全力疾走するライブ、そして革命家の誕生……?
その後は、『シャッタードール』、『踊るマネキン、唄う阿呆』、『ワンミーツハー』、『センスレス・ワンダー』と畳み掛けるような演奏が続く。ゆーまおもドラムを叩きながらマイクを使ってオーディエンスをあおり、キュレーターらしくライブをリードする。このセットリストは、順番も繋ぎも見事で、ゆーまおにはDJとしての素質もあるのではないかと思わせられた。
アンコールでは、誰からともなくゆーまおコールが起きる。再登場したゆーまおは何度も拳を突き上げ、オーディエンスもそれに拳と声で呼応する。
その様は、シノダの言葉を借りれば「革命家の誕生や……」。
確かにこの時のゆーまおは民衆を鼓舞する革命家にしか見えなかった。
最後は『Sister Judy』、『モンタージュガール』、『カラノワレモノ』と3曲、全力疾走するように演奏してライブを終えた。キュレーターであるゆーまおの締めの言葉は、「こういう日があると、自分は一人で生きてるんじゃなくて支えられてるんだなと感じます。みなさんに感謝します。またヒトリエのライブに来てください」だった。
そっくりそのまま、みなさんの方が感謝してますよ、と返したいくらい素晴らしいライブだった。
ヒトリエはエポックメイキング的な存在へ
ライブ後、リキッドルームを去る際に、エントランスで2人の女の子がこんな話をしていて、とても印象的だった。
A「超〜〜楽しかった!超〜〜汗かいた!!」
B「どっちも最高だったね」
A「てかヒトリエがボカロのカバーやったの超良かった〜!ヒトリエ初参戦だったけど、知ってる曲やってくれるとアガる!あの人たちも世代なんだね〜!」
B「や、てか、あの曲、あの人の曲だから」
A「え?」
B「あれwowakaさんがボカロP時代に作ったやつ」
A「……え、まってまって、え?どゆこと?」
B「え、いまさら?(笑)」
この後、Bさんからヒトリエの結成にいたる経緯とwowakaについての簡単な説明がなされ、そのたびにAさんから驚きの声があがった。Aさんはかなり素敵なリアクションをしていたので、筆者の他にもこの会話を聞いた人は何人かいたと思う。Aさんはパスピエのファンだったのだろう。だから『ワールズエンド・ダンスホール』の作者がwowakaだと知らなかった。
こうした会話はこの日、他の場所でも行われていただろうし、これからも増えるだろう。そしてヒトリエを通して新たにボーカロイドを知ったり、好きになったり、再発見したりする人も増えるだろう。
ヒトリエが素晴らしいバンドなのは一目瞭然だし、すでにファンや同業者から広い支持を獲得しているが、今後はさらに、音楽の歴史にとってエポックメイキング的な存在へと成長していく気がする。
この日のヒトリエのライブは『終着点』という曲から始まったが、アルバム『IKI』とそのツアーを通して次のステージへと進むように見えたヒトリエの第一章が、本当の意味でこの日に終着点を迎え、第二章が始まった気がした。
何かが始まる予感しかない。
セットリスト(ヒトリエ)
1. 終着点
2. インパーフェクション
3. ワールズエンド・ダンスホール
4. イヴステッパー
5. るらるら
6. MIRROR
7. サークル サークル
8. アンノウン・マザーグース
9. シャッタードール
10. 踊るマネキン、唄う阿呆
11. ワンミーツハー
12. センスレス・ワンダー
en1. Sister Judy
en2. モンタージュガール
en3. カラノワレモノ
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