山崎あおいは反骨精神の塊だ。親近感を覚える楽曲とは裏腹に、彼女は「のし上がってやる」という野心を燃やしながら、この東京で闘っている。今回は新作『marble』をリリースする彼女に、8つのキーワードを用意したインタビューを行った。2018年に始動した男女2人組シンガーソングライターユニット「motorpool」にはじまり、自身が手掛ける「作詞作曲」への矜持、「映画」や「アイドル」に注ぐ情熱や、彼女の独特のセンスを楽しめる「ブログ」など、ざっくばらんに「山崎あおいを構成する8つのキーワード」について語ってもらった。
Photography_Sakura Nakayama
Interview&Text_Ryutaro Kuroda
Edit_Miwo Tsuji
1.motorpool ーー色々な実験をできるプロジェクト
――まず1つ目のキーワードは、昨年からスタートしたユニット「motorpool」。山崎さんにとって、こちらのプロジェクトはどんなきっかけで生まれたんですか?
山崎 あおい(以下、山崎) : 私自身、シンガーソングライターとして活動する他に、作家活動もしているのですが、そのほとんどが女性シンガーやアイドルの方への曲提供なんです。なので、男性ヴォーカルに曲を作ってみたいなという思いがあって。そんなことを考えていた時に、元々地元の友達だった相方(西川真琴)に歌ってもらえばいいんだ! と思いついたんです(笑)。
――なるほど(笑)。
motorpool『Cloudy』
山崎 : 元々「motorpool」というユニット名も仮で決めたもので、遊びで曲を配信をしたのが始まりだったんです。なので、「motorpoolで売れるぞ!」っていう気持ちではなくて、曲の出口の1つとして持っていようという感覚でした。
――ということは、普段の創作とは違うスイッチが入る部分もあったり?
山崎 : そうですね。もちろん声質も全然違うので、私の声じゃ映えないけれど、彼の声なら映えるサウンドもあって。色々実験的なことができる場所です。歌詞も、ちょっと「イケメン」っぽいことを言ってみたり(笑)。私が歌ったらカッコ悪い英語の歌詞も、彼なら歌いこなせるかな、なんて。
2.札幌 ーー東京で闘う、道産子魂
――2つ目のキーワードは「札幌」。地元・札幌は、山崎さんにとって、どんな場所ですか?
山崎 : 北海道の人って、北海道熱が強いんです。私自身も、北海道に対して執着心がすごく強いと思います(笑)。
――そうなんですか!?
山崎 : 「私たちは、東京に闘いに来ているんだ!」という意識は、多分職業に関わらずあると思うんですけど、特にミュージシャンみたいな仕事をしている人には強いんじゃないかなって。私くらいの年齢まで、東京で音楽を続けている人っていうのは、やっぱり東京出身の人が多いから。その中で活動していると、簡単には地元に帰れないぞっていう、「道産子魂」が出てきますよね(笑)。
――山崎さんって、意外と反骨精神の塊ですよね(笑)。
山崎 : そうかもしれない(笑)。かなり土臭いところがあると、自分でも思いますね。
3.作詞作曲 ーー1番、自分の可能性を信じているもの
――次のキーワードは「作詞作曲」。ご自身の楽曲とは別に、作家として楽曲提供も行なっていますが、山崎さんにとって「作詞作曲」はどんなものですか?
山崎 : もう、ひたすら楽しいです。ソロでも、motorpoolでも、やっぱり曲を作っている時が1番楽しくて。作家としての仕事は、そんな楽しいことを存分にできる場なので、ここでのし上がってやる! という気持ちはすごく強いです。
山崎あおいが作詞作曲を手がけた、Juice=Juice『好きって言ってよ』MV
――つまり「作詞作曲」は、山崎さんにとって1番負けたくないところ?
山崎 : 負けたくないというよりも、自分の中で「1番可能性を信じているところ」なのかもしれません。シンガーソングライターとして大きな成果を出すよりも、作家として大きなことを成す方が現実的に感じられるというか。その後には、色々なものがついてくる気がするので「やってやるぞ!」という気持ちが強くあります。
4.映画 ーー人生の分岐点
――「映画」好きでも知られる山崎さん。特に影響を受けた映画は『E.T.』を挙げていらっしゃいますね。
山崎 : 『E.T.』は大好きですね。好きな映画はその時々で変わるんですけど、『E.T.』は小学生の頃、セリフを全部暗記したくらい好きです(笑)。今でも「少年が何かをする系」の映画は、ついつい好きになってしまいますね。
――少年が何かをする系(笑)。映画の影響は受けやすいタイプですか?
山崎 : はい、そもそもギターを始めたのもYUIさんが主演をされている『タイヨウのうた』を観たのがきっかけだったので。色々な映画が、人生の分岐点になっていて、私はそういうものに人生を左右されながら、やってきたような気がします(笑)。
――今まで観た中でベスト3を選ぶなら、どの映画を挙げますか?
山崎 : えー選べないなー!! でも『E.T.』は絶対挙げますね。次は『シング・ストリート 未来へのうた』かな。
――まさに「少年が何かをする系」ですね(笑)
山崎 : ですよね(笑)。あとは『わたしを離さないで』とか『ベイビー・ドライバー』、『キャロル』……って、5つになっちゃいました!
あと、映画ではないんですけど、Netflixの『ストレンジャー・シングス 未知の世界』にどハマりしています。あの作品を見てからは、自分の中で80’sブームが来ていて。映画やドラマにハマると、その時代の音楽にも影響されるので、作る曲にかなり影響が出ているかも(笑)。
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