CLUB CRAWL pre.「3×3×3」vol.6
ギター、ベース、ドラムというオーソドックスなバンドの編成を考えたときに、恐らく最小の編成であろう「3人」。マスタリングやライブの際にサポートメンバーが入る場合もありましょうが、基本的にはこの人数でパフォーマンスに臨みます。当然ながら4人や5人と比べると音に制限があるわけですが、人数が音楽の豊かさに直結しないところがバンドの面白さですよね。スリーピースにはスリーピースの美学や迫力があるように感じます。
そんな「3人」に魅せられたあなた。あなたにピッタリなイベントがあります。それが、渋谷のライブハウスCLUB CRAWLで開催される「3×3×3」。2017年の3月に、「3」をキーワードとして、3ピースバンドの3マンイベントを行い、内容、金額の安さ(チケ代¥333 3Drink代別)も相まってCRAWLの最大キャパ200人分のチケットがSOLD OUTしました。過去にはおいしくるメロンパンやSIX LOUNGEらが出演しています。
今年の3月3日にも同じくCRAWLで開催されることが決定していまして、この記事では本イベントに出演する3バンドをご紹介しましょう。
The Cheserasera
The Cheserasera – 「グッドラック」
個人的に思い入れがありすぎるバンドなので、その話を。バンドの詳細については、こちらの記事に任せます。実は筆者、The Cheseraseraのフロントマンである宍戸翼さんとは過去に一度ご一緒したことがあるんです。もう7年前になるんですが、宍戸さんがNHKで放送されていた「wktkラヂオ学園」という番組にご出演なさったとき、私はそこのスタッフとして働いておりました。この紹介文を書いたのは私です。
The Cheserasera/月と太陽の日々…バンド名は、スペイン語の「ケ・セラ・セラ(なんとかなるさ)」に由来する。陰と陽が絡み合う歌詞世界と、それに呼応するかのようなグルーヴが印象的。2014年、最も注目するべきバンドのひとつ。…Now on Air #wktk_r
— らじらー! (@nhk_radirer) June 1, 2014
The Cheserasera/でくの坊…音楽ジャーナリストの鹿野淳が、今回のアルバムのライナーノーツに寄稿しているのだが、その中でBUMP OF CHIKENと比較している。まさに、憂鬱と救いが同居する「あの感じ」なのです。…Now on Air #wktk_r
— らじらー! (@nhk_radirer) June 1, 2014
懐かしい…。拙筆ながら、当時から本気で彼らを応援しておりました。が、Twitterの短文でいかにバンドの良さを伝えられるかに苦心し、かえってアレな文章になっているような気がしなくもないです。いやはや、その節は大変お世話になりました。「月と太陽の日々」をリリースしたころの彼らはメジャーレーベルに所属してらっしゃいましたが、現在は自身でレーベルを立ち上げ、インディーの世界に舞い戻っておられます。2018年に宍戸さんがこんなツイートをしてらっしゃったのを、今でもよく覚えています。
メジャー辞めて給料も遠征費も無くてそれでもダサくなりたくなくて、毎日バイトしてももう借金まみれで普通なら諦める所まで来たけど、遂に人を入れず自分でMV作りました。撮影編集全部iPhoneです。まだこんなにやる気で往生際の悪いバンドThe Cheseraseraを何卒。https://t.co/n3tsioZDT7 pic.twitter.com/coto8RlcU0
— 宍戸 翼 (@tsubasashishido) March 4, 2018
「唐突に自分語りなんてこのライターは気がふれたのか?」と思われそうですが、弁解させてください。私、ほとんど同じ時期に、ほとんど同じ状況だったのです。ダサくなりたくなくて、自分が心から支持できるアーティストをサポートしたくて色々辞めました。全然食えなかったのでバイトもしてました。今はそれなりにどうにかなってますが、それは紛れもなくThe Cheseraseraのようなアーティストの存在があったから。本当に自分の決断が正しかったのか自問自答する日々もありましたが、今なら言えます。圧倒的に正しかった…!そして7年前の私、よくぞこんな素晴らしいバンドを愛してくれた…!The Cheserasera、今が一番カッコイイぞ。そしてグッドラック、今日もどこかのライブハウスで壁際ボーイズ(あるいはガールズ)を決め込む、いつかの私。
Absolute area
Absolute area – 「カフネ」
2017年の『未確認フェスティバル』ファイナリスト。邦ロックシーンは最初の2歩ぐらいまでは世界でも屈指の育成システムが構築されているように感じます。才能あるティーンエイジャーをフックアップすることには、各所かなり力を割いているのではないでしょうか。未確認フェスはその好例でして、最近ではAbsolute areaのほかに諭吉佳作/menやSULLIVAN’s FUN CLUBなどが通ってきてますね。その段階から、アーティストを取り巻くコミュニティが大きくなってゆく様を見るのは痛快です。2019年に『無限遠点』がリリースされるころには、Absolute areaの曲は有名なラジオ番組でもオンエアされるようになっていました。「遠くまで行く君に」のMVは、2021年2月時点でYouTubeの再生回数448万を誇ります。しかし邦ロックシーンがティーンの才能を発掘したあと、その評価軸がきちんと動作しているかは疑問が残りますね。マンションを建て続けるゼネコンよろしく、3歩目以降の育成には関知せずに違う種を探しに行ってしまう。見出したからには相応の責任を負う必要はあるのではないかと、メディアの末席を汚す者として考えています。そして、その役割はライブハウスでも担えるのではと。つまり、「少しでも興味があればコミュニティにガンガン参画してください」ということです。何卒、何卒。Absolute areaはライブが良いので、あえてライブ映像を貼りました。
ANABANTFULLS – 「大人になれよ」
昨年、メンバーのひとりが脱退したことにより3人体制となったバンド。そんな状況を知った上でこんなことを言うのは語弊があるかもしれませんが、彼らのサウンドは人々が「スリーピース」と聞いて想像する音に限りなく近いと感じます。少人数編成バンド、結構な割合で骨太オルタナロックじゃないですか? White Stripes(2人ですが)やRoyal Blood(2人ですが)、日本で言えばACIDMAN…。限られた手数で最大限の音圧を作らなければならないので、必然的に迫力のあるサウンドになるのかもしれません。上の「大人になれよ」は3人体制初のシングルなのですけれども、他の曲がスリーピースで演奏されたときどのような変貌をとげるのか楽しみです。個人的には「Brother」や「アンテイルザサン」を聴いてみたいですね。なお、サポートメンバーは入れないそうです。
■ CLUB CRAWL pre.「3×3×3」vol.6
2021.3.3(水)
@ CLUB CRAWL
出演
The Cheserasera / Absolute area / ANABANTFULLS
<イベント詳細・チケット情報>
来場、配信チケット好評発売中!
https://l-tike.com/concert/mevent/?mid=563923
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