前回から続いての京都・奈良編。
まずは京都で、朝ごはん。
京都のモーニング
「イノダコーヒ本店」
朝9時に「イノダコーヒ本店」へ向かう。清々しい京都の朝。
昭和な喫茶店や最近では町家を改装したおしゃれなカフェなど、京都の朝ごはん事情はかなりの充実具合ですが、そんな京都の数あるモーニングの中から紹介するのは、とびきり贅沢な空間でモーニング。
高級ホテルのレストランじゃなくて、こちら、イノダコーヒの本店です。
大きな2階建て、中庭付きの格式高い昭和の洋式ホテルのロビーのような喫茶室。
はイノダコーヒならではの昭和の洋式インテリアを用いた空間を見るだけでも一見の価値ありです!
吹き抜けの高い天井と二階部分へ続く螺旋階段。
大きな壁一面のガラスの外はお庭になっていて、こちらのテラス部分でも食事ができるようになっています。
直線と曲線で構築された内装はどこを切り取っても画になる、本当に秀逸な空間です。
店舗によって外観や内装が違っているので各店舗を回ってみる楽しみも。イノダコーヒ本店は町家の雰囲気に溶け込んだ佇まいですが、老舗レストランのようなレトロな空間です。
大きな丸テーブルがあり、そこで優雅にパリの街角のカフェでモーニングをしているような朝食をいただきます。
周りを見渡せば、ギャルソンスタイルの正装をしたスタッフがとても丁寧な案内をしていたり、毎日の日課なのだろう、身だしなみも綺麗な初老男性が新聞を読んでいたり、京都の朝の風景を感じることができます。
コーヒーにも幾つものイノダ式こだわりが。
ミルク、砂糖が入っていたりする創業当時から変わらないネルドリップ式で淹れるコーヒーはしっかりとした味わい。
サードウェーブなコーヒーとは違う、歴史を感じるコーヒーの味を楽しんでいただけます。
イノダコーヒ本店
住所 〒604-8118 京都市中京区堺町通三条下ル道祐町140
営業時間 7:00~19:00
定休日 年中無休
TEL 075-221-0507
URL: https://www.inoda-coffee.co.jp/
京都から奈良へ向かう
この後、今回の関西ツアーの大本命の奈良県へと向かうのですが、みんなは、天川村のことををご存知だろうか。
奈良県天川村
天空に最も近い場所、天川村、この特別な地に足を踏み入れることは許された人だけという謂れもある不思議な村。
天の川というのは、この天川村が由来となっているという説もアリ。これから綴る内容は、天川村を観光地として訪れてほしいから記事にするのではないんです。
この村に何かを求めて訪れる人々に、この地がもつ大自然の特別なパワーを使って 作り、癒し、祈る、山奥で逞しく生きる1人の女性を知ってほしい。
天川村を訪れる前日から、私に起こった不思議や縁は、今思うと、まるでこの土地に引き寄せられるようでした。なんでそんな事を思うのかと言うと、天川村の話をすると、「そこにたどり着けるのか」という話が絶対に浮上するんです。本当にあるんですね、呼ばれた者だけが入れる村。
道中で豪雨にあい、泣く泣く引き返した人。
車のナビが壊れた話、交通機関でさえも交通トラブルで電車遅延で目的の時間に辿り着けず諦めた話…
天川村に行く事が決まってから、話を聞く人聞く人、驚くくらい辿り着けない話を聞きました。笑
不安でしかない私の身にも、道中トラブルは起きました。
借りたレンタカーは予約していた車種とは違い、ナビは変な道ばかりを案内するし、高速道路の真ん中に大きな長靴?が置かれてたのは、特に不安でしかなかったなあ。笑
私の目的地は天川村の奥地、洞川という地の「天川 空」という場所。
空さんは、カフェとして運営されているが、カフェと一言で収めようとするといろいろ違う。ぴったりの日本語が存在しないお店だから、カフェと総称している感じで、ここは唯一無二。私は空さんでの経験をきっと忘れる事はない。
天川 空にたどり着く
空にたどり着いたのは、予定からかなり押してしまって(なんとか辿り着けたー!)だったが、まずは昼食をいただきます。
立花啓緒(ひろお)さん、天川 空 の主人。
啓緒さん手作りのカレーランチは、この地で採れた食材をふんだんに使ったサラダ、お味噌汁、焼き野菜がたくさんのったカレーともちもちの酵素玄米のごはん。自家製葛プリンのデザート。どれも身体に滲みわたる優しい味でした。
そして、冷たいお水が最高に美味しかった。美味しいお水と、清らかな空気をたくさん吸って育った野菜で作られるご飯、東京に住んでいるとね、食べたくても食べられないです。
食事をとりながら、啓緒さんから天川のお話を伺うことに。
天川村には神社があります。天河神社。芸能にご利益がある神社として有名で今ではかなり観光地としても人気スポットになっているそう。
天川村の奥地、洞川。洞川温泉という温泉街になっている知る人ぞ知る温泉街。
天川村の最近について、啓緒さんがおっしゃっていたのは、
「昔々はとても神聖な場所だった」ということ。
空 の在る洞川に漂う空気には、天川村本来の姿がしっかり残っていました。
人の出入りが少ないからこそ保たれる静寂と清らかさ。
神聖な領域には人の出入りは少なく、だからこそ孤高の荘厳さを保ち続ける事ができる。
昔々はそうだった。じゃあ、今は?
県から派遣された開拓者が観光地化するべく計画を進行し、村は交通整理化された。助成金が送り込まれ古いものは新しく、綺麗になっていった。彼女は正しいとは言い難い形で変化していっているのではないかと感じている。啓緒さんは天川神社へはほとんど足が遠のいてしまったという。
天川を慈愛しているからこそなのだと思う、変わってしまったと話す彼女は寂しげな表情でした。天河神社が観光地化されたことで、天川という地の小さな洞穴のような入りづらい入り口は、沢山の人が出入りする遊園地のように、誘うようなイベント広告と芸能ご利益の噂によって、ミーハーな観光スポット化していっている。
それは、本来の形を失うことでもあるのかもしれません。
天川神社
洞川・温泉街
立花啓緒さんのはなし。
啓緒さんは一度、天川を離れて暮らした時期があって、ヒーリング音楽、歌、舞や芸事など、自分の探し求めるものが生まれ育ったここにあると再確認して、18年前に戻ってきました。
外から天川村に住みたい!とやってくる人はいるのかを尋ねてみました。
大峰山の麓の聖なる気を受けた自然豊かな天川での暮らしに憧れを持つ人は少なくないはず。
1人、天川村に住んでこの地の気を受けながら写真を撮りたいと言ってやってきたカメラマンがいたが、住民との関係を上手く築くことができず、結果、長くは居座れなかったそう。
土地の人々に深く根付く仲間意識、思想の幅は狭く、他を受け容れづらい思考。中で生きていると見えなくなるものもある。
そういった偏った思想は、天川村だけでなく、あらゆる集合体で起こりうることだし、きっと不思議なことではない、とも思うんです。
啓緒さんには、出ていってしまったカメラマンの言い分、一度天川から外に出たからこそ分かることがあった。啓緒さんは洞川の、少し離れた所に一人でいます。自分らしく自分の軸を根付く為に。彼女は、天川村に右に倣えをするために戻ってきた訳ではないからです。
洞川 空のお店の背には「大峰山」があり、大峰山には世界遺産登録された大峰山寺と鍾乳洞がある。大峰山は、日本で唯一の女人禁制の山。お寺と宿坊があり、修行の為に山籠りする修行僧が多く訪れる地だと言います。山で暮らす行者さんは、昔からの事を生業として生活します。田畑を耕し薬草を育て、鉱物を採取する、煎じて薬として人を慰める、春夏秋と昔ながらの生活と生業をして過ごし、冬は放浪旅に出る。
啓緒さんは、大峰山の麓にある鍾乳洞で年に一度、エネルギーの音、シンギングボールのレコーディングをして30分程に収録したアルバムを2枚出している。食事中にBGMとして流されていました。
洞窟内独特の音色は余韻が深い。とても落ち着くような心地よさと、真逆の落ち着かないようなざわざわさせる不安定さの和音。現実世界とは別に一つ世界があって、その世界では通常の時間の速さとは別の時間軸があるような。
「今だから録れる音があるんですよね。残しておかなくちゃね。」
その言葉は、彼女が自分の役目だと言っているようでした。
シンギングボール体験
食事を終えたあと、約1時間程のシンギングボールのセラピーを体験しました。
シンギングボール(singing bowl)とはチベット密教で使われる伝統法具。
このチベタンシンギングボールを奏でるヒーリングバイブレーションセラピーが、ここでは行われています。
両手の平でボールの奏でる音色の振動を受けることからスタート。
寒い季節だったので、音色が身体に入るとぽわーっと温まっていくのを感じて、
そのまま啓緒さんの演奏はスタートしていったのだけど、実は私はあまり覚えていないです。起きていた気もするけど眠っていた気も…
しっかり頭が働き出したのは終わりのほうで、また最初と同じ両手のひらでボールの音色を感じるところからしっかり覚えていて、途中の大半は頭の片隅で音がしていて、夢見心地でした。笑
終わった後の私はとてもスッキリした顔をしていたみたいです。
結局、自分自身だ。外に求めず内から、アイデンティティを探し続けた、啓緒さんの到達地点は 天川 空 だった。
ここでは、今では感じることが難しくなった天川のもつ本来の気を吸うことが出来きます。
大峯を背に今まだ残る天川の聖気を守る。
今回のセラピーセッションを通して感じた啓緒さんの強い芯のある人柄はカッコ良くて、その生き方は簡単に真似できるようなものではないけれどとても憧れました。
空 では、シンギングボールによるセラピーを定期イベントとして行っていて、ワークショップも合わせて開催されています。詳しくは、天川 空のサイトをご覧下さい。
天川 空
住所 〒638-0431 奈良県吉野郡天川村洞川340−3
営業時間 10:00~21:00(LO)
定休日 不定休
TEL 0747-64-0280
URL: https://www.koo-tenkawa.com/
「天川 空」は通常、雑貨屋さんとカフェとして営まれています。
雑貨屋さんのスペースでは、啓緒さん手織りの生地、手染めの生地を使って作られたグッズや、大峯山のパワーを宿す鉱物のアクセサリーなど、全て一点一点手づくりしたものを販売されています。一つ、一つ、色も違う、大きさも違う、表情が違う、二個とないものづくりはどれも素敵なものばかりです。
衣 食 音 の空間 天川 空 さん。
立花 啓緒さん。
とても温かくて、そして強い芯を持った天川への想いで溢れた人。
自分の故郷をこんなに愛しながら生活する暮らし、本当に素敵でした。
纏う衣装は、啓緒さんが織った生地で娘さんが作られたもの。
人の為に何かをすることってどれくらいありますか?
月に一度のコラムを綴ることは、私にとって自分にできる、人の為にする行為でもあります。
その内容は文章力もまだまだで、小さいことや大きいことなどボリュームもその時によって違いすぎる、わがままコラムですが、誰かの為にできることがあるって、幸せだなあと思うんです。
第4回目を綴るのにあたり、すごく感じたことなので言葉にしました。
天川の空気を本当に必要とする人が、このコラムをよんで 空さん にきっと辿り着けますように。それだけを思う一心で纏めたこのコラム。(ながーい、、)読んでいただきありがとうございました。
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