シーンを席巻する“Z世代”の才能たちと、その中で独自の個性を見せる「生活は忘れて」
「Z世代」という言葉をご存知だろうか?1990年代後半から2000年ごろに生まれた、現在20歳前後の層を指す言葉だ。
物心がついたときから、当たり前に暮らしの中にインターネットがあったこの世代は、“デジタルネイティブの世代”とも呼ばれている。いま日本の音楽シーンでは、こうしたデジタル起点で活動を展開する若いアーティストに注目が集まっている。
TwitterやInstagram、YouTubeなどのプラットフォームでは、インフルエンサーとしても活躍する彼ら。この記事では、2020年代マストとなっていくであろうZ世代でも指折りのアーティストたちを紹介する。
デジタルプラットフォームを起点に台頭を見せる5組のアーティスト
Mega Shinnosuke – 桃源郷とタクシー (Official Music Video)
Mega Shinnosuke
まず名前を挙げたいのが、2000年生まれのシンガーソングライター・Mega Shinnosuke(メガ シンノスケ)。
東京生まれ・福岡育ちの彼は、17年秋よりオリジナル楽曲の制作をスタートすると、ロックやシティポップといったトレンドジャンルを下地に、独特のメロディーセンスを発揮。あっという間に、アンダーグラウンドで注目のクリエイターの1人となっていった。彼の多才さは、歌唱や演奏、音楽制作だけでなく、アートワークや映像の制作も自身でこなす点にある。全てをセルフプロデュースで完結する全能性こそ、Z世代ならではの特徴であると言えるのではないだろうか。
Mega Shinnosuke
公式サイト
https://megashinnosuke.com/
Youtube
https://www.youtube.com/channel/UCxO9YksWfTANICZoP0RVjOA
https://twitter.com/megashinnosuke
https://www.instagram.com/megashinnosuke/
yonawo
yonawo – 矜羯羅がる【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
続いてピックアップするのは、いまやZ世代を代表する1組と言っても過言ではないバンド・yonawo(ヨナヲ)。
荒谷翔大(vo.)、田中慧(ba.)、斉藤雄哉(gt.)、野元喬文(dr.)の4人で17年に結成された同バンドは、自主制作のEP『ijo』『SHRIMP』から人気に火がつき、19年には、ワーナーミュージックジャパン傘下のレーベル・Atlantic Japanからメジャーデビューを果たした。
その後、ミニアルバム『LOBSTER』のリリース(20年4月)を契機に、yonawoの名前はたちまち全国規模に。同アルバムのリードトラック『矜羯羅がる』(こんがらがる)のMVは20年12月現在、40万回以上も再生されている。彼らの公式YouTubeチャンネルの登録者数は、約2万人。その20倍以上のリスナーがMVを再生しているというのだから驚きだ。
yonawo
公式サイト
https://yonawo.com/
Youtube
https://www.youtube.com/c/yonawo
https://twitter.com/yonawo_jp
https://www.instagram.com/yonawo.jp/
映秀。
映秀。「東京散歩」Music Video
また「Z世代の注目アーティスト」という括りならば、映秀。(エイシュウ)の名前も外せない。高校生の頃から自身で作詞作曲をはじめ、現在(2020年)も大学生活と音楽活動を両立する彼。
彼の名前が広まったのは「ジェラfeat.映秀。」のYoutubeチャンネル。友人であるジェラとの共同Youtubeチャンネルでは、映秀。が歌う横で、ジェラが漫画を読んだりスマホをいじったり……自由に過ごすという、一風変わった弾き語りカバー動画がアップされている。その青春感と映秀。の歌声が「エモい」と話題に。その後、2020年3月には「映秀。」として『東京散歩』、『Sirius』、『Bad Beautiful Love』のオリジナル楽曲を3週連続リリース。ジャンルレスな新しい才能として注目を集めている。
映秀。
公式サイト
https://eisyu0317.com/
Youtube
https://www.youtube.com/channel/UCtHqD5chQk_SrMa9hnyWS8g
https://twitter.com/eisyu0317
https://www.instagram.com/eisyu0317/
このほか、ヒップホップを主戦場にするシンガーソングライター兼トラックメイカーのMom(マム)や、1999年生まれの気鋭クリエイター・okkaaa(おっかー)などの存在も注目を集める。どちらも音楽のみならず、アートワークや映像の制作、ライター/フォトグラファーとしての活動など、マルチチャネルでの活躍が目立つ逸材。
どのような知識や経験も、インターネットを通じてスムーズに手に入れてきたこの世代のアーティストたち。彼らの全能性・柔軟性・幅広さは、私たちの想像が遠く及ばない次元にあるのかもしれない。
Z世代の中でも唯一無二の個性を放つ「生活は忘れて」
そんな才能溢れるZ世代アーティストの中でも、ひときわ存在感を示す1人のアーティストがいる。それが今筆者が注目するYouTube発のシンガーソングライター、生活は忘れて。
誰もが“生活”の中で感じたことのある言葉にできない感覚を、「透明感のある声」「卓越したギタープレイ」「アンニュイな雰囲気」で多様に表現する彼は、活動開始から間もないながら、シーンの動向に敏感なリスナーたちの支持を獲得し、大きな反響を呼んでいる。
彼のフィルターを通せば、オリジナルからカバーまで、どのような楽曲も「独特の手触り」をまとい、そこに当たり前にあったかのような心地よい温度で耳へと届く。
東京フラッシュ/Vaundy 弾き語り covered by 生活は忘れて
生活は忘れて – 素肌 (Official Lyric Video)
例えるならば、地方都市、コンクリートの壁に囲まれた街で聞こえてくる静かな雨音のような音楽だ。そのどこか寂しげで憂鬱な雰囲気は、一度聴いた人間の心を惹きつけて離さない。“スタイリッシュさ”が先行する昨今のトレンドの中、それとは決別したアプローチで響く彼の言葉と音は、多くの才能が生まれているZ世代の中でも唯一無二の個性を放っている。
そんな「生活は忘れて」は本日12月16日、最新シングルとなる『浅めの夜で』を発表した。前作『綺麗なものだけ』以来、約3か月ぶりのリリースとなる同曲は、軽やかなテンポ、きらびやかなバンドアンサンブルの中に佇む、あたたかみのある彼の声とメロディライン、後ろ向きな気持ちにそっと寄り添う歌詞が印象的なポップチューンだ。
浅めの夜で (Official Music Video)
誰もが持っているネガティブな感情と、「このままではダメだ」という気持ち。それらをただ暗いままではなく、次のステップに向かえるような朗らかさとともに表現した。1日にあったさまざまな出来事を回想する、夕暮れから夜にかけての時間――“浅めの夜”にぴったりな楽曲となっているのではないだろうか。
生活は忘れて
Youtube
https://www.youtube.com/channel/UCUnTaSLig7XgJX7L_it3dWg
https://twitter.com/seikatsu_wasure
https://www.instagram.com/seikatsu_wasure/
これまでメジャーレーベルやCDショップ、マスメディアを中心に形成されてきたトレンドも、徐々にSNSやYouTube、各種ストリーミングといったバイラルメディアへと舞台を移している今。2020年代の音楽シーンは、Z世代の才能たちによって担われていくに違いない。
“デジタルネイティブ”なアーティストの活躍が当たり前となった時代に、私たちはどこからシーンの今を探っていくのか。「Mega Shinnosuke」「yonawo」「映秀。」「Mom」「okkaaa」、そして「生活は忘れて」。彼らの台頭の起点となった場所から、あたらしい音楽を再発掘してみるのも良いかもしれない。ひと通り探し終えたとき、彼らの魅力を再確認するはずだ。
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