ARだからといって、意識が変わることはない
――ARライブ収録お疲れ様でした!3DCGの振り付けを考案するというのは、とても特殊な事例ですよね。気を付けた点などあれば教えてください。
MASAMI:まずARライブのお話を頂いた時には「すごいことをやるな」と思いました。でも、気を付けたところというのは実はあまり無いんです。
ダンスが最高に上手というのが、まずは何より大事で。IAちゃん、ONEちゃんは歌って踊れるヴァーチャルアーティストということですし。そこはARだからといって、意識が変わることはないですね。
ただ、振り付けに当たって「立体感」には気を配りました。元々、ARというのは立体感に関する技術ですよね。「IAちゃんが、本当にそこで踊ってる!」というような。だからこそ、振り付けも「平面的な振り」をつけるのではなく、360度全体を使ったような振りをイメージしていますね。
(平面ではなく)筒の中で踊っているような感じを、想像してもらえると分かりやすいと思います。
(ARアリなしの様子を比較してみるとこうなります。下のモニターはAR未対応のカメラで撮っているコマ)
――IAさんのライブを見ていて、非常に印象的なのは実在の人間の方とのダンスだと思います。例えば、今回のライブではONEさんの『ミライ』にYOUTEEさんがフィーチャーリングされています。
MASAMI:ARと人間が一緒に踊るのは、画期的なことですよね。私も「すごい、すごい!」と思ってます(笑)。
ONEのダンスは、(インタビュー現場には)きょう居ないんですけど、別のダンサーに振りをモーションキャプチャーで撮影して、付けています。今日、ステージ上で一緒に踊った「人間」は、ここに居るYOUTEEです。――「人間」と改めて紹介するのも、変な感じですね(笑)
(ステージの上にはダンサーであるYOUTEE1人のみ。しかしカメラ搭載のモニターにはONEの姿が見えます。)
――YOUTEEさんは、ONEさんのARと実際に踊ってみてどのような印象を持たれましたか?
YOUTEE:初めてのことだったので、貴重な体験をさせて頂いたなと思ってます。
――目の前で踊っているARは、ステージ上からだと見えてないんですよね?
YOUTEE:見えてないです。めちゃくちゃ新鮮な体験で(笑)。ただ、実際の映像ではCGはこっちを向いたり、あっちを向いたりしているので。そういう視線の位置だとかは意識して、ダンスしました
(YOUTEEがONEと踊る様子。ステージ上に映るのはONEの影。)
――RUNAさんとSAKURAさんは、『Shooting Star』をステージでIAさんのARと一緒にパフォーマンスされました。
MASAMI:この二人は、ダンサーとしてIAちゃんのワールド・ツアー(※『PARTY A GO GO』)も一緒に回っているんですよ。
一方、ONEちゃんのダンサーには村山社長と相談をして男性であるYOUTEEを付けたんですけど、彼は今回が初めてのステージでした。
――なるほど、RUNAさんとSAKURAさんはIAさんのステージには欠かせない存在なのですね。
(IAポーズをするバックダンサーの方々。向かって右がRUNA。左がSAKURA。)
IAとONEのことは同じ人間だと思っています
――今回のARライブは一つのアニバーサリーですよね。一番最初に振りを付けた時と、いまとではステージの完成度は変わってきていますか?
MASAMI:完成度はものすごく上がってきていますよ!踊る側も、もっともっとステップアップしていかないといけないなと(ARは)感じさせてくれます。
――IAさん、ONEさんの楽曲ってものすごく「人間っぽい」と思っていて。
MASAMI:分かります。温かみがありますよね。
――ただ、一方で彼女たちはやはりバーチャルな存在で。そういうARの振りを考える際には、他のボーカロイドのダンスも参考にされるのでしょうか?それとも、人間のダンスを元に振りを付けていくのでしょうか。
MASAMI:他のボーカロイドは、一切参考にしてないです。本当に人間のみですね。だから、技術の担当の方たちにとっては、私の作る振り付けって難しいと思います。「こういう風にしたら簡単になるんじゃないの?」ということは、全く考えないんですよね。IAちゃん、ONEちゃんのことを本当に人間だと思って振り付けしています。
RUNA:MASAMIさんの振りは本当にクールだと思っていて。だからこそ、私たちはIAちゃんという一人の「アーティスト」のバックダンサーとして、しっかり踊ろう!という気持ちです。
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