2012年から活動の幅を広げたHomecomings(ホームカミングス)。女の子3人、男の子1人というちょっと変わった4ピースである。音楽的には、980年代に流行ったアノラックサウンドを基調とした、まったり演奏が特徴だ。このバンドの一押しポイントは何といっても、その今では珍しいサウンド。そして海外に準拠した英詩にあるだろう。そんなアノラック調であるHomecomingsの曲を聞きながら、その良さを見ていきたいと思う。
テクニックでは見せない。ホムカミが”音楽”で見せる1曲「HURTS」
時代が進むにつれ音楽業界全体の技術が上がり、いかに『上手いか』を見せる時代になった。そこにおいて、こういったまったりサウンドは実に冒険的である。
思い返してみれば、アノラックサウンドを作り上げたザ・パステルズというのは、まさにそういった「技術は無くても良い音楽は作れる」という考えをしていた。今になって、Homecomingsはその考えを掘り起こしたと言うことだ。
もう一度曲に戻ってみよう。ギターサウンドを聞くと、そのシンプルさに気づけないだろうか。2小節や4小節にわたって同じコード進行をしている。エレキギターなのに、まるでフォークソングを弾き語っているようだ。また、あえて英詩にすることで、曲だけに集中させようとしている。まさに『音楽で見せる』というのはこういうことなのかと痛感させられる1曲ではないだろうか。
前向きになりたい時に聞いてほしい、そんな元気ソング「GREAT ESCAPE」
これまたHURTSに続き、何の難しいテクニックを入れていないナンバー。スッキリとしたメロディーライン。そしてそこに乗っかる、何のクセもないボーカルが実に気持ち良い。この曲はザ・パステルズという感じではなく、どちらかというとシンディー・ローパーを彷彿とさせるサウンドが特徴だろう。
また、全曲通して言えることなのだが、8ビートを大事にしている事にも注目したい。この感じは、80年代より少しだけ先。まさしく90年代のイギリスロックバンドを連想させるリズム進行である。だが、ハイハットの偶数打目を若干前にずらすことで、まるでスキップしたくなるようなサウンドを作り出している。これが元気ソングの源なのかもしれない。
このように、Homecomingsにはテクニックではなく、音楽というものを使って視聴者に訴えかける何かがある。こういった感覚をもっと楽しみたいのであれば、是非、店頭でCDを手に取ってみてはいかがだろうか。
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