安室奈美恵にしか歌えない『Just You and I』 楽曲の深さを語りたい!
5月31日にリリースされた安室奈美恵の新曲『Just You and I』が、日本テレビ系水曜ドラマ「母になる」の主題歌に起用され、多くの話題を生み出しました。母が子を思う気持ちを歌った『Just You and I』には安室奈美恵にしか歌えない、涙なしでは語れぬ歌詞の深さ、楽曲の世界観があります。
また、2018年9月に芸能界引退を発表した安室奈美恵。アーティストとして残された時間が限られている中、メッセージ性の強い『Just You and I』は改めて耳を傾けたい楽曲になっています。
出典:YouTube
上記の動画は先日、YouTubeで公開された、安室奈美恵の『Just You and I』が使用されたリリックビデオです。この映像は日本工学院の学科(マンガ・アニメーション科)の実習課題作品の一つで、課題に取り組む生徒の中にこの「Just You and I」を題材にした学生がいました。
このように同世代のリスナー以外に、10代20代からの支持も高い安室奈美恵。『Just You and I』という、全世代に響く楽曲をリリースしたことで、安室奈美恵は世代を超えて支持される日本の歌姫に進化しました。
ミーティアでは安室奈美恵という日本を代表する歌姫の様々な要素や世代間を超えた感動を与える『Just You and I』の魅力を紹介します。
3分で読める安室奈美恵プロフィール
まずは、安室奈美恵とはどういうアーティストなのかを書いていきます。
10代でSUPER MONKEY’Sとしてアーティストデビュー、1995年に早くもソロデビューし、瞬く間に数々のヒット曲を生み出し日本の音楽史に名前を刻んでいきました。現在も日本を代表するアーティストとして活躍中です。
安室奈美恵の数字的すごさ
1995年にリリースしたファーストアルバム『DANCE TRACKS VOL.1』が、ミリオンセールス。シングル『Chase the Chance』が、シングルで初のオリコンチャート首位、ミリオンセールスを記録。
1996年にリリースしたアルバム『SWEET 19 BLUES』が、当時の史上最高記録となった初回出荷枚数305万枚の偉業を達成。
1997年に安室奈美恵の代表曲と言える『CAN YOU CELEBRATE?』がダブルミリオンを記録。同時に、邦楽女性ソロアーティスト歴代1位のシングル売上を記録。
2008年に6年振りとなるベストアルバム『BEST FICTION』を発売。6週連続でオリコンウィークリーチャート1位を獲得。この6週連続首位記録は14年8ヶ月振り、女性ソロ・アーティストでは28年7ヶ月振りの快挙となり、後に170万枚を超えるセールスを記録。
2011年末にリリースしたシングル『Sit! Stay! Wait! Down! / Love Story』が、配信総累計300万DLを突破。
2016年3月にLIVE DVD & Blu-ray「namie amuro LIVEGENIC 2015-2016」を発売し、オリコン“女性アーティスト&全ソロアーティスト歴代単独トップ”4作目のDVD&Blu-ray同時総合首位、“全ソロアーティスト歴代単独トップ”4作目のBlu-ray総合首位を同時に達成。
安室奈美恵の経歴的すごさ
1995年、当時女性ソロシンガー最年少で日本を代表する歌番組「紅白歌合戦」出場を果たし、安室奈美恵の存在は社会現象に。若い女性を中心に安室奈美恵のファッション・ヘアスタイル・メイクなどが流行り、「アムラー」と呼ばれる女性が急増。
1996年、当時史上最年少記録での国内スタジアム公演も成功に終え、さらにソロアーティスト史上最年少でレコード大賞も受賞。
1997年、当時の10代アーティスト史上初のシングル・アルバム総売上2,000万枚突破、さらに全4国大ドームツアーの成功、海外ライブイベントへの出演など、J-POPシーンを牽引するアーティストに。
2003年以降は、「SUITE CHIC」などのコラボレーションプロジェクトを通して音楽の幅を広げ、「MTV Video Music Awards 2003」で “BEST COLLABORATION賞“をSUITE CHIC名義で受賞。
2008年、ベストアルバム『BEST FICTION』を発売。同年の「日本レコード大賞」で最優秀アルバム賞を受賞。10代、20代、30代でミリオンセールスを記録したことから、日本国内アーティスト史上初の”3年代”続けてのミリオン突破という記録を樹立。
全国アリーナ・ツアー『namie amuro BEST FICTION TOUR 2008-2009』は、海外を含めると4度の追加公演を発表し、日本人女性ソロ・アーティスト史上最多動員数となる約50万人を動員。
2011年末にリリースしたシングル『Sit! Stay! Wait! Down! / Love Story』が翌年、国内年間配信チャートの4冠を獲得し、第27回日本ゴールドディスク大賞ソング・オブ・ザ・イヤー・バイ・ダウンロードも受賞。
2012年、20周年を記念したアルバム『Uncontrolled』が3週連続首位を獲得。同年、15年ぶりとなる自身初の全国5大ドームツアーを開催し、全国5箇所8公演約34万人を動員、ドームツアーとしては動員数・公演数ともに女性ソロアーティスト歴代トップに。
“Billboard JAPAN” Billboard JAPAN Top Pop Artist 2012も受賞。
2016年、ドラマ主題歌『Mint』を発売し、同作でアーティスト歴代単独トップとなる“22年連続シングルTOP10入り”を果たす(発売当時)。
シングル『Hero』がNHKリオデジャネイロオリンピック・パラリンピック放送テーマソングとして起用。
安室奈美恵のコラボや話題性
2005年に、リリースしたアルバム『Queen of Hip-Pop』では、日本国内の芸能人プロモーションでは世界初となる”ピンクパンサー“とのコラボレーションが実現して話題に。
2006年に、MVでジャネット・ジャクソンらのコレオグラファー”シャーネット・ハード“が振り付けをしたことでも話題となった『CAN’T SLEEP, CAN’T EAT, I’M SICK』を発売。
2009年末に発売したオリジナルアルバム『PAST<FUTURE』収録曲MVでは、”機動戦士ガンダム“とのコラボレーションが実現し、アニメーションで制作されたMVには”アムロ・レイ“と”安室奈美恵“が共演。
安室奈美恵の海外での活躍
2004年に初のアジア単独公演(台湾で2日間13,000人動員、韓国で3日間25,000人動員)を開催。「MTV Video Music Awards 2005」ではアジア最優秀パフォーミング・アーティスト賞を受賞。同年に開催された「MTV ASIA AID」には日本を代表しパフォーミング・アーティストとして参加。
2009年にアルバム『PAST<FUTURE』がアジアの5つの国と地域でも音楽ランキング1位を獲得し”日本人女性アーティスト史上初の快挙を達成。
2010年5月にモナコで行われた世界最大級の音楽の祭典「WORLD MUSIC AWARDS 2010」に、アジアの女性アーティストとして初めて招待を受ける。世界160カ国、約10億人が試聴可能なこの祭典で「BEST ASIAN ARTIST」を受賞。
2012年にアルバム『Uncontrolled』が日本、台湾、香港、韓国、シンガポールの計5ケ国地域で音楽ランキング1位を獲得。
安室奈美恵は多くの有名アーティストを輩出した沖縄アクターズスクールの特待生出身で、沖縄出身アーティストのレベルの高さを提示したパイオニア的存在です。同時に女性ダンスボーカリストというジャンルをメジャーにしたのも安室奈美恵と言っていいでしょう。
ジャネット・ジャクソンに憧れていて、VERBALと今井了介が「日本のジャネット・ジャクソンって誰だろう?」と話し合ったときに安室奈美恵しかいないと評されるほど実力や音楽性を高めていきました。
1990年代後半から2000年初頭の頃は、音楽番組、バラエティ番組、レギュラー番組、CMに映画出演など、安室奈美恵を見ない日がないくらい、日常の一部になっていた時代です。トークも自然体で、時に爆弾発言するおもしろさで番組を盛り上げたり、そのナチュラルさが高い好感度を得ていました。リアルタイムで安室奈美恵のテレビ番組出演を見れたのは今となっては貴重な人生経験だったかもしれません。
音楽性もソロデビューしてから小室哲哉プロデュースの元、日本の最先端を常に走っていましたし、オリコン1位は当たり前。何週連続1位になるかという次元で語られるアーティストでした。そして、ダンスミュージック、バラード、R&B、ブラックミュージック、何を歌わせても安室奈美恵になるというのが彼女のすごいところです。
ライブではMCを入れずに楽曲をノンストップで披露するストイックなパフォーマンスを魅せます。筆者は安室奈美恵のバックダンサーと仕事で話したことがありますが、やはり数いる日本のアーティストの中でも、ストイックで技術と体力が求められる、選ばれたものしか体感できないライブだという発言していました。
そして、一番驚かされるのは10代の頃から老いることを知らない容姿です。上記の経歴プロフィールで年代ごとに安室奈美恵の画像を載せたのですが、今年40歳になるとは思えない、10代の頃と全く変わらないビジュアルとスタイルを残し、大人のクールさやアーティストとしてのカッコよさを磨き続けている姿は、もはや実在する人間なのか?と思ってしまうほど美しい。昔も今も安室奈美恵を超える女性アーティストはまだ現れてない、そう断言できる唯一無二のアーティストです。
安室奈美恵が歌うからこそ涙を誘う深い歌詞 新曲『Just You and I』
安室奈美恵のすごさを知ってもらったところで、新曲『Just You and I』について書きます。この曲は日本テレビ系水曜ドラマ「母になる」主題歌に起用され”生みの母親と育ての母親、それぞれ我が子に思う愛”の模様を描いたドラマです。ドラマのストーリーとマッチした歌詞や楽曲の世界観が、感動を呼びました。
出典:YouTube
筆者は加えて、このドラマの主題歌並びに『Just You and I』を歌える歌手は、日本で安室奈美恵ただ一人だと思います。その大きな理由は2つあって、日本の歌姫と呼ばれる女性アーティストの中で
・母親として子供を育ててきた経験がある。
・ドラマの重たいテーマをちゃんと受け止めて、主題歌として昇華できる説得力と音楽性がある。
以上の2つです。
安室奈美恵は人気絶頂の頃に結婚し、21歳の若さで長男を出産しました。産休から復帰後も人気やカリスマ性は落ちることなく、引っ張りだこ状態だった音楽番組の出演では、家族3人仲良く幸せに過ごしていると話していたのが印象的です。その後、人生において辛いことや悲しいことを乗り越え、シングルマザーとして仕事と子供との時間を大切に過ごして今に至ります。
「母になる」では、道枝駿佑が演じる柏崎広の生みの親である柏崎結衣(沢尻エリカ)と育ての親である門倉朝子(小池栄子)のそれぞれの親子関係を軸にストーリーが進みます。柏崎結衣は我が子を誘拐され、傷心中にマスコミに根も葉もない揚げ足取りを受け世間にバッシングされる毎日。一方、門倉朝子は誘拐され衰弱していた柏崎広に出会うまでは、元恋人の裏切り、結婚や子供が生めないことへの焦りなど、それぞれ苦難に立たされます。そんな2人の心を強く支えていたのが我が子の存在なのですが、こういった子供への愛や辛いことがあっても子供のために頑張ろうという想いを歌えるのは、やはり安室奈美恵しかいないのではないでしょうか。
出典:「母になる」公式サイト
ストリングスとピアノが美しく重なり合うトラックに、優しくも芯のあるボーカルが響く多幸感溢れる『Just You and I』は、ストレートに歌詞とボーカルが伝わってくるように作られています。ここで重要なのは歌詞に深みを持たせられる歌い手の感情と表現力。加えて、リスナーの記憶と感情に訴えかける歌声がマスト要素です。途切れを知らない女性アーティストというジャンルですが、この曲を歌えるのは以上のことから安室奈美恵以外考えられません。
『Just You and I』の歌詞が泣ける
『Just You and I』がリリースされる前から、SNSや動画のコメントでたくさんのリスナーが「泣ける!」、「安室ちゃんの母としての想いが伝わってくる」、「臨月でもうすぐ出産を控えているのでジーンとくる。。。安室ちゃん大好き」など、歌詞に励まされたことや感動したという声で溢れていました。
《Just You and I 》
「君の為なら強くなれる
君を愛してる時間は
君を抱きしめる想いは色褪せない 」
って2番の歌詞が
まさに色々あった中で
安室ちゃんが母として
貫き通してきているとこだと思う😢この詩、安室ちゃんが歌ってくれて良かった🙏✨ pic.twitter.com/4di8jmc1xN
— ともや@N.A (@A7M3R8) 2017年5月26日
母になる。観たことないのに宣伝でJust You and I流れる度にホントに泣きそうになる
なんだろなー、歌詞もいいけど音的に落ち着かせて希望を与えてくれるような…頑張れってエールを貰えるような気がするのかな
愛してるって言葉がラブソングに聴こえないから良いのかな
— てら🍌なつ (@TR_naaatsu) 2017年5月29日
歌詞に注目したい中で、筆者が注目したのはサビ部分の歌詞です。
「君を抱きしめられないなら、この両手に意味はない」
「君を愛せない未来なら、私の明日に意味はない」
母親として深い愛と決意を感じる歌詞なのですが、この究極の愛を描いた歌詞は母と子だけでなく、父と子でも当てはめられますし、夫婦感や結婚を控えた恋人にも共感できるのではないかと思います。
人間って自分の為に頑張ることも大切だと思いますが、誰かのために頑張りたい! 幸せにしてあげたい! という使命感にも似た愛を見出せた時に、さらに強い人間になれるのではないかと思うのです。そういった人間愛の根源を安室奈美恵の『Just You and I』は教えてくれる。そんな側面も持った楽曲ではないでしょうか。
そして、この楽曲を聴くと親へのありがたみも思い出させてくれます。まもなく来る父の日や来年の母の日に歌ったり、歌詞をメールしたり、子供から親への感謝の気持ちを伝える。そんなツールにもなってくれそうな楽曲です。
SHARE
Written by