結成11年目のオルタナティブバンド「THE NOVEMBERS(ザ ノーベンバーズ)」は、今年秋に6作品目となるフルアルバムをリリースする事を発表した。
THE NOVEMBERSのじっとりとした雨上がりの中にいるようで、繊細かつ前衛的な音楽性は唯一無二。バンド結成11年目のノベンバの名曲をフルアルバム発売前に確認してみようと思う。
繊細な強さ、美しさを音楽で表現する「THE NOVEMBERS」
Vo.小林祐介/Ga.ケンゴマツモト/Ba.高松浩文/Dr.吉木諒祐からなる4人組オルタナバンドTHE NOVEMBERSはファンの間で「ノベンバ」との愛称で親しまれている。消え入るかのようなVo小林の歌声に、繊細に紡ぎ出された音。この絶妙なアンバランスさは音楽好きも唸るオルタナティブロックだ。彼らのライブでオープニング曲としてよく歌われる「彼岸で散る青」はファンの間でもTHE NOVEMBERSらしい曲だ! と定評がある。「彼岸で散る青」では無機質さと不穏さの中にVo小林のギリギリ過ぎる歌声。サイケデリックな要素も強いこの楽曲は、一度聴くと頭の中で無限ループしてしまう。音の中にある美しさが「希望」で、不協和音が「不安」といった所だろうか? 交互にやってくる波はまるで人の情緒のようだ。(良い意味で不安定な方の…)聴いた後に押し寄せる寂しさや、やり切れなさがなんだか溜まらない一曲でもある。
土屋昌巳のプロデュースにより新たなる世界へと…
土屋昌巳をプロデューサーに携え、2015年10月にリリースされた「Elegance」はTHE NOVEMBERSの新境地ともいえる一枚となった。ジャケットは手の温度などにより温められると、デザインが浮き出す、体温変化仕様。リードトラックともいえる「きれいな海へ」のMVは「Father side」と「Mother side」の2本が公開され、スマートフォン2代を並べて同時再生する事により、さらに映像が楽しめるといった五感すべてで楽しめる作品となっている。今までの作品と比べても「洗礼」された「美しさ」が浮き彫りとなった「Elegance」は全6曲入り。固定観念の中にある美しさより、直感で捉えた美しさを重視しているように感じるTHE NOVEMBERS。彼らの表現する世界観はわかりにくいかもしれないが…美しさだけは直感的に感じ取れる。そして「わかりにくさ」こそが、今の音楽シーンに足りない部分なのかもしれない。
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