2008年神戸で結成されたバンドグループ・踊ってばかりの国。2010年には『FUJI ROCK FESTIVAL』や『RUSH BALL』といった大型フェスに出演するなど、活動が目覚ましかった。しかし2012年、ベース脱退がきっかけに活動休止。翌年、メンバーを改め、現体制で活動再開。紆余曲折はあったものの、他に見ない不思議なパフォーマンスに、ファンの方は大盛り上がり。一体あの独特なパフォーマンスはどこから影響を受けたのか。Vo/Gtを担当する下津光史(しもつこうじ)が語る音楽ルーツを探ってみた。
「小馬鹿にされる音楽を意識して」頑張ってる感は出したくない
下津は父親の影響から、古い洋楽を日常的に聴いていた。特に70年代のサーファーっぽい曲は好きになるほど聴いたと言う。そのせいか、現在の持ち楽曲も今どきというよりは、どちらかというと70年代に近い音色が目立つ。ハイテンションというよりも、ブルースという感じだろう。
そんな古い洋楽の影響を受けている”踊ってばかりの国”だが、下津はロックバンドを次のように考えている。
「ロックバンドはアホで(ステージを)おりたい」と。
どうも、頑張っている感じを出すのが、そもそもロックと思えず、歌詞に深い意味合いを持たせるのが気にくわないと考えているとか。「歌は意味じゃなく、ソウル(魂)で語りたい」と思っているのが下津なのだ。
確かに、踊ってばかりの国の曲を聴くと、ひたすら繰り返す歌詞が見受けられる。だけど言い方が情熱的だからこそ、それ以上の意味が感じ取れるような。そういった音楽的な見せ方が、””踊ってばかりの国””の音楽的ルーツなのだろう。
誰もが触れて来なかった、危険な領域にも踏み込む”姿勢”
踊ってばかりの国の曲を聴いていると、やけに「死ぬ」だの物騒な言葉が見受けられる。
それには、何もただ「死ぬ」という言葉を使いたいわけではなく、ちゃんとした意味がある。
まず音楽的な面から見ると、なまるいサウンドに酷な言葉を乗せることで、ぐちゃぐちゃと混ざり合い、良い意味で”混沌”とした歌に仕上げることが出来るのだ。
次に、下津の音楽的ルーツが深く影響しているとも考えられる。下津は以前、インタビューで「言いたいことが言えなくなるのが嫌」と語っており、とにかく自分が思っていることは書きたい主義なのだとか中でも『人間の死』というのは普段考えないことだが、皆どこかで不安に思っている。それの皆が密かに思っていることを改めて行ってくれたのが下津なのである。
ここで改めて聴いてみると、”踊ってばかりの国”の音楽が何だかエモーショナルに聴こえてこないだろうか。このグループはまさにその魂に訴えかける感じが最高なのだ。
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