Do As Infinityのボーカルの伴も格闘技の大ファン。10年前の当フェス時は観覧者として、今回は演者にて出演できた歓びを告げ、その嬉しさが伝わるステージを魅せてくれた。まずはドライブ感と疾走感溢れる「Engine」でライブを走り出させた彼ら。武蔵の足跡と功績をメモリアル感たっぷりに映像と写真を交え贈られた「僕たちの10th Anniversary」。そして特別ゲストとして超絶クリアハイトーンボーカリスト小野正利(GALNERYUS)も登場。伴が「この曲を歌い認められ、今の音楽活動がある」と大切且つ思い入れ深い、小野の「You’re the Only…」がデュエットされる。このフェスならではの共演の中、ハイトーンで伸びやかな2人の歌声が会場いっぱいに広がった。後半もライブを再び走り出させたストレートな「冒険者たち」、タイトでドライブ感のある「本日ハ晴天ナリ」が場内を引っ張っていった。
バトルステージの第二試合はミドル級の対戦。T-98選手がイリアス・ボカユア選手に0-3の判定勝ちを収めた。この試合は2Rの打撃戦が印象深い。ちなみにこの試合の際のリングアナウンスはT-98選手が大好きなマキシマム ザ ホルモンのダイスケはんが務め場内を驚喜させた。
「今日は格闘技と格闘しに来た!格闘技はいつ終わってもおかしくない。そんな命を削ったライブにしたい!」と、coldrainのボーカルのMasato。続くライヴステージでのcoldrainからはさらにステージ前方の密度が濃くなり、観客のリアクションも激しくなっていく。「始めようか、豊洲!」と愛用の骸骨マイクを握りボーカルのMasatoが宣戦を告げる。いきなり彼らの真骨頂でもあるヘヴィさと哀しみ、躍動性を湛えた「REVOLUTION」が炸裂。ツーバスが地鳴りを起こす中、会場にバウンスの嵐を起こした「RUNAWAY」、疾走感のある「To Be Alive」が会場をかき立てれば、「F.T.T.T」ではY.O.Cが超絶なギターソロも。また、「THE SIDE EFFECTS」の際にはドゥームさを交えたヘヴィさが全身にズシっと響き、重いパンチを喰らったかのような衝撃を覚えた。ラストスパートは激しい曲たちがいい意味で地獄を作り出していく。「The Revelation」が哀しみを背負い全力で駆け抜ければ、躍動感と重さが会場を並走させた「ENVY」、「Final destination」では客電も全開。共に一緒に歌い、演後には死闘を終えたかのような清々しさを残してくれた。
ライヴステージに10-FEETが現れる。この日は結成初期から大切な曲「RIVER」から始まった。同曲がのっけから会場をひとつにしていく。疾走2ビートナンバー「goes on」が場内に加速度をつけ、怒涛性を交えた「VIBES BY VIBES」、「1sec.」では真っ赤に燃え上がる照明と共にスパークする光景を見た。「今日は (スパーリング音が隣から聞こえ)命の危険を感じてる(笑)。俺は格闘技が大好きだから今日は俺得なイベント。みんな自分のスタイルで思い思いに、一緒に楽しんで行こう。俺らもいつも通りブレずにやるから!」とTAKUMA(Vo.&G.)。中盤以降も、哀愁性を宿した「アンテナラスト」、辛いこと苦しいことを、明日を生き抜く為の糧にする勇気はあるか?と問うように響いた「蜃気楼」、また、格闘技の一瞬の刹那を謳歌するように「ヒトリセカイ」をみなが大合唱し、最後の「その向こうへ」では、場内がその向こうへと手をのばす様を見た。そして、一秒でも無駄にしたくないとばかりにプレイ時間ギリギリまで完全燃焼した彼ら。「RIVER」がワンコーラスのみリプレイされ、やりきったような清々しい表情を残し袖へと消えた。
最後のバトルステージはいよいよヘビー級。バダ・フェルダオス選手と山下力也選手が対戦した。1Rでのバダ選手の飛び蹴りで目の上を切り、大量出血をした山下選手が時を追うごとにそれが悪化。2R半ばでドクターストップがかかりKO負けを喫した。とは言えさすがはヘビー級。その破壊力も抜群で蹴りやパンチが当たる度に、ビシッ、メリッと重く鈍く、迫力と臨場感たっぷりにその肉がひしゃげる音が満場に響き渡り、白熱を感じた。
そしてグランドフィナーレは出場ファイターたちや武蔵、アーネストホースにピーターアーツ、出演ミュージシャンがリングに一堂に介し、この日の健闘を称え合った。そんななか、武蔵が「これかも続けたいし、スケールの大きなイベントにしていきたい!」と締める。この2ジャンルの、近しいながらも違ったカルチャーの融合イベントを今後も継続開催することを強く約束してくれた。
ライヴステージ、バトルステージともに各々、タイプやスタイルや目指すものや誉れは違うけれど、己を追求し、ここまでに極めたものを最大限に放ち合った選手とバンドたち。この異種の格闘が今後どのようなバウトを魅せ、我々を熱狂させてくれるのか。次のメイクマッチや共演カードが早くも今から楽しみでならない。
<テレ・マーカーpresents MUSASHI ROCK FESTIVAL2020>
-出演-
■K1レジェンド
アーネスト・ホースト、ピーター・アーツ、武蔵
■Live Stage
Coldrain、Do As Infinity、OLEDICKFOGGY、SEX MACHINEGUNS、10-FEET
■Battle Stage
バダ・フェルダオス(オランダ)、イリアス・ボカユア(オランダ)、ピエトロ・ドウリャ(オランダ)、山下力也(道真会館)、T-98(クロスポイント吉祥寺)、麻原将平(PFP)
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