amazarashiの文学性
ーー小説のストーリーを元にライブが進行されるということは、amazarashiの文学性を強く打ち出すことになると思います。秋田さんが感じる文学の魅力とはなんでしょう?
曖昧なものに名前を付ける、独自の定義をする、または誰もが知ってるものを違ったものに見せる、というのが文学の面白いところだと思います。
ーー秋田さんは、宮沢賢治に影響を受けた作品をいくつか作ってきたと思います。たとえば『よだかの星』や『スターライト』などです。秋田さんにとって、宮沢賢治とはどのような存在なのでしょうか?
宮沢賢治は小学校の教科書に入ってたくらい身近なものだったんですが、優しい物語ながらいつも死が近くにある刹那的な視点が多いです。そういう所にハッとさせられます。
ーー宮沢賢治の他にも、太宰治や寺山修司が好きだと公言されていますが、現代作家の作品も読みますか? 読むとしたら、どういった作品が好きですか? また、最近読んで面白かった作品はありますか?
未だに寺山修司のエッセイとか買って読みます。手に入りづらいものとかも多いので、今になって買えるものも多いです。現代のものもたまに読みますが、ドラマに触れたい訳じゃなく、個人の面白い哲学を求めてるんだと思います。
ーー秋田さんの歌詞には、『未来づくり』などの例外を除いて、英語表記のものがほとんどありません。日本語に対する強いこだわりがあるのでしょうか?
単純に違和感が嫌だからです。洋楽も英語を歌う日本のアーティストも好きですが、僕は普段日本語しか喋らないわけですし。
ーー最近では『季節は次々死んでいく』がアニメ『東京喰種√A』のエンディングテーマに、『スピードと摩擦』がアニメ『乱歩奇譚 Game of Laplase』のオープニングテーマになったことなどもあり、若いリスナーが増えていると思いますが、秋田さんの歌詞には、若い世代にとってなじみの薄い言葉も多いと思います。具体的には、『14歳』の「白色矮星」や『ヒガシズム』の「実存」、『夜の一部始終』の「希死念慮」、『自虐家のアリー』の「被虐者の愛」などです。そこで聞きたいのですが、歌詞作りにおいて気をつけていることや、こだわりのポイントなどがあれば教えてください。
あまり聴く人の事は考えないです。自分にとって面白い視点、自分だけの比喩、そういうものができたらなと思ってます。あとは自分をびっくりさせる、自分を感動させるというのが、曲作りでのハードルだと思ってます。
ーー「映像×音楽」「テクノロジー×音楽」「文学×音楽」というように、他カルチャーへの接近がamazarashiの魅力のひとつだと思います。音楽というジャンルだけに縛られず様々なカルチャーに接近していくことを、秋田さんは自覚的に行っているのでしょうか? それとも、やりたいことを追求していった結果としてジャンル越境的な作品ができあがったのでしょうか?
面白いものに飛びついて行ったらこうなった、という感じです。凄いクリエイターの人がいたら感動するし、その感動が次の僕らの創作にも繋がったりするので、そういう刺激を求めているんだと思います。amazarashiのコアな部分、楽曲制作などはシリアスにやって、その他の部分は単純に楽しんで、自分自身が驚くような事がしたいです。
ーーかつてのamazarashiは、社会に対する違和感や怒り、認められないことへの苦しみ、絶望、恨みつらみ、自分の中にある汚いものの浄化、などをモチベーションにしていたと思います。しかし今ではamazarashiは、『世界収束二一一六』がオリコンアルバムウィークリーチャート4位にチャートインするなど、多くのリスナーから支持を得るようになりました。こういった環境の変化に対して、秋田さんはどう感じているのでしょうか? また、現在は何をモチベーションとしているのでしょうか?
生活も環境もそんな変わらないです。確かに自分の刺々しい感情は薄まった気もしますが、喜怒哀楽がなくなる訳ではないのでモチベーションは途切れません。以前はどう這い上がろうかっていう意志で動いてたんですが、今はどういう人生にしたいかという意志でやってます。
ーー初期の歌詞には、自殺を連想させるものが多く見受けられました。しかし最近では、人生を肯定するような曲が増えてきたように思います。これはどうしてでしょうか?
死にたいとは思わなくなりました。amazarashiの初期にあった「自分を肯定する」というテーマはもう達成したと思います。
ーーもしも、かつて苦しんでいた自分に会えるとしたら、どんな言葉をかけますか?
そのまま頑張れ、と伝えます。
amazarashi LIVE 360°「虚無病」ライブ・ビューイング
【日程】2016年10月15日(土)17:00 START
【会場】全国各地の映画館
※開場時間は映画館によって異なります。
【料金】3,800円(税込/全席指定) ※LV限定チケットホルダー付
※3歳以上有料/3歳未満で座席が必要な場合は有料となります。
※LV限定チケットホルダーはLV当日映画館にてお渡しいたします。
■amazarashi OFFICIAL HP http://www.amazarashi.com/
主催:ホットスタッフ・プロモーション
企画:レインボーエンタテインメント、ライフ
協賛:ソニー・ミュージックレーベルズ
配給:ライブ・ビューイング・ジャパン
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