踊ることは「発狂」すること
――今回の作品では<踊る>という単語がいくつか出てきていて、『Angel』において凄く象徴的な言葉になっていると思います。ちゃんみなさんにとって「踊る」ってどういう行為だと思いますか?
ちゃんみな : 「発狂」だと思っています。ダンスって、身体を使うアートだから。私にとって歌は、ある程度丁寧にしないと聴けないというか、上品なイメージがあるんです。でも、ダンスってなんでもアリというか、感情をそのまま表している人間の姿じゃないですか。私は暗闇で歌っている人より、暗闇で踊っている人のほうが怖いと思うし、そういう感情が露わになっちゃっている感じが危うくて好きですね。
――狂っているものが好き?
ちゃんみな : そう言うと聞こえが悪いですけど(笑)、でも、壊れそうなものは好きです。そこにドラマがあるんですよ。そういう形に残らないものを歌っていきたいです。
――最初に「一切のインプットとアウトプットを捨てた」って言われていましたけど、基本的には、創作においてインプットとアウトプットは相互に成り立つものだと思うんです。それにも関わらず、ちゃんみなさんの場合何故こんなにも表現が出てくるんだと思いますか。
ちゃんみな : 私、インプットをやめてみてわかったんですけど、私にとっては作品を作ること自体がインプットなんです。
――自分の中から出てきたものから何か吸収している?
ちゃんみな : そうです。だから書きながら「こういうこと言いたいんだ」ってインプットがされている。アウトプットしながらインプットしているっていうことは、ハイブリッドカーなんですよ。
――自分の中で循環できちゃってるんだ。
ちゃんみな : そうそう。だから私はインプットが特になくても曲が書ける人なんだなって思いました。何かの出来事があって、その時の感情だけが書かせているんだなって。周りのミュージシャンからの影響とか、今の流行りの音楽はスパイスであって、結局種となって実となるものは感情しかないんだなと思いました。
――ご自身が書かれた絵がカオスだったと言われていましたが、実際ちゃんみなさんの曲はある意味攻撃的で、派手でパワーのある曲が多いと思います。
ちゃんみな : そうですね。
――そんな中ご自身も「穏やかさを表現したかった」と言われていた通り、強烈な歌詞とは裏腹にしっとりとした感触のある「As Hell」は新鮮な響きを感じました。今こうした側面が出てきているのは何故だと思いますか。
ちゃんみな : それは私がナチュラルメイクをした理由と一緒ですね。昔は化粧が濃い目だったじゃないですか?
――デビューした頃ですね。
ちゃんみな : そうです。本当は昔も今みたいにやりたかったんですけど、その時の顔には似合わないと思ったんですよね。でも、今になってようやく似合う大人っぽい顔になってきたと思うようになって、穏やかな楽曲ができてきたのもそういう理由と似ているかなって思います。私は「今」を書くことを大事にしていて、10代の時には10代でしか書けない歌を書き、20歳の時も20歳の時にしか書けない曲を作りたいと思っていて書いてきたので。今しか書けない曲を書いたらこういう曲だったということですね。
――あくまで自然体でいる結果出てきているものだと。
ちゃんみな : ヤングラブとかヤングフレンドシップって、賞味期限があるじゃないですか。若さが故の気持ちって長い間続かないし、私は昔っからマセてる子が好きじゃなかったんですよ。中学校時代は今しかないのに、なんで後々どうせ大人になっちゃうのに今を楽しまないでいるんだろうって。私はその年代相応の楽しみ方、その年代相応の感情、恋愛、友情を大切にしていきたいと思います。
「ちゃんみならしさ」を尖らせていきたい
――ご自身の評価では、ミュージシャンとしては今どういう場所にいると思いますか?
ちゃんみな : 私は凄くちょうどいいなと思っていますね。好きなことをやれていて、それがある程度評価をされていて、ある程度変なことをしても受け入れられるフェーズにきたなと思っています。
――本当はもっと尖ったことをしたい?
ちゃんみな : 割ともうしているんだと思います。結構麻痺してきていて、尖ったことをしているのに「これ普通じゃない?」って思ったり、ファンの子達も尖った曲なのに「カッコいい」って言ったりしてて。「自分の生み出す表現が受け入れられてきたな」って思ったりしますね。
――それ、最高に良いことですよね。どんな表現も、ちゃんみなさんがやったらアリってことですもんね。
ちゃんみな : やっとそういうところに行けた気がしますね。
――やっと、なんですね?
ちゃんみな : やっとですね。「ダサい」とか、「ジャンルなんなの?」とか、結構批判されてきたので。それでも曲げずにやってきたら、認めてもらえるようになりました。
――まさに前作の「I’m a Pop」で歌っていることですね。
ちゃんみな : そうです。今でも「ラップやめたんですか?」とか言われるんですけど、今年も「Picky」(『note-book -u.-』)っていうゴリゴリのラップやってるんですよ。私は(歌もラップも)どっちも好きなので楽しくやっていますし、「ちゃんみなっぽい」ものができたなと思います。やっとオリジナリティが認められつつある。だったらこれからは、そこをピーンと尖らせていきたいですね。
――どういう曲書きたいと思っていますか?
ちゃんみな : 今回の作品を作ったことで、表現が大分広がったと思うんです。なのでこれからはもっと両手を広げて、自由に音楽を楽しんだ作品を作りたいですね。全部フル無視しているやつを作りたい。
――風潮とかね。
ちゃんみな : そう(笑)。そういうの全部フル無視して、音楽を作る。私は感情だけで動けることがわかったので、感情だけでどこまで行けるのかやってみたいです。
2nd CDシングル『Angel』
2020年9月9日(水) 発売
[Disc 1] CD
M1. Angel
M2. Very Nice To Meet You
M3. Rainy Friday
M4. As Hell[Disc 2] DVD
THE PRINCESS PROJECT 4 @ Showa Women’s University Hitomi Memorial Hall 2019.12.12
M1. 君が勝った
M2. CAFÉ
M3. Call
M4. PAIN IS BEAUTY
M5. ボイスメモ No. 5
M6. In The Flames
M7. Like This
M8. Never Grow Up
[Disc 1]
M1. Angel
M2. Very Nice To Meet You
M3. Rainy Friday
M4. As Hell
ちゃんみな
公式サイト
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