『キネマの神様』
あらすじ
39歳独身の丸山歩は左遷をきっかけに大手の会社を辞めます。ちょうど同じ頃、映画とギャンブルが趣味だった父が倒れ、趣味で膨らんだ多額の借金が発覚。
ある日、無職だった歩は、父の映画観賞ノートを発見しました。そこに自身の解釈を付け加えたところ、父が勝手に雑誌に投稿してしまいます。
しかしこれをきっかけに歩は編集部に採用され、父はハンドルネームで映画ブログを始め、好評を博していきます。借金とギャンブル依存から抜け出せそうになった父でしたが、ローズ・バッドという人物に反論されてしまいます。
おすすめポイント
今年8月から山田洋次が監督を務めた映画版が公開されます。
当初は志村けんが主役に抜擢されていましたが、代役として沢田研二が出演することになりました。映画化を受け、原作を脚色したシナリオをもとに、著者が新たに物語を生み出した逆輸入版の『キネマの神様 ディレクターズ・カット』も見逃せません。
『カフーを待ちわびて』
あらすじ
沖縄の離島に住む明青はほそぼそと雑貨商を営んでいました。
35歳独身で一人暮らし。愛犬カフーとの散歩を唯一の楽しみでしたが、ある日、突然幸(さち)と名乗る女性から手紙が届き、島にやってきます。
実は明青は昔、北陸の孤島に訪れた際、その地の神社で”嫁に来ないか”と絵馬に書いたことがありました。手紙はその返事として書かれたもの。美人で人当たりも良い幸はあっという間に島に馴染んでいきます。突如として始まった二人の生活が明青を変えていきます。
おすすめポイント
デビュー作でありながら、第一回日本ラブストーリー大賞も受賞している作品。玉山鉄二が主演で映画化もされました。文章からは沖縄ならではの温かく優しい空気感が滲み出ていますよ。スピンオフ作品『花々』もあり、原田マハの名刺がわりとなる作品です。
『本日は、お日柄もよく』
あらすじ
OLのこと葉は、想いをよせていた幼なじみ厚志の結婚式に最悪の気分で出席。しかしその結婚式で感涙するほどの衝撃的なスピーチに出会います。
祝辞を読んだのは伝説のスピーチライター久遠久美でした。感動したこと葉はすぐに弟子入り。
ある日、こと葉は民衆党党首のサポートをすることになり、出馬を決めていた厚志と再会。彼がスピーチライターに選んだのは幼なじみのこと葉でした。
おすすめポイント
WOWOWにて比嘉愛未主演でドラマ化もされた、目頭が熱くなるお仕事小説です。プレゼンやスピーチに関するハウツー本としても、読むことが出来るため苦手意識がある人にもおすすめ。ご祝儀袋を象った表紙は秀逸で手に取り度に物語を思い出し、気分が上がります。
『ハグとナガラ』
あらすじ
主人公ハグは恋も仕事も失い、絶望していました。そんなある日、突然、大学時代の親友ナガラから「一緒に旅に出よう」とメールが届きます。そしてふたりは季節ごとに旅に出るようになります。共に秘湯に入り、名物を堪能し、日本全国駆け巡りました。女ふたりの気ままな旅を描きつつ、少しずつ年齢を重ねていき、やがて50代に突入します。
おすすめポイント
実際に原田マハが巡ったことがある旅先を舞台にしたフィクション。
新型コロナウイルスの影響でなかなか旅ができなくなってしまったことから、今だからこそ、旅物語を綴った「ハグとナガラ」を読者に届ける意義があると思いたって、文庫化されました。心が温かくなる文庫オリジナル短編集です。
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