いつでも好きな時に映画やドラマを観ることができると人気のNetflix(ネットフリックス)。話題作揃いのオリジナル作品も魅力的ですが、不朽の名作や旬のあの映画も配信されているんです。今回は「Netflixで観られる、愛すべき青春映画」をテーマに、映画好きのイラストレーター・サヌキナオヤさんとミーティア編集部随一の青春映画好きであるエディターMOが、Netflixで見られる青春映画について語り合いました。盛り上がりすぎてNetflixにない作品の話題も出てしまっていますが、そこはご愛嬌。気になった作品はぜひ再生してみて下さいね!
サヌキ : 早速Netflixにない映画の話になっちゃうんですけど、『レディ・バード』観ました?
MO : 観ましたよ! もう最高でした! ここ数日ずっと、誰かと『レディ・バード』の話をしたくてたまらなくて(笑)。だから今日サヌキさんに会えたら絶対に話そうと思ってました!
『レディ・バード』
「フランシス・ハ」「20センチュリー・ウーマン」などで知られる女優のグレタ・ガーウィグが、自身の出身地でもある米カリフォルニア州サクラメントを舞台に、自伝的要素を盛り込みながら描いた青春映画。
サヌキ : あれ、レディ・バードの親友のジュリー役の女の子がジョナ・ヒルに似てると思ったら、本当にジョナ・ヒルの妹らしくて。
MO : え、知らなかった……!
サヌキ : 僕も、映画を観た後にパンフレットを読んで知ったんです。
MO : キャラ的にも、ジョナ・ヒルが『スーパーバッド 童貞ウォーズ』で演じてたセスに少し近い部分がありますよね。ぽっちゃりしてて憎めない性格の、主人公の親友っていう。どちらも大学に入る前の話ですし、時期的にも同じですよね。
『スーパーバッド 童貞ウォーズ』
高校卒業を間近に控えたイケてない童貞3人組が、パーティーに誘われたことを機にそれぞれ意中の女の子との初体験を目指して奮闘するさまを下ネタ満載で描いた青春コメディ。
サヌキ : たしかに! 僕は『レディ・バード』を観てから久々に『スーパーバッド』を観直しちゃいました。本当にくだらないんだけど、いつ観ても面白い。
MO : 一人で観てても声出して笑っちゃいますよね。セス・ローゲンとビル・ヘイダーが演じてる警官コンビがほんとに最高!
MO : 私はこの間、『スーパーバッド』と同じグレッグ・モットーラ監督の『アドベンチャーランドへようこそ』という映画をNetflixで観ました。『スーパーバッド』と比べると恋愛要素が少し強い作品なんですけど、けっこう面白かったのでオススメです。
『アドベンチャーランドへようこそ』
1987年夏、大学院進学を控えたジェイムズは、夏休みをヨーロッパで過ごすはずが父親の減給であえなく断念。学費を稼ぐために働き始めたバイト先の遊園地“アドベンチャーランド”を舞台に、ジェイムズの恋愛模様を鮮明に描いた作品。
サヌキ : ジェシー・アイゼンバーグが出てるやつですよね。ジェシー好きですか?
MO : 大好きです! でも、マイケル・セラの方が好き(笑)。
サヌキ : じゃあ『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』とかも観ました?
MO : もちろん!
サヌキ : 『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』は有名な漫画が原作なんですよ。僕は漫画も大好きだから、今回、漫画が原作の映画で何かいい作品はないかなって思って。Netflixで見られる先品だと『ミニー・ゲッツの秘密』をオススメしたいです。
『ミニー・ゲッツの秘密』
1970年代のサンフランシスコを舞台に、初体験を迎えた15歳の少女の日常と成長を描いた青春ドラマ。絵を描くことが大好きな少女ミニー・ゲッツは、自分の容姿へのコンプレックスから男の子と上手く話すことができずにいたが……。
サヌキ : 舞台は1970年代のアメリカで、主人公はミニー・ゲッツという高校生の女の子。彼女は漫画家を目指していて、アライン・コミンスキーっていうロバート・クラムの妻の漫画家に憧れているんですけど、劇中で彼女が描く絵がすごくその人っぽい作風で。その絵がアニメーションで動くから、すごく可愛いんですよね。
MO : わー、おもしろそう! 『THE DIARY OF TEENAGE GIRL』って英題にも心惹かれます。
サヌキ : ちょっと『ゴーストワールド』っぽさもあったりして面白いですよ。この映画の主人公は15歳っていう設定なんですけど、その時期を描いた青春映画ってすごく多いですよね。
MO : アメリカだと9月から新学期が始まるから、“夏休みの最後=進級する前のひととき”を描いた作品が多い気がします。リチャード・リンクレイター監督の『エブリバディウォンツサム!!』も大学生活が始まるまでの3日間のお話ですし、デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督の『アメリカン・スリープオーバー』もそうですよね。『ウェット・ホット・アメリカン・サマー』っていう超おバカでくだらない最高の映画があるんですけど、それもサマーキャンプの最終日を描いています。
『ウェット・ホット・アメリカン・サマー』
1981年8月、サマーキャンプの最終日。故意に遊びに好き勝手やっている指導員たちと子供たちの姿を描いた、カルト的人気を誇る伝説のコメディ映画。
サヌキ : 夏の終わりはたしかに多いですよね。僕の大好きな日本の青春映画で『岸和田少年愚連隊』という作品があるんですけど、それも中3から高1に上がる時の物語です。
『岸和田少年愚連隊』
中場利一の同名小説をお笑いコンビ・ナインティナイン初主演で映画化した青春グラフティ。チュンバと小鉄の悪ガキふたり組の中学~高校時代のケンカばかりの日常を、コミカルなテイストと瑞々しいタッチで活き活きと描いている。
サヌキ : 主演がナインティナインで芸人もたくさん出てるから、お笑い要素も少しあるんですけど、すごく良い映画なんですよ。主人公役のやべっちが、少年っぽい複雑な表情をしていて。
サヌキ : 『アメリカン・スリープオーバー』も、はじめはみんなちょっと寂しげだったのに、夜が明けて最後のシーンになると顔つきが少し頼もしくなっているのがいいですよね。
『アメリカン・スリープオーバー』
アメリカ・デトロイトの郊外を舞台に、夏休み最後の一週間のお泊まり会を通して、一目ぼれした女の子を探す少年や、双子の姉妹の間で揺れる大学生、新たな刺激を求める少女など、それぞれの青春を追いかける思春期の少年少女たちが成長していく様子を描いた作品。
MO : 思春期ならではの成長というか……。これまで話に出てきた作品はみんな共通してそういう要素があるかもしれないですね。悩んでいた物事が解消したり、こじれていた仲が解決したり。ファーストキスを済ませたりとか、そういう体験としての成長もありますけど。
サヌキ : そう! きっとその部分にグッとくるんですよね。あと、『岸和田少年愚連隊』にはプールのシーンもあって、そこも青春映画っぽいなあって。
MO : たしかに、プールは青春映画のモチーフの一つとしてありますよね。それこそ『アメリカン・スリープオーバー』とか、同じ監督の『イット・フォローズ』とか。はじめに出てきた『レディ・バード』にもプールのシーンがあった気がします。スケーターが集まるような空のプールだったら、『ロード・オブ・ドッグタウン』とかもそうかも。
『ロード・オブ・ドッグタウン』
1970年代にスケートボードを発端にさまざまなカルチャーを巻き込んで一世を風靡したZ-BOYSを描いた青春映画。メンバーのステイシー・ベラルタが脚本を担当、ほかのメンバーも役づくりに協力している。
MO : そういえば、サヌキさんはミュージカル系の青春映画って観てますか? Netflixにある作品で言うと『シング・ストリート』とか『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』とか。
『シング・ストリート』
『ONCE ダブリンの街角で』などで知られるジョン・カーニー監督の半自伝的青春ドラマ。1980年代のアイルランド・ダブリンを舞台に、さえない日々を送る14歳の少年が一目ぼれした少女を振り向かせるためバンドを組み、音楽活動に没頭する姿を描く。
サヌキ : 「シング・ストリート」は僕も大好きです。講堂で歌うシーンは何回も再生しました。
MO : Netflixだと好きなシーンを簡単に繰り返し観られるから良いですよね。
サヌキ : 『シング・ストリート』のラストシーンって、1秒先のことも見えないような状況じゃないですか。あの勢いこそ青春だなと思って。
MO : あと、あのシーンはお兄ちゃんが最高にかっこいい!(笑)
サヌキ : そうそう! あのお兄ちゃんがいてこそですよね。
MO : 分かり合えて超うれしいです! サヌキさんは青春映画の中でも特に好みのテーマとかありますか?
サヌキ : 僕は、“2人”が出てくる映画が大好きです。男の子でも女の子でも、どんな組み合わせでもいいんですけど、コンビに弱いんですよね。青春映画には含まれないかもしれないんですけど、僕の大好きなポールトーマス・アンダーソン監督の『ザ・マスター』って映画も、すごくいい主人公コンビが出てきて。
『ザ・マスター』
第2次世界大戦直後のアメリカを舞台に、爆発的に信者を増やしていった新興宗教の教祖とその弟子となった男の関係を追った作品。
サヌキ : コンビっていうか、とにかくずっとこの"2人”についての映画なんですけど、ホアキン・フェニックスとフィリップ・シーモア・ホフマンが演じるおじさん二人がすごくいいんです! ビーチでふざけたりバイクで暴走したりとか、青春っぽい要素も多いんですよね。
MO : 男の人って、おじさんだろうかおじいちゃんだろうが、仲間が集まると一生青春って感じがしますよね(笑)。まだ観られてないんですけど、リチャード・リンクレイター監督の最新作『30年後の同窓会』とかもきっとそういう感じなのかな。
『30年後の同窓会』
「さらば冬のかもめ」でも知られるダリル・ポニックサンの小説を原作に、30年ぶりに再会した男たちの再生の旅路を描いたロードムービー。
サヌキ : 『トレインスポッティング』とかも、大人の青春として大好きです。あと、最近観た『タンジェリン』という映画も、ティーンが出てくるわけじゃないんですけど、理想的な青春映画だと思いました。今上映してる『フロリダプロジェクト 真夏の魔法』を監督したショーン・ベイカーっていう人の前作です。
『タンジェリン』
ロサンゼルスの街で暮らすマイノリティの人々の日常を、iPhone5Sにアナモレンズを装着して撮影した映像でリアルに切り取ったコメディドラマ。
サヌキ : トランスジェンダーの2人がロスの街をひたすら歩き回るんですけど、風景の感じとかもいいんですよね。全部iPhoneで撮ったっていう点でも話題みたいです。
MO : え、これiPhoneなんですか! 映像もめっちゃキレイですね。
サヌキ : 夏みたいな映像だけどクリスマスの映画なんですよ。不思議ですよね。
MO : ついこの間『フロリダプロジェクト』を観たばかりなので、これも気になる……。家に帰ったら早速観てみます!
今回の記事のために、サヌキさんが特別にイラストを描き下ろし! 青春映画に欠かせないモチーフの一つであるプールを舞台に、若者たちがNetflixで映画を見ているシーンを描いてくれました。
ふたりの会話に登場した、Netflixで観られる作品リスト
『スーパーバッド 童貞ウォーズ』
『アドベンチャーランドへようこそ』
『ミニー・ゲッツの恋人』
『アメリカン・スリープオーバー』
『ウェット・ホット・アメリカンサマー』
『岸和田少年愚連隊』
『シング・ストリート』
『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』
『ザ・マスター』
『トレインスポッティング』
『タンジェリン』
気になる作品はぜひ検索してみて下さい!
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