アジカンが肯定する僕ら
で、それとは違うベクトルでフジロック的だったのがASIAN KUNG-FU GENERATION(以下、アジカン)。
Twitterでガンガン政治的な発言をする、日本では数少ないミュージシャンのひとりGotch。個人的な話をさせてもらえば、大学に入る前ぐらい(2012年前後)の頃はミュージシャンのそれに対して懐疑的でした。そういうGotchは正直見たくなかった。もっと正確に言いますと、“叩かれるGotch”に心を痛めていたのです。今も政治的な領域に入ってゆくアーティストは少ないですが、当時はそれに輪をかけて少なかったですから、その手の発言をするミュージシャンは異質に見えました。それが理由でアジカンから離れたファンもいたと思います。ある人は「自分が好きならそれでいいじゃないか!」と仰るでしょうが、好きなアーティストがネット上の不特定多数にやんややんや言われる様子を見るのは結構辛いですよ。 有象無象の罵詈雑言に立ち向かえるほどの知識を持たないティーンエイジャーにとっては、目を背けたい現実でした。
そんなGotch、今回のフジロックでこんなことを言っていました。「僕らを久しぶりに見て、“変わったな”って思う人もいるかもしれない。でもそれでいいと思うんだよね。ありのままで変わっていけばいいと思ってる」。そうして始まる、「ボーイズ&ガールズ」。人類肯定みたいな曲ですけれども、ずっとこれが言いたかったんじゃないかと思うわけです。「まだはじまったばかり We’ve gotta nothing」と言って、今を生きる我々の背中を押してくれる。生きることはつまり変化することなんだ、そう言われているような気がしました。“オールライト”はシンプルな言葉ですが、時に何よりも尊く響きます。
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