「安斉かれんっぽさ」を見つけたい
――これまで発表されたすべての楽曲で、かれんさん自身が作詞を担当していますね。
安斉 : そうですね。自分で歌うなら、自分の歌詞じゃないと感情を乗せづらいし自分自身に響かない気がするんです。
――でも、作曲もできるんですよね? 6作目の『GAL-TRAP』だけは、作曲にかれんさんもクレジットされています。
安斉 : できると言っていいかわからないけど、遊び程度ではよくやります。『GAL-TRAP』は本当に遊び感覚で、スタジオに入ってぱらぱらっとつくったんです。そしたら「良いじゃん、リリースしようよ」ってなりました。
安斉かれん / GAL-TRAP
――それまでのかれんさんのイメージとまったく違う曲だったので驚いたし、個人的には、今のところいちばん好きな曲です。
安斉 : わあ、ありがとうございます! 作曲はやりたいですし、今後はもっとやります!
安斉かれん – 現実カメラ (Official Video)
――自分で作曲しない場合、どの程度完成されたデモを受け取るんでしょうか? たとえば連続配信3作目『現実カメラ』の場合はどうでしょう?
安斉 : アレンジ含めほぼ完成された状態でした。音数が多くてキラキラしていて、かわいい曲だと感じて。曲を聴いてから歌詞を書き始めました。
――「現実カメラ」という言葉の由来は?
安斉 : iPhoneの純正カメラのことで、わたしが普段からよく使う言葉なんです。1年くらい前の話なんですけど、スタッフさんが写真を撮ってくれる時、加工アプリではなく普通のカメラで撮ろうとしていたので、「え、待ってそれ現実カメラじゃん」みたいなことを言ったら「そのワード面白いね、いつか曲にしようよ」と言われて。この曲が来た時、「現実カメラ」という言葉をタイトルにしようと思ったんです。
――その言葉は、友達同士だけで使っていたんですか?
安斉 : と思ってたんですけど、調べたら出てくるんですよね。ということは、どこかで誰かが使っていたのを聞いて覚えたんだと思います。内容としては、現実と加工とのギャップに戸惑う女の子を描いています。
――かれんさん自身にそういう戸惑いがあるんですか?
安斉 : いや、あんまりないです。だってそれが今の世の中のデフォルトじゃないですか。加工しない写真なんてみんな絶対載せないし。「”あなた”のシャッターだけ押しておいてよ」という歌詞がありますけど、これはカメラのことではなくて、心や目で見たり感じたりしたことです。実際に会って話して感じたことが本当のリアルだから、「大切なあなただけはリアルを見ていてね」という意味なんです。
――なるほど。人称が使い分けられているのが面白いと感じました。「ワタシ」と「”私”」、「キミ」と「”あなた”」。すべて同じ表記ではダメだったんでしょうか?
安斉 : 時と場合によりますね。わたしの歌詞では「僕」が出てくることもあるんですけど、全部、感覚なんです。はっきりとルールを決めているわけではなくて。
――かれんさんの作品で「ワタシ」が出てきたのは、『GAL-TRAP』だけでした。
安斉 : 本当に自分のこと、つまり、かれんのことを言っている時は「ワタシ」にしているかもしれません。
――では「”私”」は加工された自分?
安斉 : そうなりますかね、たぶん。で、「”君”」も加工された君で、「キミ」がリアルなキミ。ただ、なんとなくこうなった歌詞なので、はっきり決めて書いたわけじゃないんですよね。
――ちなみに「満たされない」という歌詞もありますが、自分の話ではないんですよね?
安斉 : 自分ではないです。この歌の主人公の子が満たされていないということで。歌詞はストーリーを書くように書いているんです。自分のことをそのまま書くことは、あんまりないですね。日記みたいに歌詞を書いていた時期もあったんですけど、それだけだとネタ切れになると思って。映画を観て「この主人公が自分だったら……」と考えてふくらませたりしています。
――次作の『一周目の冬』も、「一周目」という言葉遣いが面白いですよね。
安斉 : これは、付き合って初めての冬を迎えたカップルのお話です。
――「最初の冬」や「一年目の冬」ではなく「一周目」にしたのは?
安斉 : これも会話の中で生まれた言葉ですね。わたしが「一周目の冬ね」って言ったら、スタッフさんが「それタイトルでいいじゃん!」と言ってくれて。歌詞を書いているのはわたしだけど、チームでつくっている感覚ですね。
――今回連続配信されている楽曲は、以前のかれんさんとは別のアーティストが歌っているような印象を受けるほど、雰囲気が異なっています。ご自身では「安斉かれんっぽさ」とは何だと考えていますか?
安斉 : 「安斉かれんっぽさ」はないと思っています。でも、今はなくていいんです。それを見つけたくていろいろな曲に挑戦しているので。この7作の中でも、まだどれがいちばん自分にハマっているかもわからないんです。
もっといろんな自分を見せていく
――改めて、2021年を振り返ってみると、どんな1年でしたか?
安斉 : 自分と向き合えた1年だったと思っています。2020年はバタバタしていて、初めてのことだらけで何もわからないまま進んでいました。2021年は、前半は比較的ゆっくりと音楽をつくったり絵を描いたり、自分の好きなことをして、いろいろ考えられた年でした。
――ちょっと気になっていたんですが、いろんなインタビューで「夢や目標を持つのが苦手」とおっしゃっていますよね。
安斉 : 去年までずっとそう言っていたんですけど、今は小さい目標を持つようにしました。今日はこれをしようとか、1ヶ月でこれをできるようになろうとか、そういう小さなことを積み重ねようと。夢や目標がないのは昔からで、あまり考えないようにしてきました。
――それはなぜ?
安斉 : 考えたくなかったんですかね。なんか、回り道をしちゃうから嫌なんです。「この夢のためにはこれをしなきゃいけない、これも、あれも……」と考えはじめたら止まらなくなっちゃうから。そうじゃなくて、「今これがしたいからこれをする」という考えで目の前のことを頑張って、それが何かにつながればいい。そういう考えの方がラクなんです。
――逆に言えば、やりたいことがいつも目の前にあったと。
安斉 : たしかにそうかもしれません。いつも目の前にやりたいことがあったから夢や目標を設定しなくても頑張れたのかも。今の目標は、7作連続リリースを頑張る。そのあとのことは、何も考えていないです(笑)。でも、新しく挑戦することはいろいろあるので、2022年はもっともっといろんな自分を見せていければいいなと思っています。
7作連続配信シングル 第4作「一周目の冬」1月19日配信
配信はこちら
https://kalenanzai.lnk.to/1shumenofuyu
MVはこちら
https://youtu.be/Yoq3p6WvqsU
第3作「現実カメラ」配信中
配信はこちら
https://KalenAnzai.lnk.to/genjitsucamera
MVはこちら
https://youtu.be/hsOoHLYh6Sw
安斉かれん
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