「もういっかい!!」どころか、何度でも聴きたい大塚 愛のオールタイムベスト。名曲をエピソードとともに解説!
2019年でデビュー15周年を迎える大塚 愛。元日には31曲を自己セレクトしたオールタイムベストアルバム『愛 am BEST, too』をリリースし、ますます意欲的な活動を見せている。
>>『愛 am BEST, too』特設サイトでは大塚 愛の楽曲が身近な存在であり続けていることから収録曲をコンビニの商品になぞらえて紹介するなど遊び心に満ちた仕掛けも。
あらためて収録曲をみてみると、時代を象徴する大ヒット曲が多くおさめられていることはもちろん、これらの楽曲が15年間、流行り廃りとは関係なく長く愛され、広く聴かれてきたということがわかる。
音楽も社会も、この15年間であらゆるものが急速にドラスティックに変化してきた。そうした時の洗礼を受けてもなお、堂々とポップスのど真ん中で鳴り続ける大塚 愛の音楽は、平成が終わるいまだからこそもう一度、評価されるべきものである。
そこで、大塚 愛の代表曲にはどんなものがあったか、不朽の名曲を6曲だけ厳選し、振り返りたい。
大塚 愛を「もういっかい!!」いや、何度でも。
『さくらんぼ』(’03)
(大塚 愛『さくらんぼ』MV)
2003年にリリースされた2ndシングル『さくらんぼ』。彼女の名を一気に世に知らしめた楽曲であり、国民的ポップソングとして広く愛されている名曲中の名曲。
それにしても、これほどキュートな曲が、やがて高校野球の応援歌・チャンステーマの定番曲になると当時誰が予想しただろうか?
記録としては、史上初の着うた100万ダウンロードや第46回日本レコード大賞最優秀新人賞受賞、初の紅白歌合戦出場など、非常に華々しいものがある。しかし何より重要なのは、一時の流行ではなく「オールタイムベスト」として、多くの日本人にとって聴かれ、歌われ続ける楽曲になったということだ。
2000年代に青春を過ごしていた人ならば男女問わず、カラオケで何度もこの曲を歌い、聴き、盛り上がっただろう。2019年1月19日に放送された『ミュージックステーション』では、嵐の櫻井翔が、大学時代に友人とカラオケで『さくらんぼ』を歌う際、いつも「もういっかい!!」の担当だったというエピソードも明かされた。
この2月には、15年の時を経て7インチアナログ盤がリリースされることに。リリース前の時点ですでにアナログとしては異例の受注が入っているとのこと。
さらに今週末2月1日(金)のミュージックステーション3時間SPで「さくらんぼ」を歌うことが発表された。超必見!
なお、ファンのあいだでは有名な話だが、大塚 愛はさくらんぼが苦手で、食べられない。
『Happy Days』(’04)
(大塚 愛『Happy Days』MV)
カラオケでの定番といえば、4thシングル『Happy Days』も定番曲だろう。『さくらんぼ』のテンション感をさらに爆発させたような曲で、聴くと元気になる。
MVではマイクではなく拡声器を通して歌っており、ボーカルの多くの部分にフィルターがかかっている。『さくらんぼ』と同じく、デビューして間もない大塚 愛の若さ全開!といった感じのMVである。大塚 愛作品は初期から、楽曲だけではなくMVも印象的で記憶に残るものが多い。
冷静になって音だけ聴くと、完全にハードロック。ゴリゴリしたベース、分厚いツインギター、力強いドラム。これはまるで、1990年代のX JAPANかLUNA SEAではないか……?
しかしハードロックのイメージがそれほど強くないのは、キュートな歌声とコミカルな歌詞、ツッコミや合いの手を入れやすい構成、そして何よりも、強烈すぎる大塚 愛の存在感のせいだ。
デビュー当時から、どんな音でも彼女が歌うと、それはぜんぶ「大塚 愛の曲」になってしまうのだった。
『黒毛和牛上塩タン焼680円』(’05)
(大塚 愛『黒毛和牛上塩タン焼680円』MV)
先に紹介した2曲とはだいぶ印象の異なる、バンドサウンドをベースにしたバラード曲『黒毛和牛上塩タン焼680円』。
ちょっとタイトルに驚くが、もちろんこれは焼肉の歌ではない。焼肉はあくまでメタファー(比喩)であり、歌われているのは「ベッドの上」の大人の恋愛のことなのだ。
非常にキワドイ歌詞で、リリース当時は一部から「過激だ」とも言われた。引用はしないが、ぜひ歌詞を読みながら聴いてほしい。めちゃくちゃ直接書いてるから。
この曲に代表されるように、大塚 愛の楽曲には官能的な作品がいくつかある。
なお、当時のMVをリバイバルした本人のツイートも先日、話題になったばかり。
黒毛和牛上塩タン焼き680円
リバイバル
は
曲のモデルになった
焼肉のてにてAIO pic.twitter.com/P0ugnnhs7H
— 大塚 愛 (@ai_otsuka99) January 18, 2019
『プラネタリウム』(’05)
(大塚 愛『プラネタリウム』MV)
『さくらんぼ』に次ぐ代表曲として多くの人が親しんでいる大塚 愛の楽曲といえば、この『プラネタリウム』だろう。
『関ジャム〜完全燃SHOW』(2018年3月11日)でのセッションで大きな話題を呼んだこともまだ記憶に新しいが、同年の『FNS歌謡祭』(2018年12月12日)でサビ前の歌詞を間違えてしまったことが大きな話題に。そして放送後の本人のツイートがさらなる反響を生んだ。
冬なのか夏の終わりなのか
公園なのかフジテレビなのかあの星座が、
なんだかわけわからなくなってしまい、
申し訳ありませんでした🙇♀️🙇♀️🙇♀️あの星座なんだか覚えてる?
AIO pic.twitter.com/doXPbPBiKl
— 大塚 愛 (@ai_otsuka99) December 12, 2018
すみません。
ありがとうございます。緊張しすぎたので
反省は引き続き夢の中でします。おやすみなさーい⭐
AIO pic.twitter.com/5wmE40p4oH
— 大塚 愛 (@ai_otsuka99) December 12, 2018
ピアノ、パーカッション、尺八といった生楽器や本人によるコーラスがしっとりした印象を与える。
歌詞はいろいろな解釈ができるだろうが、ストレートに受け取れば「もう二度と会うことのできない大切な人」へ向けた曲だと解釈できる。
その上で、繰り返されるブレス(息遣い)を聴いていると、「あなたがいなくてもあなたの息遣いを感じる」という想いが込められているように感じないだろうか?
『SMILY』(’05)
(大塚 愛『SMILY』MV)
『さくらんぼ』『プラネタリウム』に次ぐヒット曲である『SMILY』。とにかく開放的でハッピーな曲。
合いの手を入れる箇所の多さやタンバリンの使い方など、カラオケ受けする要素が盛りだくさんなのだが、サビのキーが高くて音が長いため、歌うのが難しい曲でもある。「笑って 笑って」というサビが耳に残るが、笑って歌い続けるのは正直、大変。
MVはサイパンのマニャガハ島で撮影された。青い空と海、白い砂浜、そして黄色いTシャツ。遊びごころの強いMVではあるが、色彩感覚に優れた映像作品でもある。
『CHU-LIP』(’07)
(大塚 愛『CHU-LIP』MV)
14thシングル『CHU-LIP』は、ほとんどのライブで演奏されるキラーチューン。非常に印象的なサビの振り付けは、振付師の南流石(みなみ・さすが)によるもの。以降、大塚 愛は南流石を母親のように慕うことになる。
ライブではファンも一緒になってこの曲を踊る。大塚 愛の楽曲のなかでもっとも多様な演出がなされた楽曲であり、ウェディングver.、祭りver.、大奥ver.などがある。2010年には『ミュージックステーション』で「精子」とも取れる白い全身タイツ姿の怪しい大人数のダンサーを従えた演出がなされたことも。
というのも、『CHU-LIP』のテーマは「遺伝子のなぞ」。ダイノジが出演しているMVにも「遺伝子のなぞ」にかかわる重要なモチーフが多数見られる。『SMILY』とは違った種類の遊びごころに満ちている。
時代を越えて、今をときめかせ続けるポップソング。
以上、不朽の名作と思われる楽曲を6曲に絞って選んでみたが、もう一度この記事を書こうと思ったらまた選曲が変わってしまうだろう。それくらい名曲が多く、誰でも知っている代表曲がまだ漏れてしまっている。6曲では足りなすぎる。
今回はキャリア初期の作品だけを選んだが、もしかしたら「えっ、これって大塚 愛の曲だったの?」と思った人もいるかもしれない。にゃんこスターのネタで『さくらんぼ』を知り、彼らの歌だと思い込んでいる子どもたちも多いそうだ。
すべての世代の人々が「誰の曲かは知らないけど、聴いたことがあるし、歌える」と感じること。それぞれの世代で、思い出が紡がれて特別な音になっていくこと。ポップスのど真ん中で鳴り続けているからこそ、時代を越えてゆく大塚愛の楽曲たち。
だからこれからも、合言葉は「もういっかい!!」いや、何度でも。
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