スタンダードになりつつある「スーパーマリオ」のスピンオフ作品
先述したように、スーパーマリオシリーズには、数々のスピンオフ作品がある。その中でもっとも有名なのが、「マリオカート」だろう。このシリーズには、過去作品のサブキャラクターたちも多数出演する。すでにひとつの親コンテンツとして自立しているのが特徴だ。
スーパーマリオシリーズにおいて、このようなタイトルは少なくない。公式ウェブサイトには、マリオカート、マリオ&ルイージRPG、マリオパーティ、マリオテニスの4種類が挙がっているが、大きなシリーズとなっていないものまで含めれば、さらに数は増えるだろう。最近では、ドクターマリオのスマホへの移植が話題となった。おなじみのキャラクターであるヨッシーやワリオを主役に据えたシリーズもある。また、広い視点で見れば、過去にこのコラムで扱ったスマッシュブラザーズもスピンオフ作品と言えるかもしれない。
プレイヤーからクリエイターへ。新しく生まれた「マリオメーカー」というカルチャー
そして今、スーパーマリオシリーズは、また新しいカルチャーコンテンツとなりつつある。
これまでのマリオシリーズは、“任天堂”がつくったステージを“プレイヤー”が遊ぶ、という構図だった。しかし、マリオメーカーシリーズでは、プレイヤーによるステージの作成が可能になっている。もちろん作成したステージは、インターネットを通じて世界中のプレイヤーへと発信することが可能。これまでメーカーしか携われなかったステージメイクの部分が、すべてのプレイヤーへと解放され、スーパーマリオシリーズは、関わるすべての人間で面白さを作り上げられるコンテンツとなった。
YouTubeなどのゲーム実況では、配信者に自作のステージをプレイしてもらう視聴者の姿もある。ステージの評価システムである“いいね”を請うていく動きは、ゲームを介したSNS的なムーヴメントとも言えるだろう。従来のゲームにはなかった独特のカルチャーが醸成されている。
マリメ配信の代名詞となっている、“うんこちゃん”こと加藤純一の配信アーカイブ。
動画内では、今作初実装の「バトルモード」をプレイしている。
スーパーマリオシリーズは、任天堂が生み出したエンタメ系ゲームコンテンツの究極形
動画や配信を観ていると、なぜかプレイしたくなってしまう。これが“楽しい”を軸にするスーパーマリオシリーズのエンタメ力だ。フリークを夢中にする現在のゲームカルチャーは、スーパーマリオシリーズが切り拓いてきた土台の上に成り立っている。これからスーパーマリオはどのように進化していくのか。その行方は、ゲーム業界全体の行方と言っても過言ではないだろう。
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