「パンクファッション」や「B系ファッション」などのファッション用語がある通り、音楽とファッションは切り離せない存在です。ビートルズの「モッズファッション」、ジミ・ヘンドリックスの「ヒッピーファッション」、セックス・ピストルズの〈ヴィヴィアン・ウエストウッド〉、キャロルの「革ジャン」……。遡れば遡るほど、アーティストきっかけで流行したファッションが多くありました。
(引用元:セックス・ピストルズ公式HP)
もちろん、90年代以降もその傾向は見られます。例えば1990年代、街には「アムラー」と呼ばれる女子高生が。「アムラー」とは、今もなお活躍し続けている〈安室奈美恵〉のファッションを模した人々のこと。ミニスカートに厚底ブーツ、茶髪、ロングヘア、細眉は当時の“イケてる女子高生”の制服的存在でした。好きなアーティストのファッションを真似するのは、流行に敏感な若者たちのセオリーなのです。
こちらの画像は最近のものですが、ミニスカート・ブーツ・茶髪・ロングヘアーは健在です!
(引用元:安室奈美恵公式Facebook)
◆雑誌の表紙にも多くのアーティストが登場していた時代。
「アムラー」以外にも、1990年代〜2000年代は〈浜崎あゆみ〉、〈倖田來未〉、〈CHARA〉、〈YUKI〉、〈aiko〉、〈PUFFY〉、〈木村カエラ〉など人気のアーティストを真似する女性が、ストリートを賑わせていました。それに伴い、雑誌の表紙をアーティストが飾ることも。『ViVi』や『JJ』の赤文字系や『Cawaii!』などのギャル系雑誌には安室奈美恵、浜崎あゆみ、倖田來未が登場。特に浜崎あゆみは『ViVi』に連載「Ayuのデジデジ日記」を持っており、2017年3月23日発売号まで17年にわたって連載を書き続けていたほど。世代を越えて、浜崎あゆみのファッションが支持されていた証拠です。
『ViVi』2017年6月増刊号
(引用元:『ViVi』公式HP)
一方、『Zipper』や『CUTiE』などの青文字系雑誌でもaiko、PUFFY、木村カエラなど多くのアーティストが表紙を飾っています。CHARAとYUKIの2人が『Zipper』の表紙を飾った時は大きな話題になり、原宿ガールたちがこぞって購入したほど。その後も『Zipper』ではSuperfly、土屋アンナ、きゃりーぱみゅぱみゅなどのアーティストが表紙を飾り続けています。
『Zipper』2009年8月号
(引用元:Amazon)
◆若い女性のストリートファッションに変化が見られる昨今。
一昔前こそ、「曲が流行する⇒アーティストに注目・憧れの対象になる⇒ファッションのテイストを真似する」という構図がありましたが、現在はその傾向が薄くなってきているのではないでしょうか。ORICON STYLEが10〜50代の女性を対象に行なった「ファッションアイコンとして注目している女性有名人」というアンケートの結果を見てみましょう。
1位 ローラ
2位 きゃりーぱみゅぱみゅ
3位 水原希子
4位 安室奈美恵
5位 藤田ニコル
6位 桐谷美玲
7位 中村アン
8位 西内まりや
9位 ぺこ
10位 佐藤ありさ
アーティスト以外にも、多くの有名人が名を連ねています。もちろん、きゃりーぱみゅぱみゅをはじめ、加藤ミリヤや西野カナなど、今でもファッションアイコン的アーティストは多くいますが、SNSの普及により女優・モデル・タレント・著名人など幅広い人々がファッションを発信できるようになりました。様々な要因はあるものの、「有名人のファッションセンスを目にする機会が増えたため、ストリートファッションに影響を与える対象が分散された」という事実は大きな要因のひとつと言えそうです。
わずか20年の間で、ファッションアイコンとなる対象は大きく移り変わっています。今後、ストリートファッションに影響を与えるファッションアイコンにどんな人物が名を連ねていくのでしょうか。今、ファッションコーディネートアプリ「WEAR」の人気のあるユーザー・影響力のあるユーザーこと“WEARISTA”なる人々が、人気を博しています。そんな彼女たちが、「ファッションアイコンとして注目している女性有名人」としてランクインする日が来るのかもしれません。
SHARE
Written by