最新のアルバム「Obscure Ride」では、「Contemporary Eclectic Replica Orchestra」の頭文字をとった「C.E.R.O.」という楽曲が収録されている。結成は2004年、ポップミュージック系を中心に展開してきた個性派は、「現代のEclecticのレプリカを演ずるオーケストラ」として、さらに新たな境地を開こうとしているのかもしれない。
「お酒に合う音楽」を生んだ、「エキゾチカ」のスピリット
ボーカルの高城晶平は、ギターとフルートを使いこなす。キーボードの荒内 佑は、サンプラーとコーラスも担当。ギター&コーラスの橋本 翼を合わせて3人が、2004年に「cero」を結成した。
彼らの音楽性には、「エキゾチカ」というアイコンがつけられている。もともと1950〜60年代に流行したという音楽ジャンルの名称で、南国の楽園を思わせるインストゥルメンタルサウンドが根本にある。
2011年にリリースされた1stアルバム「WORLD RECORD」に収録された楽曲は、まさに「楽園」の理想が満ち溢れている。YouTubeのコメントにも、「なんかもう ただただ見てて幸せになる映像」といった、独特の空気感に和む声が挙げられている。
同じく収録曲「大停電の夜に」のMVは、気怠さと浮遊感が恐ろしく「楽園」的で。
「お酒に合う音楽ですな。」というコメントが、秀逸。
深まっていく音楽性。「懐かしさ」の先にあった一枚のアルバム
2012年に2ndアルバム「My Lost City」をリリース、2デイでのワンマンライブを大盛況のうちに終え、ラジオのレギュラー番組を担当するなど、メディアでの露出も増えて行く。
そして2015年、3年ぶり、まさに待望の3rdアルバム「Obscure Ride」が発売されると、誰もが劇的に広がり深まった「cero」の音楽性に驚くことになった。
その評にはさまざまなアプローチと検証があるのだけれど、とくにファンのコメントで目立つのが「懐かしい」というフレーズだ。
スムースで心地よい、ceroの魅力は変わらない。その上で、彼らはあえて「現代のEclecticのレプリカを演ずるオーケストラ」を謳い、変化しようとしている。
ちなみに「Eclectic」は、2002年に小沢健二がリリースしたアルバム・タイトル。ceroはその世界観に、新たなメルクマールを見出そうとしているのだろうか。
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