90年代への憧れ、ドラマチックに生きていきたい
――自分の過去の恋愛経験が作品に反映されたりすることもありますか?
あいみょん: 基本的につくるときは自分のことじゃないと思ってつくっているから、「どういうふうにつくられたんですか?」ってきかれたら「妄想です!」って言っちゃうんですよ(笑)。でも何年後とかに改めてきいたら、「あのときは強がって妄想とか言っていたけど、結局は自分のことを書いていたんだな」と思うこともあったりして。
MICO: それめっちゃある!(笑)。あとわたしは歌詞で予言しちゃうことが多くて、書いていたことが本当に起きたりします。「言霊」ってあるじゃないですか、曲の歌詞をライブやレコーディングでたくさんたくさん歌うから本当に起きるのかなって、それってすごいことですよね。
――ちなみにMICOさんは前回の対談で、「恋愛がうまくいっていると作品もうまくいく」という話をされていましたが、あいみょんさんはどうですか?
あいみょん: わたしはうまくいっていないときのほうが書けますね(笑)。
MICO: やっぱり普通はそうだよね。いろんな人から「女性は恋愛で幸せになっちゃうとつまらなくなる」という話をよくきくんです。でも「それって本当だろうか?」というのがわたしの中にすごくあって。心が平穏なときのほうが良いライブができるんです。平穏じゃないときはそのことばっかり頭の中にあるから何にも集中できないっていう(笑)。
あいみょん: わたしは何かがあったら逆に忘れちゃうタイプ(笑)。奥底ではやっぱり残っちゃってるけど。
MICO: それができるのが良いよね、すごく羨ましい(笑)。
――お二人は、ほかのアーティストの恋愛をテーマにした作品で好きなものはありますか?
あいみょん: 浜田省吾さんの『もうひとつの土曜日』ですね。わたし比喩表現が上手な人が好きなんです、男性のシンガーソングライターが書く恋愛ソングに女性はかなわないと思っていて。ハマショーさんの『もうひとつの土曜日』には「瞳縁取る悲しみの影」という歌詞があるんです。それは涙のことなんですけど、涙のことをそう表現するって、わたしには絶対できないことだと思いました。男性だからこそ書けるものなのかとかいろいろ考えてしまいます。
MICO: 女性アーティストで好きな恋愛ソングはある?
あいみょん: 女性アーティストだと松任谷由実さんが好きです。女性アーティストはやっぱり極端なんですよ。たとえばJITTERIN’JINNさんの『プレゼント』の歌詞とかも極端じゃないですか。女の子は極端だからこそ面白いのかもしれない。
MICO: その感じはすごくわかるかも。わたしは完全にSMAPなんです、『セロリ』とか『しようよ』とか『たいせつ』とかの歌詞が好きで。あの時代の歌詞は何か架空の「SMAPくん」っていう人物がいて、その人との物語が描かれているような気がするんです。物語や世界観が見える歌詞が好きだから、一個のドラマを見ているような感覚になれるのがすごいなって。しかも、時代感的に自分が体験していないことが描かれているから、そういうところにも惹かれているのかなって。
――お互い男性アーティストを第一にあげたのがすごく面白いなって思いました(笑)。
MICO: 確かに!(笑)。
あいみょん: 男性が書くラブソングって最終手段だと思うんです。男性が恋愛で悩んだとしても、相談をあまりせずに最終手段として曲にしている人が多い気がします。槇原敬之さんの『もう恋なんてしない』の歌詞もそういう切実さがすごく出ているなと。
――逆に女性だからこそ書ける歌詞ってあると思います?
あいみょん: 自分のことを「超かわいそうな女の子」に仕立て上げるのは得意だと思います(笑)。
MICO: わたしは女性だと古内東子さんの恋愛ソングが好きなんです。古内さんの曲を秋の肌寒くなってきたときに失恋した気分になって聴くのがすごく好きで(笑)。あとは、aikoさんの曲とか、昔聴いてもわからなかったのに今聴くとすごくわかったり。恋愛についてよくこんなバリエーション広く書けるなって。
あいみょん: aikoさんの『カブトムシ』は最強の恋愛ソングだと思います!
MICO: わたしは『えりあし』派!この前失恋した友だちと一緒にカラオケに行って歌ってあげました(笑)。「やめて!」って言われたけど(笑)。
――今日あげていただいた曲って90年代の曲が多いのも面白いと思いました。最近の恋愛ソングはどうですか?
あいみょん: うーん、もっと極端になっていると思います。「会いたくて 会いたくて 震える」んですよ、そのワードだけで情景が浮かんでくるというか、どのくらいの熱量かがわかるのがすごいなって。
MICO: 最近のラブソングは本当にリアルな気がします。90年代の曲もその時代の人たちにとってはリアルなものだったんだと思うんです、でもわたしにとってはドラマの世界。たとえば、back numberさんの曲は自分にとってリアルすぎて、友だちの恋愛話をきいている感覚で聴けるから好きなんです。でもドラマチックには聴こえなくて、そういう曲が聴きたいときは90年代とか昔の時代の曲を聴くことが多いですね。
あいみょん: 昔の曲って確かにすごくドラマチックに聴こえますよね。
MICO: 体験していないからこそドラマチックに聴こえるんだと思います。そういうドラマチックさが好きで、自分の作品にも反映されているのかなと。日常をただ現実だと思って生きるよりは、1mmでもドラマに近づこうと思って生きていたほうが楽しいかなって思うんです。ドラマの世界って憧れるじゃないですか、憧れるくらいだったら近づこうとしてみたほうがいいんじゃないかなって。そういう感覚でこれからも生きていきたいです。
MICO INFORMATION
Quattro Royal Straight Push supported by MEETIA Vol.3
2017年2月23日(木)
@名古屋クラブクアトロ
出演アーティスト : SHE IS SUMMER、カリスマドットコム、LILI LIMIT、フレンズ
自主企画ライブ「SHE IS SUMMER JOIN ROOM SHARE」
2017.3.10 (Fri)
at 渋谷WWW (東京)
OPEN 18:30 START 19:00
出演:SHE IS SUMMER / 吉澤嘉代子 / LUCKY TAPES
2017.3.25 (Sat)
at LIVE SQUARE 2nd LINE (大阪)
OPEN 18:30 START 19:00
出演:SHE IS SUMMER / 南波志帆 and more
詳しいライブ情報は、Official Site にて
http://she-is-summer.com
あいみょん INFORMATION
メジャー1stシングル『生きていたんだよな』
発売日:2016年11月30日(水)
価格:¥1,080(税込)
<収録内容>
M.1 生きていたんだよな
M.2 今日の芸術
M.3 君がいない夜を越えられやしない
(全曲作詞・作曲:あいみょん)
あいみょん×渋谷La.mama共同企画「弾き語りー330ー」
2017年1月25日(水)@渋谷La.mama
あいみょん対バンツアー「272ツアー」
2017年2月18日(土)@大阪 阿倍野ロックタウン
2017年3月6日(月)@東京 下北沢シェルター
2017年3月15日(水)@愛知 HeartLand
2017年3月17日(金)@福岡 LIVE HOUSE Queblick
2017年3月21日(火)@神戸 music zoo 太陽と虎
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