仕事で福岡へ。少し時間があったので一日延泊して、以前から興味があった草木染めの工房を訪れました。
草木染め
草木染めとは、化学染料を使用せず、天然から抽出した染料を用いて染める染色方法のことです。
簡単に草木染めについて説明をすると、
主に植物の葉、茎、根、実などを煮だした液に繊維など染めたいものを浸し、加熱し、染まった色素を金属イオンと結合させて発色させる。出したい色によっては、アルミニウム、銅、鉄分などを溶かした液に繊維を浸します。これを媒染といい、植物抽出液と媒染を繰り返すことで色素の繊維染着を良くし、染色濃度を上げる。といった感じです。
要するに、身の回りにある身近な植物や食べ物、例えば、タマネギやコーヒー豆、ハーブや桜の花なんかでも色をつけることができる原始的な染色技術。
化学染料が開発されるずっとずっと昔から、人は衣服や生活に使う布を染めてきました。それは、身に着ける人の地位を表すためだったり、虫除けや防虫の為であったりと、染める目的が今とは少し違うかもしれませんが、職人技のようではあるけど昔ながらの手法なので、実は身近なものを用いて簡単に行えるんです。
工房を訪れる前に夢細工の社長と電話でやりとりした時のこと。
社長が言っていた言葉がとても印象的でした。
「草木染めは伝統技術。伝統っていうのはね、口伝えで教えられるくらい簡潔で単純であるからこそ、伝統になったのよ。だから、複雑じゃない、誰でもできる。」
ただし、化学的な染料とは違い、天然から取れる染料は安定せず、同じ色を表現することが難しかったり、濃く発色させるにはかなりの手間が必要。季節によって入手できないものももちろんあるので、量産するには不向きとされるけれど、化学染料とは違った染まり方は独特の雰囲気を醸し出します。その色作りには無限大の表現方法があることから、草木染めに拘る染色家、草木染めを求めるファンも数多くいます。
草木染めの工房を訪れるため、博多から2時間かけて秋月にある草木染め工房・夢細工さんへ行ってきました。
工房は福岡の山奥にあるので、今回の旅は福岡電車旅。
JR博多駅から鹿児島本線の久留米行きに乗り、
途中、基山駅という駅で甘木鉄道の甘木駅で下車
甘木駅から1時間に1~2本しか走っていない、ローカルバスで約20分。
バスは延々と続く山の一本道を走って、やっと目的地の工房前に到着しました。
バスを降りた瞬間に山の匂いと空気の澄んだ冷たさを感じました。
草木染めに必要不可欠なのが綺麗な空気と水。何度も洗って何度も干す。その繰り返しで色を染み込ませていくからです。
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