MARU TOのこと
前回に引き続き、今回はもう少し詳しく自己紹介から始めます。よろしくお願いします。
私は「MARU TO」という自身のワークウエアブランドを2年前に立ち上げました。
デザイナーをしています。
MARU TOのMARUはマル印のマル。花マルじゃなくてもいい、ちっちゃなマルでもいい。”〇〇へマル印を”という想いを込めました。
普段は洋服にその想いを込めて、服作りを通して、私のフィルターを通した価値観をお届けしています。根本にある作業服としての概念は壊さずに。素材の耐久性と着心地への追求を軸に、時代の気分をエッセンスにして作業服を発信しています。
洋服作りで何かを発信している私が、ここでは不慣れではありながらも文字を通して、私にとっての「マル」な街の表情をご紹介していきます。
浅草
今回、ご紹介に選んだ街は浅草・合羽橋。
この街は伝統と革新が織り交ざった感覚を私は感じるんです。
その中でも私はこの街にしっかりと息づいている古き良き街文化が好きみたいで。
アンティーク。骨董品。決して古いだけの実際の役には立たない時代遅れのものではありません。
街も機能化され便利になっていきます。しかし、何もかもがなかったことのように新しくなることは無いです。
昔のまま存在し続ける一方で、時間の風化の中で時代の気分を堆積していきながら、ゆっくりと移ろいゆく街としての存在に、今回のコラムでは文章と写真をフォーカスしていきます。
変わらないモノ。変わっていくモノ。
昔と今があるとして。
私は、その移ろいの中に垣間見ることができる、真新しく新鮮なようでいて、どこか懐かしくほっこりする「マル」な想いを感じる瞬間があるのがこの浅草という街の魅力であり、そのふとした街の表情を私のフィルターを通して少しでもあなたにもお伝えできたらと思って、この文章を書いていきます。
「亀十 どら焼き」
いきなり食べ物ですみません。
しかし旅に欠かせないのが食。胃袋を掴む街は嫌いになれません。憎いやつです。
この街のこのお店のどら焼きは、家にドラえもんが居ようが居まいが関係ないのです。
最近ではパンケーキでガールズトークなんてことを耳にします。ですがあえて私はこのどら焼きを片手に浅草巡りをする女子会ならぬ女子旅を提案します。
まさに生地はパンケーキのようなふわっふわ。あんは甘さ控えめの粒がたったしっかり粒あん、しとしと脳に届く糖分は血糖値の上昇が緩やかなのを感じます。もちろん血糖値なんて計ってません。なんとなく勘です。
いずれにせよ私のどら焼きの概念を覆されました。優しく触らないと潰れちゃうほど儚い存在。どら焼きのイメージが変わった瞬間です。
けれど決してまったく新しいものではないんです。型破りなどら焼きではあっても型無しじゃない。きちんと伝統が息づいている。その中で感じる新しさをぜひ味わってほしい。こんなにもどら焼きをおすすめする私は何なんでしょう。
亀十のどら焼きはお土産ではなく、スマホを持っている片手をどら焼きに是非持ちかえてみてください。
そんな食べ歩き浅草散策をおすすめします。
お店は浅草寺雷門の通りを挟んで向かい側です。平日でも行列になる、浅草土産の人気店。生菓子や焼き菓子いろいろあります。その中でもどら焼きが名物なので、浅草を訪れる際にはまずどら焼きを片手に持つところからはじめませんか?◯
亀十
住所:東京都台東区雷門2丁目2−18−11
電話:03-3841-2210
営業:10時~20時30分
URL: https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131102/13003655/
「浅草寺」
夕暮れ時の浅草寺。下町の哀愁という言葉では表せません。この移ろいがまるでインスタレーションのようなアートなんです。どら焼きに胃袋を掴まれたあとは、この場所の街の表情の変化に心を奪われてしまった。◯
美味しいどら焼き片手に、胃袋も掴まれて、浅草寺の夕暮れの表情に心も奪われて、その後訪れた浅草寺での写真素材の少なさ。ごめんなさい。
合羽橋
次は特に好きな場所、合羽橋を紹介します。
合羽橋は道具街としての顔があります。私にとっては道具の聖地であり、フェチズムを感じる街であり、大好きな街なのです。そう、今回2回目の何を隠そう、私、手仕事を感じる道具に目が無いんです。
ニイミ
私が合羽橋に来たら必ず立ち寄るお店です。
菊屋橋交差点角にある屋上の巨大なコック像「ジャンボコック」が目印です。
飲食店向けの食器、キッチン雑貨の品揃えが豊富なお店。
家で女子会を開くときに使えそうなおしゃれなものはありません。
普段通っている飲食店で見かけるテーブルチャイムやナプキンたてなど、使い道がなくても何か可愛くて収集したくなるようなアイテムばかりでワクワクします。私のフェチズムをくすぐるお店。本当はあまり紹介したくない、私の二重マルなお店。◎
ニイミ
住所:東京都台東区松が谷 1-1-1
TEL:03-3842-0213
営業時間:10時~17時30分
定休日:日曜日
SEVEN UNIFORM
飲食店の業務用制服を販売するお店です。小売もしてくれます。
私は自身でワークウエアのブランドを立ち上げるほどのワークウエアフェチです。唯一の趣味です。
同時に、ワークウエアとは何か、と考えさせてくれる空間でもあります。シンプルイズベスト。まさにお手本であり、立ちかえる場所。変わらない基本がある場所です。
もし安くて丈夫なキッチンウェアを探していたらここはぜひ覗いてみてください。
もちろん制服としてのオーダーも様々な要望に対応されていて、店舗のロゴのプリントや刺繍など、専門のアドバイザーの方に相談しながらオリジナルの制服も注文できます。◯
SEVEN UNIFORM
住所:東京都台東区西浅草 1-5-17
TEL:03-3842-2984
営業時間:10時~18時
定休日:日曜日・祝祭日
URL:http://www.seven-shop.jp
浅草の休息地
アンヂェラス
昭和21年創業の浅草の老舗の喫茶店。
池波正太郎さんや手塚治虫さんといった有名文筆家も愛した喫茶店です。
ダッチコーヒーを日本で最初に取り入れた喫茶店でもあります。
看板ケーキはお店の名前がついた アンヂェラス。
チョコでコーティングされた小さな可愛いロールケーキです。
とても残念なお知らせなのですが、喫茶アンヂェラスは3月17日に建物の老朽化で閉店されました。70年の歴史に幕が閉じました。
昭和の純喫茶らしい小ぶりな愛らしいケーキたちが並んだショーケースの風景は少しずつ見れなくなっていくのかもしれないですね。
けれどそこに確かにあった記録や記憶は消せないものです。残念なことも視点を変えれば素敵な思い出に変わる。◯
アンヂェラス
閉店しました。
URL: http://www.asakusa-angelus.com/
さて、今回は浅草・合羽橋をご紹介しました。
私のフィルターを通して、変わらないものと変わっていくものをテーマに書きました。この街の中で、わずかでしたがご紹介させていただきました場所や文章に、なにか共感を得られた方はぜひ足を運んでみてください。
このコラムと変わらない感覚もあれば変わる感覚もあるはずです。
そこにはきっとあなたのフィルターを通した、あなただけの街の「◯」な表情が見つかりますように。
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