シンガーソングライターの橋爪ももが、今気になっている「〇〇の達人」に会いに行く連載。第1回の「ふんどしの達人」、第2回の「チョコミントの達人」に続き、第3回は「クレーンゲームの達人」。普段からライブ後などにふらりとゲームセンターへ赴き、クレーンゲームを楽しんでいる橋爪さん。クレーンゲームの設置台数世界一を誇る『エブリデイ行田店』に伺い、「クレーンゲームの達人」こと店長の五十嵐直也さんにお話を伺います。
Photography_Toyohide Kanda
Text_Sotaro Yamada
Edit_Miwo Tsuji
第一弾・第二弾はこちら!
『エブリデイ行田店』とは?
埼玉県行田市にあるゲームセンター。クレーンゲームの設置台数なんと350台以上! 世界一クレーンゲームを設置しているお店として、2012年3月にはギネス記録に認定される。『月曜から夜ふかし』『マツコの知らない世界』などTV番組はじめ数々のメディアに取り上げられ、最近ではヒカキンなど有名YouTuberたちからも大人気。
・エブリデイ行田店
https://ufo-everyday.com/gyoda_store
・エブリデイ行田Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UChTDG7OmPMCoQ1OzzjFhhwA
五十嵐直也とは?
『エブリデイ行田店』店長。一般社団法人日本クレーンゲーム協会くれ達検定1級合格(プロ認定)。クレーンゲーム歴20年、クレーンゲーム店員歴15年のベテラン。
クレーンゲームとの出会い。取った景品はどうする?
橋爪もも(以下、橋爪) : わたしはクレーンゲーム好きを自覚してまだ3年目で、全然景品が取れないので、コツを伝授してもらえると嬉しいです。今日はよろしくお願いします! 私事ですがクレーンゲームにハマったきっかけは、自分が欲しくて取れなかった景品を、後日友人がプレゼントしてくれたことでした。「わたしの知らないところで頑張って取ってくれたんだ」と思ったらすごく感動してしまって。五十嵐さんはどんなきっかけでクレーンゲームにハマったんですか?
五十嵐直也(以下、五十嵐) : 小さい頃、『少年アシベ』のゴマちゃんが大好きだったんです。親が連れて行ってくれた遊園地のクレーンゲームで、自分でゴマちゃんを取ったのがきっかけでした。少ないお小遣いのなかで取るということが、そもそも楽しかったんです。
橋爪 : 五十嵐さんが猛烈にクレーンゲームにハマっていた時期は、何を基準に台を選んでいたんでしょうか?
五十嵐 : やっぱり、ただ遊ぶだけが楽しさではないので、自分の好きな景品、ハマっている景品がある台を狙うのは大前提ですね。
橋爪 : この景品はあまり欲しくないけど、取れそうな台だからチャレンジする、ということはあまりないですか?
五十嵐 : そこまで経済的な余裕がないので(笑)、欲しいものだけ取りに行きます。でもお客さまのなかには、取ること自体に楽しみを見出していて、景品はいらないという方もいます。「他の人に取られるのが嫌だから自分で取る」という方もいますね。ただ、欲しいものを取る方がほとんどだとは思います。
橋爪 : 五十嵐さんの家には、一室まるまる景品で埋まっている部屋があると伺いました。
五十嵐 : でも空間に限りがあるので、ある程度の年月が経ったら循環させています。ぬいぐるみは、圧縮袋に入れて小さくしていますね。
橋爪 : 圧縮袋!? ぬいぐるみが圧縮されるのはシュールな絵になりそうですね……。
五十嵐 : ダニが付かないし、保管する時にダンボールの匂いも付かないのでおすすめですよ。まあ、すごい絵面にはなりますけど(笑)。取り出せば元に戻りますし。
橋爪 : そうなんですね! わたしはリラックマのぬいぐるみが好きなんですが、パンパンに綿が詰まったぬいぐるみでも圧縮できるんですか?
五十嵐 : 結構いけます。自分は豆しばとスヌーピーが好きなんですけど、その2匹は圧縮してエライことになってます(笑)。でも、そのまま置いておいて埃まみれになるよりは良いかなと。手放すのもかわいそうだし。
橋爪 : ちょっと試してみたくなりました。サイコな絵になりそう。わたしは、綿を抜いて再利用しています。
五十嵐 : 再利用? 綿を抜くのこそ、サイコな絵になりませんか? 抜け殻はどうするんですか?
橋爪 : パッチワークとして使います。リラックマの顔の部分を使って、クッションやハンカチにしますね。
五十嵐 : アメリカのホラー映画みたいですね……。
橋爪 : (笑)
クレーンゲームのポイントは、「まず一度だけやってみること」。その理由とは……?
橋爪 : いつもぬいぐるみばかり狙っていて、箱モノは一度も取ったことがないんです。『エブリデイ』さんのウェブサイトを拝見したんですが、箱モノを落とすのは五十嵐さんの特技なんですよね。
五十嵐 : 今はもう集めていないんですが、フィギュアは箱モノしかないので、やる割合としては箱モノが多かったんです。
橋爪 : たとえば五十嵐さんの得意技の「イリュージョンスピン」は、箱の角を押して箱全体をナナメに浮かせるのがポイントですよね。でも、どの台もアームの力がそれぞれ微妙に違いますよね。
五十嵐 : その通りです。ゲームセンター側の設定があるので、台によって難易度は変わります。
橋爪 : やっぱり! 3年間クレーンゲームをやっていて「もしかしてお店によってかなり“設定”の強弱の幅があるんじゃないか?」と思うようになりました。たとえば、雨の日の路面店の台は、設定が優しい気がするんです。
五十嵐 : その感覚はわかります。一概に全部とは言えないけど、いわゆるロードサイドとインテナントのお店では違いがあると思います。インテナントは施設のなかにあるので、少なからずお客さまが来る前提になっている。一方、ロードサイドはより集客に力を入れざるを得ない。だから雨の日などには店舗によって難易度を下げることもあるかもしれません。それから、お客さまからいちばんよく見える範囲にある台は、多少難易度は低いと思います。というのも、路面に出ている台が最強の難易度だと、さすがにそれ以上奥に行こうとは思わないので。
橋爪 : 難易度の高さは、見るだけでわかりますか?
五十嵐 : わからないですね。やはり一度は試してみないと、アームの強さ、開き具合など、どの台も微妙に差があるんです。だから自分はいつも、まずは一度プレイしてみてから判断しています。もしくは、誰かがやっているのを見てから判断するか。昔と違って今の台はデジタル化されているので、単純な見た目や景品の位置だけで判断するのはほぼ不可能だと思います。
達人の手ほどきを受けながら、実際にプレイ!
では、実際にいくつかの台で遊んでみましょう。といっても、1階と2階あわせて350台以上もあるので、何からトライして良いのか迷います。橋爪さんはリラックマが好きなので、まずはリラックマが置いてある台を中心に物色することに。
1周してみた結果、まずはコリラックマのぬいぐるみを狙うことに決定。早速トライしてみると……
橋爪 : 難しい……。
五十嵐 : 普通のぬいぐるみは首や頭に狙いのポイントがあるんですけど、このコリラックマにはそれがない。難しいですね。まん丸だからテクニックの使いようがない。とにかく真ん中を狙って三本爪で引き上げるしかないですね。
橋爪 : これは取れる気がしない……。
五十嵐 : 綿が詰まっているものは、ものによって大きさが少し違うんです。まん丸だったり、ちょっと潰れていたりする。できれば平べったいものの方が掴みやすいけど、そのコリラックマはまん丸で重さもあるので、難易度はかなり高いです。
橋爪 : 確かに! 気持ち平べったいコリラックマを掴んだら、真ん丸のより、持ち上がりました! でもとれない……。
なかなか難しいので、別の台に移動し、五十嵐さんにお手本を見せてもらうことに。
五十嵐 : 実は8割の景品は、アームで景品の位置を少しずつずらしていく「横滑り」で落とせるんです。クレーンゲームのコツは、1回で掴んで持ち上げるのではなく、複数回にわけてどれだけ景品を寄せることができるかにかかっているんですね。
五十嵐 : クレーンゲームにいちばん必要なのは空間認識能力です。どれくらいの高さで、どれくらい奥行きがあるのか、それらを感覚として身に付けることが必要です。自分は、操作するときはほとんど景品を見ていません。何秒ボタンを押すとどのあたりまで行くか、身体で覚えているからです。見ないで景品を取る練習はたくさんしました。
橋爪 : すごい! 動いてる! 着実に進んでいくとテンションあがりますね!
五十嵐 : こんな感じで、どれだけアームの開き、強さを確認しながら、片方の爪で景品をずらしていきます。橋爪さんもやってみましょうか。まずはうしろの角を狙ってみましょう。
橋爪 : これは……沼……。
ついに7回目……。そこで奇跡が!!!
橋爪 : !!! やったー! ありがとうございます!!
ゲームセンターでカレーを食べる?
『エブリデイ行田店』には、初心者向けに100円で8回プレイできる台など、比較的難易度の低い台もたくさんあります。なかには、こんなものもありました。
実はこれ、『エブリデイ』オリジナルのカレー台。株式会社カレー総合研究所がプロデュースする『カレー大學IICAチキンコルマカレー』は、インド最高峰の料理学校IICAのレシピに基づき、本場インドの味を忠実に再現したプレミアムカレー。一般店舗などでは販売しておらず、ここでしか味わうことができないそう。隣の台には『サトウのごはん』も景品として置いてあり、その場で調理して食べることもできるんだとか。
かなり集中してお腹も空いた頃なので、こちらのカレーにもトライしてみます。
先ほど五十嵐さんに伝授された「横滑り」を使って、積み上げられたカレーを動かしていく橋爪さん。クレーンの爪で箱の端を引っかく、引っかく。
五十嵐 : 狙いのポイントを合わせるのは上手ですね。
橋爪 : 取れた!
備え付けの電子レンジで調理して…
いざ、実食!!!
橋爪 : おいしい! 本場のインドカレーという感じです。汗が出てくる辛さですね。スパイスが効いていて、ココナッツの風味がする。めちゃくちゃおいしいです。
橋爪 : 最近はオンラインのクレーンゲームもありますけど、こうやって足を運んでやった方が幸せな気持ちになりますね。
五十嵐 : そうですね。オンラインはやはりゲーム感覚になるし、景品が送られてくるので、ふつうに買ったような感覚になってしまうと思うんです。それよりも、実際にその場に立っている空気感を味わい、目の前で景品が落ちるのを見た方が面白いんじゃないかなと思っています。そうしてみなさんに楽しんでもらったり、ドキドキしたりワクワクしていただくのが我々の目標なんです。
橋爪 : 実際、今日すごく楽しかったです! 五十嵐さんのアドバイスのおかげで少しうまくなったような気がします……。
橋爪後記「クレーンゲームは下準備が大事!」
橋爪 : 楽しかった! 自分で遊ぶだけでなく、うしろで見ているみなさんが盛り上がってくれたのが嬉しかったですね。いつもはひとりでクレーンゲームをしているので。自分以外の誰かが興奮しているという状況はこんなに楽しいんですね。景品が取れそうな時や実際に取れた時の高揚感を共有できたことは、わたしにとってすごく新鮮でした。
五十嵐さんにレクチャーしていただいて感じたのは、「クレーンゲームは下準備が大事」だということ。どこに重心があり、どこに力を加えるかをしっかり考えてから挑めば、取れるということが分かりました。その景品に合った取り方も、エブリデイさんのウェブサイトに載ってたので、応用して早速行きつけのゲームセンターで挑みたいと思います! それと、その下準備を活かす空間把握能力も必要と感じました……がそれを得るには、もっとやらないとですね……(笑)。
今はオンラインのクレーンゲームもたくさんあるけど、こうして現場に来て、みんなと思い出をつくりながら取る景品は特別なものになると思います。若者が遊ぶ場所として、健在し続けるクレーンゲーム。今後も何度もブレイクを繰り返しながら愛されるんだろうなって思います。実際韓国でも、また流行ってますもんね! タラバガニクレーンゲームやってみたい……!
最後に、気持ち良く今後もクレーンゲームを続けるためにも「やめ時を見極めること」も大切だと思いました。超難関の台に際限なく500円玉を入れ続けてしまうのは、ちょっと考えもの。1000円以上は使わないとか、自分なりにスタンスを決めて臨むことが必要だなと。
3年間クレーンゲームをやってきて、見た目だけで取れるかどうか判断できる要素がある気がしていたけど、そんなことはないということが今回わかったので、黙って100円1回プレイはしてみようと思います! ただ、「雨の日のクレーンゲームは優しい説」はありそうなので、みなさんお試しあれ!
LIVE情報
2019/6/7(Fri)
橋爪もも 1st full album『本音とは醜くも尊い』レコ発ワンマンLIVE -赤裸々-
当日券 発売決定!
≪概要≫
日程●2019年6月7日(金)
会場●渋谷TAKE OFF 7
時間●OPEN19:00 START19:30
料金●当日¥4000(各Drink別) 学割¥500off
[当日券WEB予約]
6/6(木) 18:00~受付開始
https://diskgarage.com/ticket/detail/no081504
[会場販売]
WEBにてご予約いただいたお客様は当日19:00(予定)より会場窓口にて当日券を販売します。
※WEB予約にて予定枚数を終了した場合は、会場販売はございません。
■案内事項
※入場時ドリンク代別途必要
※おひとりさま2枚までとさせて頂きます。
※予定枚数になり次第、受付・販売を終了いたします。
■学生キャッシュバック実施!
コンサート当日、窓口にて学生証提示で500円キャッシュバック!
・小学生は、保険証など年齢確認のできる身分証を必ずご提示ください。
・小学生、中学生、高校生、専門学生、大学生(大学院生を含む)の方がキャッシュバック対象です。
・学生証(小学生以下は身分証)のコピーはキャッシュバック対象外です。
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