映画「HELLO WORLD」、間もなく公開!
オリジナル劇場アニメ『HELLO WORLD』が9月20日(金)に全国公開されます。『時をかける少女』、『サマーウォーズ』で細田守の右腕として辣腕をふるった伊藤智彦が、『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』(2017年)以来のメガホンを取ります。そして脚本を担当するのは『正解するカド」』を世に送り出した鬼才、野崎まど。それに加えて本作は“新機軸のハイスピードSF青春ラブストーリー”と銘打たれています。ストーリー、物語のテーマ、キャラクターそれぞれの関係性、様々な要素から察するに、恐らく「君の名は。」と比較する声は出てくるかと思います(『HELLO WORLD』が同作よりもハードSFだとしても)。
映画『HELLO WORLD(ハロー・ワールド)』予告
しかし! 「君の名は。」と決定的に違う点があります。それが、OKAMOTO’S率いる「2027Sound」(ニーゼロニーナナサウンド)の存在。こちら本作のサウンドトラックを担当しているプロジェクトの名前ですが、ここで関わったアーティストの名前を挙げてみましょう。Official髭男dism、Nulbarich、OBKR、Yaffle、STUTS、BRIAN SHINSEKAI、AAAMYYY…。このうち、OKAMOTO’S、Official髭男dism、Nulbarichは主題歌を担当しています。フェスでも開催すれば大盛況待ったなしですが、このメンツで本作のサントラは制作されたわけです。
『HELLO WORLD』オリジナル・サウンドトラック
「2027Sound」が果たした役割と可能性
『君の名は。』でもRADWIMPSによる音楽の功績は大きかったですが、今回の「2027Sound」は微妙にニュアンスが異なります。RADWIMPSは新海誠と共依存の関係にありましたが、こちらはサウンドトラックのテイを成したプロジェクトであります。つまりサントラを独立した作品として解釈することができる。もちろん、それぞれのアーティストは『HELLO WORLD』のトーン&マナーにあわせて曲を制作しています。けれども、そのひとつひとつが「曲」なんですね。OKAMOTO’Sが担当した「新世界」を筆頭に、素晴らしい楽曲が並んでいる。もはやサントラの役割は、映画と観客を繋ぐだけではなくなりました。
映画『HELLO WORLD』 2027Sound Mix PV
特に目立った活躍をしているのはYaffleとBRIAN SHINSEKAI。この2人に作れない曲は果たして存在するのか…。YaffleはSkrillexばりのダブステップを聴かせ、BRIAN SHINSEKAIはピアノのみでアンビエントな旋律を奏でられるし、ドラムンベースだってお手のもの。サントラの体裁であれば、普段リーチしない層にもその音楽を届けられるとの算段もあったかもしれません。上で「このメンツでフェスでも~」と書きましたが、あながち冗談でもなさそうです。
渡辺信一郎の、その先へ
“映画と映画音楽の関係性を変えた”という点では、『HELLO WORLD』と比較すべきは渡辺信一郎の作品かもしれません。彼は『サムライチャンプルー』や『スペース☆ダンディ』でNujabesやCOLDFEET、岡村靖幸やOGRE YOU ASSHOLEを起用しています。そして今、絶賛放送中の『キャロル&チューズデイ』で集大成へ…。こちらは音楽を題材にした作品ですから当然と言えば当然なのですが、“音楽ありきで作品が成立する”。
キャロル&チューズデイ(Vo.Nai Br.XX&Celeina Ann) – 「Kiss Me」
つまり、映画やアニメの物語を音楽が引きたてるどころか、音楽が物語よりも先行する場合もあるわけです。で、『HELLO WORLD』はそこよりも更に先の領域へ行こうとしているように見受けられます。先ほどから述べているように、映画の干渉を受けない場合のリスニングもあり得るという。これは凄いことですよ。この「実験」が成功するか否かは、映画が公開されてみないと分からないところですが、ぜひとも上手くいってほしい。OKAMOTO’Sのようなアリーナ級のバンドが中心になっている点も非常に重要かと思います。このラインナップも彼らだから集められたのでしょうし。
このアプローチが受け入れられれば、映画界にも音楽界にも新たな扉が開かれる予感があります。まだまだ我々にできることはありそうですよ。
「HELLO WORLD」オリジナル・サウンドトラック/2027Sound
2019.09.18 on sale
通常盤(CD):BVCL-979 3500円(税抜)
OKAMOTO’S 公式Webサイト
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