「ゲームミュージックから音楽のテクニックを学んでいた中学時代」(柳澤)
柳澤豊’s BEST
1.『MOTHER2 ギーグの逆襲』(1994)
2.『ペルソナ4』(2008)
3.『キングダム ハーツ -ファイナルミックス-』(2002)
――では、最後に柳澤さんのセレクトも教えてください。この3作品との思い出というと?
柳澤豊(以下、柳澤) : まず、僕が『MOTHER2』を知ったきっかけは、NINTENDO64の『ニンテンドウオールスター! 大乱闘スマッシュブラザーズ』の隠しキャラとして出てくるネスが、『MOTHER2』のキャラクター(主人公のデフォルトネーム)だと知ったことでした。ネスのステージ「オネット」のBGMがすごくいいな、と思って調べてみたら、「ネスは『MOTHER2』のキャラクターらしいぞ」ということが分かって。ちょうど友達がゲームボーイアドバンスの『MOTHER 1+2』を持っていたので、それを貸してもらったんですよ。その後、(『MOTHER』シリーズをつくった糸井重里氏が運営する)「ほぼ日」での鈴木慶一さんや田中宏和さんとの対談を読んで、「こういうルーツがある音楽なんだ」と知って。その話を参照しながら、「この曲にはこの音楽の要素が入っているんだな」と聴いていった思い出があります。
玉置 : それ何歳の話!? 今の聴き方じゃん(笑)。
柳澤 : 中学3年生ぐらいだと思う。受験シーズンに、塾で勉強をせずに『MOTHER2』をやってたから(笑)。『MOTHER』シリーズの音楽には、ビーチ・ボーイズのオマージュがあったり、サイケの要素があったり。
――ジャズやダブの要素も入っていますよね。
柳澤 : そうですね。当時のゲーム音楽としてもすごく攻めているものが多くて。そして受験が終わった頃から、僕はドラムをはじめることになるんです。そういう意味でも、いいタイミングで出会えた作品だったと思います。
次の『ペルソナ4』は、「この作品が面白い」という話を人から聞いてはじめたのが最初です。音楽ではバトルシーンで流れる「Reach Out To The Truth」(平田志穂子)が好きで、ドラムのフレーズもすごくかっこよくて。それでサントラを買って聴いているうちに、作品の中で同じメロディでアレンジを変えている曲が複数あることに気づいたんです。
――いわゆる劇伴的なテクニックを、そのサントラで初めて知った、と。
柳澤 : はい。最後の『キングダム ハーツ -ファイナルミックス-』(北米版の『キングダム ハーツ』をベースにした英語音声版)は、ゲームのスタート画面で流れる音楽(「Dearly Beloved」)がすごく好きで、竹田と同じように、その画面をずっと放置して曲を聴いていました。もちろん、宇多田ヒカルさんの主題歌「光」も好きでした。『ファイナルミックス』ではこの曲も英語版(曲名も「Simple And Clean」に変更)になっているんですよね。
――「光」は2ステップ/ガラージを取り入れた楽曲で、当時の最先端の要素が感じられる曲でもありますね。ここまでみなさんのゲームとの思い出を色々と話してもらいましたが、最新アルバム『かけがえのないもの』は、玉置さんの小さい頃の原風景をヒントに生まれた作品になっているだけに、ゲームの思い出も大切な要素のひとつなのではないでしょうか。
玉置 : そうですね。たとえば、9曲目の「ゲームは1日30分」は、まさにそれを直接的に歌っている曲です。(メンバーに)みんな、ゲームは一日何分だった?(笑)。
加藤 : 自分の場合は朝までやっていたからなぁ……。やりすぎは本当によくない(笑)。
玉置 : (笑)。「ゲームは1日30分」は、そんな成順のことを思い出しながら書いた曲でもあるんです。僕らは学校での時間が生活の基盤にあって、「学校に行って、家に帰って寝る」という生活をしていましたけど、当時の成順は「学校で寝て、夕方頃になると元気になって、帰ってゲームをやる」という1日の流れだったので(笑)。
加藤 : ……(笑)。
玉置 : ほんとに不思議だな、と思ってました。でも、たとえば映画『マトリックス』のような世界でもそうですけど、もしそれでも生活ができるなら、「ずっと(仮想空間のような)ゲームの世界にいて何が悪いんだろう?」って思うんです。そういうことを考えながら曲をつくっていたときに、当時の成順の顔がちょっと過ぎったりしました。だってさ、学校で俺と会った記憶ないでしょ?
加藤 : あるよ(笑)。それに、勉強はちゃんとやってたから!!
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