2022.11.12

FEATURE

映画『ゆめのまにまに』で初主演のこだまたいち令和版「お茶の間のスター」へ向かう路上にて

――その方向性を、敢えて言語化するとどんな感じでしょう。

こだま : ブルーグラスっていうジャンルがあるんです。バンジョーとか、マンドリンを使った民族音楽とも言っていいのかな。その要素に歌謡曲の要素をプラスした感じ、というのが一番伝わりますかね。ただ、ジャンルどうこうに括られるものではないと思っています。「新しくも古くもあり、和洋折衷でもある」と言うことはスローガンとして掲げています。

映画『ゆめのまにまに』の主題歌でもある酔蕩天使の「サンローゼ」だが、オリジナルはこだま自身が2016年に作った楽曲でもある。聴き比べることで、そのサウンドの変化を感じてほしい。

――こだまさんの歌詞世界ってすごくユーモラスというか、コメディっぽさもあります。一体どういうところから発想しているんですか？

こだま : 僕自身は割と感情の起伏が少ない人間なんです。落ち込んだり喜んだりというのがあまりなく、比較的一定な感じ、あんまり面白味がない。だから自分が、というよりも、周りの誰かの感情を勝手に想像しつつ、歌詞に落とさせてもらうことが多いです。

――歌詞にはユニークな人、結構クセがある人というか、ダメな人も出てきますよね。

こだま : はい。もし実生活で会ったら、イライラするような人ばかりかもしれません（笑）。映画とかでも、見ていて面白いキャラっているじゃないですか。でももしかすると、実際に自分の友達とかだったら、めちゃくちゃ迷惑な存在かもしれない。物語だからこそ面白くかけるところってあると思うんです。引きで見るからこそ、キュートだなぁって感じれるというか。でもなんか、そういうクセ強めな人を、優しい視点で受け入れられる世界だったらいいですよね。

「あの人、何やっているんだろう？」と思われたい

――音楽活動と並行して、今回『ゆめのまにまに』では、映画初主演を務めました。初めての主演はいかがでしたか？

こだま : 「主演を張れる俳優」というのは目標の一つだったので、めちゃくちゃ嬉しかったです。同時にプレッシャーもすごかった。大先輩もいらっしゃるし、若手もたくさんいる中で、自分が主役なのか……と。どこまでも喜べるけど、どこまでも沈めますから。「主役」という肩書きにあまりこだわると怖いなって思ったので、愚直にやれることをやろうという意識でやっていました。

映画『ゆめのまにまに』予告篇

――あくまで一つの役に真摯に向き合った感じですね。でもこうして映画もやりつつ、音楽活動もあって……といういろんなことをやっていますけど。正直、大変じゃないですか？

こだま : もともと一つのことだけ極めるタイプではないと思っているので、大変という感じはなかったです。自分が憧れているのは、昭和芸能というマルチな世界です。昔のスターって、芝居も上手いし、歌えるし、お笑いもできて……本当になんでもできた。自分もそんなふうに、いろんな経験値を総動員させることで質を高めつつ、全てを発揮できるような人になれたら。

――その先の目標みたいなものはありますか？

こだま : 欲張りなことを言うと、紅白に出たい、映画作ってみたい、本を書いてみたい、バラエティに出たいとか……たくさんあります（笑）。ゆくゆくはお茶の間から「あの人、何やってる人なんだろう？」と思われるような人になりたくて。

――「あの人、何やってる人なんだろう？って思われるような人になりたい」って斬新ですね。言葉だけ聞くとふわふわしたものに聞こえますけど、明確に何かを目指すことを強要されがちな世の中だけに、メッセージな気もしました。

こだま : 確かに「ああしろ、こうしろ」っていう網みたいなものは、世の中にたくさんありますよね。でもその網を掻い潜っていきたいからこそ、もっと頑張らなきゃいけないって思う。自由にやっていくために、今は「音楽がんばれ」「役者頑張れ」って、ああしろ、これしろを自分に課している感じというか。だからまずは目の前にあることを真剣にやっていくだけ。そのなかで見えてきたチャンスを誠実に掴んでいく。そうしてゆくゆくはお茶の間で愛される感じになりたいですね（笑）

こだまたいち

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