 & 宇野実彩子 / 「Beauty and the Beast」
以上のことから、Nissyのパフォーマンスはファンだけでなく、彼を知らないリスナーさえも注目させてしまう力を持っていることがわかるだろう。
人気やキャラクターだけでファンを魅了しているのではない、どんなリスナーでもパフォーマンスを見れば一気にNissyワールドへ引き込むほどの魅力がある。だからこそ、ソロで東京ドーム2daysを成立させられたのかもしれない。
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