焚吐(たくと)、十九歳。
東京で生まれ、池袋で育った彼は12月に行ったデビュー一周年を記念するツイキャスで「池袋」をテーマに新曲を制作することを発表した。
ミーティアでは、「池袋」をテーマとする焚吐の新曲制作に密着。数回に分けて、連載をお届けする。
第四回では、ついに楽曲が完成!!
レコーディング現場を直撃し、その様子をお伝えします!
先に言っちゃうと、新曲のタイトルは『ごった煮シティ』です!!!!!!
Interview_Arato Kuju
Text & Edit_Sotaro Yamada、Arato Kuju
Photo_Hiroyuki Dozono、Arato Kuju
某日@都内某所。
「楽曲が完成したので、レコーディングをします」
焚吐からそう連絡が入った。予定よりもかなり早いタイミングだ。
告げられた場所へ慌てて駆けつけると、案内されたのは、歓楽街から道を一本奥へ入ったところにある某スタジオ。アコギの音が良く響くと評判のスタジオらしい。
中へ入ると、いつもよりラフな姿の焚吐が笑顔で迎えてくれた。ちょうどギターの弦を張り替えていたところだそう。
「完成したんですね?」
「はい。歌詞は昨日の夜に仕上がりました。良いものができたと思います」
「……タイトル、聞いてもいいですか?」
「『ごった煮シティ』です」
「『ごった煮シティ』……、なるほど、池袋を表すストレートな言葉ですね。歌詞が気になります」
「こういう歌詞になりました」
そう言って手渡されたのがコレ。
筆者が歌詞を読み込んでいると、コントロール・ルームから「いつでも始められるよ」とエンジニアの声が。
ゆっくりと立ち上がり、深呼吸する焚吐。
「レコーディングの時は、やっぱりナーバスになりますか?」と野暮な質問を投げる筆者。
「ギターを持ってレコーディングすることはほぼないので、少し緊張しています。でも大丈夫です。行ってきます」
そう言って焚吐ブースへ入って行った。
そうして始まったレコーディング。
物静かにアコースティックギターを抱え、エンジニアとやり取りをしながらまずはバックトラックの収録を始める焚吐。
『ごった煮シティ』は三拍子と四拍子が入り交じる、やや複雑な構成の曲だ。――それでいて、構成の複雑さを感じさせずにキャッチーでメロディアスな仕上がりになっている点に彼のメロディーメーカーとしての才覚を感じる。
レコーディングブースでギターを弾く彼の手の動きに合わせて、試しに筆者も「1,2,3」「1,2,3,4」とカウントを刻んでみたのだが特にBメロからサビに移る箇所ではカウントを取るのが非常に難しかった。どのタイミングでカチッと三拍子が四拍子に切り替わっているのか、掴みづらかったのだ。
この「キャッチー」でありながら「掴みづらく」「複雑」な曲の構成にも、池袋のエッセンスが入っていることを思い知らされた。
バックトラックの収録が終わると、続けてボーカルの収録に。大きく息を吸い、ファルセットの伸びを確認するように高音を発した焚吐はまず『ごった煮シティ』を通しで一度歌った。
Pro Toolsの画面に、まさにいま楽曲が仕上がっていく様子が記録され、彼のボーカルに合わせて波形が表示される。その様子を見ていると、なんだかゾクゾクとした。まさに「楽曲に息を吹き込まれる瞬間」を目にしているという感動がある。
複数回に渡って、各フレーズをレコーディングし直した後にコーラスを付けていく。
そうして仕上がった焚吐は音源を通して、聞き直し「OKだと思います」と緊張感と、それでいてレコーディングが終わったことへの安心感を感じさせるような口調で言った。
次のページは「池袋を舞台にした自伝的作品『ごった煮シティ』、ついに完成!!完成直後の焚吐本人にインタビュー」
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