ぶっ飛んだコンセプトを持つアイドル・グループ「清 竜人25」の目指す場所とは
清 竜人という破格の才能が作り上げたアイドル・グループ、清 竜人25。アイドルなのに一夫多妻制というあまりにもぶっ飛んだそのコンセプトから、発足当初はアイドル・カルチャーとしても、ポピュラー・ミュージックの文脈においても侮られていたところがあったように思う。しかしながら、2年という月日を経た今、清 竜人25はエンターテインメントの新たな地平を切り開く存在として花開こうとしている。ひとりぼっちだった清竜人が「夫人」という最強のパートナーを得て勝ち得たもの、そして、目指す場所について話を訊いた。
インタビュー・文=小田部 仁
ソロの頃には届いていなかった人に届いているという実感(清 竜人)
ーーファーストアルバムをリリースして以降、清 竜人25を取り巻く状況ってかなり変わったと思うのですが、実感としていかがでしょうか?
清 亜美(第3夫人) 今まで届いてなかった人に届いてる気がしますね。アイドルっていうよりも、エンターテインメントとしての色が強くなっている気がします。ライブでの盛り上がり方もステージ上の私たちのパフォーマンスで成り立つ感じが強くなったというか……盛り上がり方が変わったなって思います。
清 優華(第7夫人) 清 竜人25のライブは、物語の登場人物になったような気分になるんですけど。アルバムを出してから、その感じがもっと強くなりました。テレビとかラジオとかメディアにも出る機会が多くなって、新規のお客さんも増えたような気がします。
ーー『ゴッドタン』(テレビ東京)や『JUNKおぎやはぎのメガネびいき』(TBSラジオ)のような人気番組で特別扱いと言っていいほどフィーチャーされていて、自分たちにアイドル界隈以外からも注目が集まっているなというのは肌で感じていたんじゃないかなと思うのですが。
清 竜人 自分がソロでやってたころからは考えられないほどのメディア露出があったりとか、ソロで動いてるときには断っているであろうお仕事とかも25だからこそやらせてもらったりして。ソロの時には届いてなかった層の人たちに25を通じて、自分の音楽を聴いていただいてるなっていう実感はあります。
ーー清 竜人25は当初、戦略的に「アイドル」というフォーマットをシンガーソングライターである清 竜人が選んだという側面があったと思うのですが、ここまでの活動を経て、それもまた変わってきているのかなと思うのですが。
竜人 おっしゃる通りで、1枚目のアルバムまでは自分の中で「一夫多妻制」っていうキーワードを含めて、この清 竜人25っていうプロジェクトを多くの人にうまく理解してもらうために、アイドル・ポップスにかなり寄せたっていうのはあったんですね。わかりやすく言うと、打ち込みの音色の選び方だったり、アレンジに対する指示の出し方を、ど直球のアイドル・ポップスを意識してディレクションしていたんです。でも、そういう自己紹介の時期は終わったので、今後控えているセカンド・アルバムや今回のシングルでは、はじめて自分でアレンジメントしたり、全楽器生バンド編成で収録したり、パフォーマンスも大事なんですけど、比重的に音楽的なものに重きを置いたものをやろうとしてます。
ーー今回のシングル『アバンチュールしようよ♡』に関して言うと、どのような構想があったんでしょうか?
竜人 25っていうプロジェクトの1人男性ヴォーカルがいて、6人の女性のコーラスがあってっていう編成は音楽的に考えると、AORやフュージョンだったりとか男女の掛け合いみたいになっていたりする音楽とマッチするなと思って。『RIDE ON TIME』の時の山下達郎的な男女構成感みたいなものを25でやると面白くなるかと思って、時代感も含めてその辺りを狙いましたね。
ーーそこに難しい点があるとすれば、AORやフュージョンのバッキングヴォーカルって無記名性が高いものじゃないですか? でもアイドル・グループだとそれぞれの顔を立たせていかなきゃいけないから、そのバランス感が難しかったんじゃないかと思うんですが。
竜人 それをポップスのアイドル・カルチャーにうまく落とし込めたら面白くなるかなと思って今回作ったんです。サウンドはAORっぽいんだけど、それぞれのソロもあったりして、アイドル・ポップスとして結果として昇華されているのがいいんじゃないかなと思って作りました。
ーーカップリングの「Coupling♡」には沖井礼二(TWEEDEES/ex.Cymbals)さんがアレンジャーとして参加していますが、この起用はどういう意図があったのでしょうか?
竜人 2ndアルバムに向けてどういうアレンジャーの人選にしようかなっていうのをもう考えはじめていて。1枚目を思い返してみると、どっちかって言うと、職業作家の人に依頼することが多かったので、次はミュージシャン兼作家みたいな人にスポットライトを当ててみようかなと思って。それで今回、沖井さんにお願いしたんです。
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