VRと音楽の未来はどうなる!?『Bjork Digital』の裏側についてもインタビュー
――VRと音楽についてもお聞きしたくて。僕がVRで音楽コンテンツを初めて体験したのが、「Bjork Digital」だったんです。
西川:おー、そうなんですね!私、あれの設営を手伝いに行きましたよ!
――おおーーー、そうだったんですね!(笑)
西川:あの狭い中で、Viveをすっごいたくさん展示していてですね、しかもそれを二人で設営しようとしていたんですよ!(笑)「大丈夫??そんなんじゃ、明日までに終わらないよ!」って感じで、もう……(笑)
(Bjork『Not Get VR』のカット写真)
――あははは!あれ、幾つVive持っていったんですか?
西川:ちょっと覚えてないんですけど、20以上はあったと思いますね。予備含めたら30以上はありました。
(西川氏に提供頂いた、『Bjork Digital』設営の様子を捉えた一枚)
――Viveが30台……(笑)
西川:ラックがあって、5台ずつくらいPCを並べてそこにViveを繋げて、スイッチャーがあって切り替えて……っていう結構大掛かりな機材がありましたね。
(設営の様子。PCを5台並べたラックはかなりのサイズである)
――HTCさん側から見て、「Bjork Digital」の試みの面白さってどんなところにあっったと改めて思われますか?
西川:いままでミュージックビデオって、YouTubeもそうですけど携帯とかパソコンのスクリーンで見て。で、フラット(スクリーン)なので、どうしてもアーティストの皆さんが「スクリーンの向こう側の人」って感じだったんですよね。ある意味で、それはバーチャルな感じだったんですよ。「本当に存在するかもわからないけど、アーティストの人が向こうにいて歌っている」というような。一方、VRでああいったミュージッククリップを作るとアーティストの人が本当にとても身近に感じられるんです。VRは“バーチャル”リアリティなんですけど、逆にリアルに感じられるというか。ミュージックビデオや映画の新しい形が、ビョークさんの例で示されたんじゃないかなと思います。アーティストの方も音楽を作るときやミュージッククリップを作るときに、VRをどう使うか考え出している感があって、今後が楽しみですね。
(『Bjork Digital』にも展示された『stonemilker』MV)
――実際、アーティスト側からHTCさんに色々と問い合わせが来ているのではないかと想像します。
西川:そうですね!あと、ビョークさんは生身の人間でしたがバーチャル・アイドル、初音ミクであるとか。そういったCGのアイドルを使って曲を出すというのも進んでいて。いま、講談社さんがHop Step Sing!というVRのバーチャル・アイドル三人組で曲を出すというのを進めていて、携帯でもVRをダウンロードして見れるんですけど。そういった試みがありますね。
VRは『ミュージック・エクスペリエンス』
西川:ビョークさんの展示については未来館での展示の時は見るだけだったんですけど、本当はあれ、コントローラーを使ってインタラクティブに操作出来るんですよ。
――え、そうだったんですか?『Not Get VR』ですよね?
西川:そうなんです。三番目に展示されていた作品は、ビョークの身体から火花が出ていましたよね。コントローラーのトリガーを引くと、ビョークの身体から拡散されている火花を集めたり、放すと放出したり。ビョークが(『Not Get VR』では)踊っているんですけど、それと一緒に遊ぶようなことが出来たんです。
――へえ!!あの時は、そこまで出来なかった……(笑)
西川:ですよね(笑)。会場では見て、ハイ終わり!って感じだったと思うんですけど、フルバージョンだとそういう感じで。だから、(VRのミュージックビデオは)もうミュージックビデオって名前じゃ無くなるのかなって。
――ミュージック「ビデオ」じゃないですよね。ミュージック・エクスペリエンスって呼ぶべきだと僕は思うんですけど。
西川:そうそうそう!ミュージック・エクスペリエンスですね。
――VRと音楽が融合されたコンテンツは今後、増えるのは間違いないですよね。
西川:増えると思います!で、単にライブを360度カメラで見るのも流行るし、本数が出てくると思うんですけど、もっとアートと融合してビョークのような形にするとか、いろんな路線が出てくるだろうなと思いますね。例えば、アイドルだったらすごく近くまでこう来て、壁ドンして歌ってくれるみたいな(笑)
――たまらない……(笑)
西川:で、ずうっと歌ってくれる(笑)
Interview&Text_ARATO KUJU
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