今回で6回目のヒーローコラム「ライカヒーロー」。
仮面ライダーシリーズ、ウルトラマンシリーズなど、王道のシリーズをこのコラムで紹介するも意外とまだ紹介出来ていなかったシリーズがひとつある。
それが5人のヒーローが一丸となり悪と闘う「戦隊モノ」だ。
東映が制作するスーパー戦隊シリーズと呼ばれる戦隊モノ。その戦隊モノの全ての起源となるのは、かの有名な作品「秘密戦隊ゴレンジャー」だ。
レッドやブルー、イエローにグリーン、そしてピンクのヒロイン。そんなカラフルな5人組のヒーローが悪の怪人を討つ・・・今では見慣れた当たり前の構図となったスーパー戦隊シリーズ。
しかしゴレンジャーが放送される1975年前後、この時代は一匹オオカミで孤独に活躍するヒーロー作品が多かった。そんな背景からあまり積極的に作られていなかったグループモノは、幾度と無く制作者サイドの意見が交差した様だ。
仮面ライダーの大成功があった為「5人の仮面ライダー」を一気に登場させてみては・・・という番組案もあったらしいが、真新しさが無い為か叶わず。
そこで試行錯誤を繰り返し、カラフルでシンクロした動きや必殺技を盛りに盛り込んだゴレンジャーは、当時の子ども達に大人気を博し、視聴率が常時20%を超えるという脅威の数字を叩き出し大成功を収めた。
そんなゴレンジャーを皮切りに、「ジャッカー電撃隊」、アメコミの金字塔マーヴルコミックス社と共作で、巨大ロボも初登場する「バトルフィーバーJ」、「電子戦隊デンジマン」「太陽戦隊サンバルカン」・・・と数々の戦隊ヒーローが登場し、現在シリーズ40作目の「動物戦隊ジュウオウジャー」が放送中。スーパー戦隊シリーズは、今もなお続く超が付くほどの大人気シリーズとなった。
1980年放送の電子戦隊デンジマンの頃から各戦隊にモチーフやコンセプトをしっかりと持たせ、キャラクター像を際立たし、更にシリーズの繁栄に拍車をかける事に成功。科学を武器とした「科学戦隊ダイナマン」。動物をモチーフとした「超獣戦隊ライブマン」。ミニ四駆ブームを受け車をモチーフとした「高速戦隊ターボマン」。名前のまんま恐竜がコンセプトの「恐竜戦隊ジュウレンジャー」など、子ども達が夢中になる要素を毎回毎回取り入れ、人気を博して来た。
そんな長寿シリーズのスーパー戦隊シリーズの中で、今回紹介したいのは少しストリートテイストやサイケデリックさを感じる異色の戦隊もの「忍者戦隊カクレンジャー」(1994年放送)だ。
当作品はシリーズ初の忍者をモチーフとした作品で、悪役にも妖怪を器用。シリーズ初の和テイストを全面に打ち出した戦隊ヒーローとなった。
戦国時代、妖怪たちと激しい死闘を繰り返していた鶴姫を中心とする忍者の猿飛佐助、霧隠才蔵、三好清海入道、児雷也。彼らは三神将の力を借り、封印の扉に妖怪の総大将ヌラリヒョンと妖怪エネルギーを封印する事に成功。
しかし、長きに渡り守られてきた封印の扉が解かれ、妖怪達が現代に復活。24代目鶴姫や、当時妖怪と死闘を繰り広げた、それぞれの忍者たちの末裔が集まり、5人の忍者はカクレンジャーとして妖怪をもう一度封印するべく闘う事を決意する。
というあらすじで、戦隊ヒーローに今までになかった様な時を超えた壮大なストーリーがベースとなっている。
しかしそんな壮大なストーリーとは裏腹に、当時の戦隊モノでは珍しく、コミカルでカジュアルな演出や脚本が目立ち、今でもファンの多い作品となっている。
放送当時、世間ではストリートファッションが大ブーム。HIPHOPのみならずスケートボードやスノーボードファッション、ルーズソックスやコギャルカルチャーが生まれ出した時期もこの1994年。
とは言え子どもたちには余り関係のない世間のムーブメント。しかしカクレンジャーはそんな世間の、あの時代の独特な雰囲気をふんだんに取り入れ、作り手サイドの遊びが随所に見てとれる。
カクレンジャーに変身する若き5人の忍者たちは各々自由なストリートファッションに身を包み、クレープ屋を営み、言葉遣いも東京のこの時代の若者を彷彿させる。
それに対抗する妖怪も一風変わった出で立ちをしているものが多く、第1話に登場するカッパはラスタカラーにドレッドヘアーの陽気な妖怪。ギャンブルが好きなぬりかべは赤レンガのボディで、その上からスプレーでグラフィティーが描かれている。迷彩柄でアーミーなアイテムを纏ったドクロ姿のガシャドクロは、完全にヘヴィメタバンドのあのジャケットのキャラクターをイメージしているに違い無い。
そんなファッションや妖怪の斬新なデザインに加え、「SHU!」や「DOOOOM!」などの英語の擬音が画面いっぱいに出てくるアメコミ風の演出。エンディングテーマに初のラップを器用し妖怪たちがダンスするなど、過去の戦隊モノにとらわれる事無くカジュアルでアーバンなこの時代を、作中で表現している。
その他戦隊モノでは珍しい設定がいくつか存在し、カクレンジャー独特の魅力を引き立てる。
「リーダーはレッド」というお決まりを無視し、ヒロインの鶴姫がカクレンジャーのリーダーとして活躍。それもヒロインはピンクというお決まりを破りカラーはホワイト。
ブラックのジライヤは日系アメリカ人で、ギリギリ日本語が喋れるカタコト仕様。
特撮にはお馴染みのナレーターがこの作品では不在。しかし物語の節々に、落語家の三遊亭圓丈が登場し、アッパー気味の落語調でストーリーをサポートしていくのも異色だった。
と、紹介すればキリがないのだが、カクレンジャーは当時のストリート感や、少しゆるくトレンディでコミカルな設定などが際立ち、今見ても他の戦隊モノに比べ楽しめる要素があり色褪せない作品となっている。
ちなみにジライヤを演じるのはあのケイン・コスギ。更には父のショー・コスギもジライヤの師匠として登場。敵のガシャドクロことジュニアを怪演するのは遠藤憲一・・・と今となっては中々レアな若かりし頃の名俳優を観る事も出来る。
現在40作目のスーパー戦隊シリーズ、動物戦隊ジュウオウジャーが放送中だが、来年2017年2月からは41作目の「宇宙戦隊キュウレンジャー」の放送が決定している。キュウレンジャーは文字通り9人の戦士が登場するという本来の5人の戦隊モノよりもかなり多い人数設定の意欲作。
カクレンジャーや新作 キュウレンジャーの様に未だ冒険し続けるスーパー戦隊シリーズにこれからもヒーロー好きの期待は高まる一方だ。
イベント出演情報
『MUTANT CAMP』開催!BASI & THE BASIC BAND、Creepy Nuts、KOPERU&ISSEIら出演
MUTANT CAMPイベント概要
出演者:BASI & THE BASIC BAND / BES / Creepy Nuts (R-指定&DJ松永) / APOLLO / KOPERU & ISSEI feat. 熊井吾郎 / Rude-α / 渋谷サイファー vs 梅田サイファー
日時:2017年1月26日(木)
会場:渋谷クラブクアトロ
開場 / 18:00 開演 / 19:00
前売り : 4,200円 当日:4,700円(*ドリンク代別)
チケット発売中(http://www.diskgarage.com/ticket/detail/no074532)
・ローソンチケット:Lコード:74949
・チケットぴあ:Pコード:316-045
・e+(イープラス)
主催/企画/制作:NTTドコモ、PARCO、レインボーエンタテインメント、DISK GARAGE、BROTH WORKS
-運営 / 問い合わせ:DISK GARAGE 050-5533-0888 (weekday12:00~19:00) http://www.diskgarage.com/
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