3. ハゲ、デブ、おじさんは恋愛対象
――眉村さんはハゲ好きを公言していますよね。なんでハゲが好きなんですか?
眉村 : フフッ(笑)。ハゲは珍しいし、きれいだし、思わず触りたくなりませんか? 赤ちゃんのほっぺみたいな感覚です。
――ツルツルがいいんですか? 髪が残ってハゲてる人もいますよね。
眉村 : そういう人は早くぜんぶハゲてほしいと思います。ハゲが好きになったのは1~2年くらい前から。音楽を始める前は若い男の子が恋愛対象だったけど、音楽を始めてからは、アラフォーが恋愛対象になりました。
――えっ? 恋愛対象?
眉村 : たぶんファンのせいだと思う。ファンにおじさんが多くて、おじさんの良さに触れてしまった。
――おじさんの良さとは?
眉村 : お父さんみたいだし、信用できる! 言葉に重みもあるし説得力もあるし人生経験が豊富だから、若い男の子と比べて圧倒的に魅力があります。おじさんの方が話してて楽しいし。いっぱい引き出しもあるし。もはや顔のシワがかわいく見えるようになってきました。むしろ今は顔にシワがある方が好きです。末期ですね。やばい。
――顔にシワがあり、髪はない方がいい。体型はどうですか?
眉村 : 最近は、太ってる方が好きです。以前はバンドマンのベーシストみたいな痩せてて背が高くてクールな感じの男の子がタイプだったのに、今はデブでハゲたおじさんが好きになっちゃった。どうしよう(笑)。
――おじさんのことは恋愛対象として好きだったんですね。じゃあ、公園で遊ぶのは楽しくてしょうがないんじゃないですか。
眉村 : そう! パラダイス! 前に広島のホテルで朝食バイキングに行ったら、出勤前のサラリーマンだらけだったんです。わたしスーツも好きなので、スーツのおじさんがいっぱいいて「ハァ~~~パァ~ラダ~イス!!」ってなりました!!
――眉村さんがファンをめちゃくちゃ愛していることはいろんなところで感じていましたが、そういう種類の愛だったとは……。
眉村 : ガチなんですよ。ファンとの距離が近いことが必ずしも正しいわけではないけど、わたしはファンのことが本当に好きなんです。だから公園で遊ぶとかゲストハウスをつくりたいとか、どうしてもそういう行動になってしまう。時々「わたしよりファンのこと好きなアイドルっているのかな?」とかいう発言をタイムラインで見ることがあるけど、「ここにいるわー!」って毎回思っています。こっちはTwitterで言うだけじゃなくて行動に出てしまうくらい好きなんだぞ!
――でもそれは眉村さんの活動にとっては良い方向に働きそうですよね。それにしても、好みってそこまで劇的に変わるものなんですね。
眉村 : 劇的でした。ファンに洗脳されましたね。素敵なおじさんが多いんです。最近は年下の女の子のファンが増えてくれました。なかには憧れてくれている人もいるので、ちゃんと芯を持って生きようと思わせてくれます。
――じゃあもうおしっこ漏らせないですね。
眉村 : 本当にそうですね(笑)。それは今の悩みです。
――なんで漏らしちゃうんですか?
眉村 : なんでだろう。トイレに向かう途中で漏れちゃうんです。間に合わない。ライブ中にも「イエーイ!」ってジャンプすると、その勢いでおしっこが漏れちゃう。
――そういう時はどうするんですか?
眉村 : 「アー出ちゃった!」って言います。そしたらファンの人が「それ言わなくていい!」って笑ってくれます。
――すごいライブだ……そんなライブ見たことない。
眉村 : クアトロでワンマンライブをした時も、最後の方で力んだ時におしっこが出ちゃって。すごく頑張って準備をしてきたライブだったんですよ。せっかく良い雰囲気で、照明さんたちもこんなに素敵なステージを用意してくれたのに、なんでわたしは漏らしちゃうんだろうと思ったら、涙が出てきました。「なんでわたしはこんな時にお漏らししちゃうのー!」ってギャン泣きしたら、お客さん全員爆笑してました。「がんばれー!」って。
――いや本当にこんなメジャーアーティスト初めて見ました(笑)。でもそれはパフォーマンスでやってるわけではないんですよね。
眉村 : そうなんです。出してる自分が嫌になります。こないだもライブ後に打ち上げで日本酒を飲んじゃって、家に帰ってシャワーを浴びた瞬間、うんちが出ちゃって。大変でした。
――それは、大変ですね……(笑)。
眉村 : そういうのは吉田豪さんに逐一報告しているんです。その時も「アホですね。でも、相変わらずで良かったです!」って返ってきました。昔からすぐ漏れちゃうんです。部活でバレーボールをやってる時からそうでした。アタックした瞬間に出ちゃう。
――もしかしたら力が強すぎるのかも?
眉村 : 興奮状態の時に出やすいんです。だからライブの時によく出ちゃいますね。どうすればいいんだろう……?
音楽への目覚めは、BoAと東方神起とビブラート
――音楽の話も少ししたいんですが、眉村さんが音楽と出会ったのはBoAさんがきっかけなんですよね。どういうところが好きだったんでしょう。
眉村 : ひとりの女の子が日本でこんなにバックダンサー連れて超かっけえ!と思ったのが理由です。だから音楽に興味があったわけではなかった。K-POPが好きなのも「かわいい・かっこいい・スタイルがいい」という目線でしかなかった。
――ミュージシャンではなく人として憧れていたということですよね。
眉村 : そう。その延長で東方神起が好きになったんです。5人いた頃が好きだったんですけど、ある時、「全員、声揺れるな」って思ったんです。
――揺れる?
眉村 : 語尾が揺れていることに気付いたんです。ビブラートを知らなかったんですね。他の日本のアーティストも改めて聴いてみたら、声揺れてる人はめっちゃいた。なんで今まで気付かなかったんだろうと思って。そうやってビブラートについて調べていくうちに、自分がビブラートできないことに気付いたんです。それで歌に興味を持つようになったんです。
――なるほど。
眉村 : それでボイトレに通うようになりました。そしたら先生が「アイドルグループがメンバー募集してるけど、入らない?」ってすすめてくれて。それがライブをするようになったきっかけですね。
――音楽への目覚めとしては珍しいパターンですよね。小さい頃から音楽が好きでアーティストになる人が多いと思うので。
眉村 : そうですよね。初めて音楽をつくったのが19歳なので、10代ですでにライブをやっている人を見ると「こんなに早くから音楽を好きになっていて、いいなあ。わたしももっと早くから好きになっていれば」と思います。
――でも突然目覚めて作曲できるのはすごいことだと思います。小さい頃にエレクトーンをやっていた経験が活きているんでしょうか。
眉村 : エレクトーンは1ヶ月でやめたので、あんまり関係ないと思います。しかも当時やっていたのは、ラの音を押しながら「これは何の音でしょう?」「ラです!」みたいなことだったし。まともに触ってすらいないんですよ。弾きたくて習い始めたのに。それで逃亡しました。
――逃亡?
眉村 : マンツーマンの授業だったけど「もうやりたくない!」って言って、ダッシュで直帰しました。
眉村ちあきが眉村ちあきでいられる秘密
――野球好きとも聞きましたが。
眉村 : 観るのじゃなくてやるのが好きで、小学生の頃に弟と同じチームに入りました。プロテクターがカッコ良かったのと、「しまっていくぞー!」って言いたかったからキャッチャーになりました。
――BoAさんをカッコ良いと思ったのもキャッチャーをやりたいと思ったのも、どちらも見た目がカッコ良かったからですね。ということは、眉村さんにとっては見た目が重要?
眉村 : そうかもしれない。「しまっていくぞー!」って言いたかったのも、キャッチャーがチームを仕切っていてカッコ良く見えたからなんです。リーダーっぽいものが好き。人を統率したいのかもしれない。だから社長やってるのかも。
――小さい頃から目立ちたがり屋でしたか?
眉村 : 目立ちたがり屋でした。保育園の時に劇で『エルマーとりゅう』をやったんですけど、主人公のエルマー役は2人いたので、「主人公が2人もいるんだったら、主人公をやる価値がない」と思ってりゅうの役をやりました。
――保育園の時点でそんなことを考えていたんですね。
眉村 : それで劇の最初にりゅうが出てきて「僕はとらわれの身……」って歌を歌うんです。それをひとりで歌った時、「超楽しい~!」って。
――最初の目覚めはそこにあったんですね!
眉村 : かもしれない! その時のことは超覚えてて、「親たちが全員わたしの歌を聴いてる!」っていうのが快感でした。他にも保育園の頃のことはすっごい覚えていることがあって、合唱の時も「全員音痴じゃん!」って思ったんです。「音外すな!」って思っちゃう。りゅうの役をやった時はわたししか歌ってないから、雑音がなくてすごく気持ち良かった。
――それはかなり重要なエピソードな気がしますね……。最後に、個人的に聞いてみたかったんですが、眉村さんのその自信はどこから来ているんでしょうか? こんなに誰にも似ていない活動をしていたら、どこかで不安になったりしないのかな、と思うのですが。
眉村 : 道はわたしが切り開く!と思ってます。でも、スタッフの人たちにいっぱい「大丈夫だよ」って言ってもらってるから不安にならないんだと思います。不安になる時は「不安になってるよ~!」って言いますし。
――ということは、不安になることもある?
眉村 : あります。つい最近のライブでも、お客さんの反応がいつもと違って静かだったから動揺しちゃって。終わってからスタッフさんに「今日のライブそんなに悪かった?」って聞いてしまいました。でも「めっちゃ良かったですよ」と言ってくれて。そうやってわたしの心が折れそうな時に「大丈夫大丈夫!」って励ましてくれるんです。そんなスタッフさんに支えられているから、自信を持ち続けることができているんだと思います。だから心が折れそうな時は「折れそう!」って伝えることが大事だと思います。
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