ヴァーチャルとリアルの融合をライブでも表現する
――ライブの序盤、『Inner Arts』で天使の羽根を着けているIAさんの顔つきと中盤、『セツナドライブ』でエレキギターを弾くIAさん、アンコールで可愛らしく『オツキミリサイタル』を歌うIAさんは、全て細かく目つきや表情の柔らかさが異なることに驚きました。
その曲ごとに『その曲らしい』IAさんの表情を、一つずつ作り込んでいく作業が発生していると思います。表情の変化に込めたこだわりと、苦労したポイントを教えてください。
村山:本当に、、、こだわりポイントを次々評価いただきありがとうございます!
まさしく、それぞれの世界観、演出に合わせて表情をかなり細かく演出しています。一番苦労したのは「目線」です。人間さながらの瞳の動き、ファンを見る目線の角度等、「瞳に感情を持たせる」ということにこだわりたい訳なのですが、人間だったら日常的に自然に行うであろう目の動きを、自分の脳内でシュミレーションして、それをアニメーターの方に伝える必要がありました。でも、私は技術的な言葉でロジカルに説明ができないので「もっと目線は遠くを見て」とか「もっとゆっくり会場のファンを包み込むように見つめて」といった具合に、要望が抽象的になることもありました。
そのニュアンスや感じ方は人によって違うので。その感覚をフィットさせていく作業は、ディレクションする側、作る側双方にとって至難の技でした。
――上のような表情の変化を違和感なく追うことが出来た理由に、セットリストの完成度の高さが上げられると思います。一連の曲順で、IAさんを追っていくと表情の変化がとても自然なものに感じられました。セットリスト、曲順をどのように決めていったのか、狙いや過程を教えて下さい。
村山:オープニングとエンディングの演出は最初から決めていて、IAの設定そのものを映像と衣装で表現しました。
セットリストは単にスクリーン上に出てくるIAを楽しんでいただくのではなく、会場とIA、ゲストやダンサー、バンドと一体になって「皆で作るライブ」という前提、一瞬足りとも会場のお客様の気持ちを途切れさせてはならない!というミッションを踏まえて、全編の構成を考えました。
コミコンでは時間の関係で9曲のダイジェスト映像だったのですが、本来の構成としては、IAの個性、強みであるダンスシーンを見せる「DANCEコーナー」、IA ROCKSの世界観をまとめた「ROCKコーナー」、「GO BACK TO IA」と題して、IAのβ版を世に初めて発表した2011年〜2015年までのIAの軌跡となる楽曲をVOCALOID文化の象徴でもあるMMDモデリングのIAで見せるミニコーナー、IAの代表曲である「カゲロウプロジェクト」のコーナー、そしてアンコールで、ライブテーマである「PARTY A GO-GO」の世界観を表現するといった感じでした。全19曲をOPとEDを除いて5つのコンセプトに分けて、各ブロックごとにテーマが幾重にも転換していくような狙いを込めて、セットリストを組みました。
――『Shooting Star』ではTeddyloidさんが楽曲に合わせてDJプレイを披露したり、IAさんと生身のバックダンサーが共にダンスをするといった演出が見られます。こういった生身の人間と、バーチャルの歌手が“セッション”をする感覚というのがライブ全体に貫かれているように感じます。このあたりに込めた狙いを教えて下さい。
村山:まさしく「セッション」です。ヴァーチャルとリアルの融合をライブでも表現する上で、一番の見せ場は「セッション」だと思っていました。セッションにより、ヴァーチャル対人間の「energy」「passion」の交流をトライして見たかったですし、結果、想像を超える融合が生まれたように感じています。私自身、鳥肌が立つような感動を覚えました。
――2017年1月でIAは発売五周年を迎えます。五周年に際し、現段階で企画していることなどありましたら公開できる範囲で教えてください。
村山:はい、1月27日にIA5周年、ONE2周年のアニヴァーサリーイベントを予定しています。
ここ数年はライブハウスでゲストやファンの方々をお招きしてのイベントを行ってきましたが、今年はネット発信で世界同時イベントを企画中です。どこまで実現できるかは未知数ですが、可能な限り、世界中のファンの皆さんに感謝の気持ちを届けられたらと思っています。
また、1月25日にはIA5周年を記念して「IA 1st Live Concert “PARTY A GO-GO“」のライブBD/DVDの発売が決定しています。こちらも是非楽しみにしていてください。
【IA OFFICIAL SITE】http://1stplace.co.jp/ia/
【LINE公式】 IA LINE OFFICIAL
Interview&Text_ARATO KUJU
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