ミーティアのプレイリスト企画、第6弾(ぐらい)! 様々なジャンルを越境しながら、隔週でお届けしております。その名も「MEETIA PLAY!」。今回はダンスミュージックを中心にラインナップを組みました。前回以前のプレイリストはコチラから。
たとえばULTRA JAPAN。今更ですが、今年のRESISTANCEステージを振り返ります。
RESISTANCEステージ、良いですよね。とても好きです。第一回目の頃から(本当に小さな規模の)巷では「メインよりもRESISTANCEだぜ!」という声がしばしば聞かれておりましたけれども、近年それがようやく実を結んでいるような気がしております。世界的に縦ノリから横ノリに回帰していて、レフトフィールドなテクノやハウスがルネサンス的に発見されていると言いますか。ニーナ・クラヴィッツも大活躍中ですしね。
Nina Kraviz – Time Warp 2018 (Full Set HiRes) – ARTE Concert
上はULTRA JAPANの映像ではありませんが、RESISTANCEステージは大体こんな感じのハードな内容のDJが続きます。ちなみにこの映像はドイツのフェス「Time Warp Festival」の模様。丸ごとRESISTANCEみたいなラインナップです。
これまでのULTRA JAPANでは、RESISTANCEステージとメインステージに明確な隔たりがありました(今も全く無いわけではないですが)。それが今年決定的に変化したと感じるのは、EDMマナーの縦ノリでテクノやハウスを聴く層が現れたことです。先述の、世界規模で起きている縦ノリから横ノリへの回帰が、ここ日本でも起き始めているわけです。しかも、ほとんどリアルタイムで。それどころか、この領域には既に石野卓球やDrunken Kong、Ken Ishiiなど、ワールドクラスの手練れがわんさか居る。ガラパゴスとは何だったのか…?
今回の「MEETIA PLAY!」では、そんなテクノとハウスの勢いにかこつけて、レイヴィーかつ硬派なプレイリストを組んでみました。ここで言う「硬派」とは軟派の対義語ではなく、音の質的な意味です。ビートがとにかく硬くて速い。
現行テクノシーンの最重要レーベル「Drumcode」
スウェーデン出身のDJ、アダム・ベイヤーが創設したレーベル「Drumcode」。恐らく、いまクラバーに「好きなレーベルは?」と聞くとかなりの確率でこの名が返ってくるでしょう。実際現場でもDrumcodeのアーティストの曲は、まーよくかかります。アダム・ベイヤーの曲はもちろん、レイトン・ギオルダニのような若手のトラックもフロア映えする。さらにはライジングスターの筆頭、シャーロット・デ・ウィットも最近このレーベルから新曲『Remember』を出しました。
テクノ発祥の地、デトロイト
「デトロイト・テクノ」というジャンル名は知られていても、かの街でテクノが生まれたことは意外と知られていません。1980年代前半、ヨーロッパ産のエレクトロニック・ミュージックに触発されたプロデューサー / DJによって、テクノは夜明けは迎えます。中でもベルヴィル・スリー(デリック・メイ、ホアン・アトキンス、ケヴィン・サンダーソン)の3人の存在は非常に大きく、その後のテクノに多大な影響を与えました。この3人がテクノそのものを作ったとする向きもあるほどです。今でも全員超レジェンド。永遠の名曲『Strings of Life』を中心にスーパーなデトロイト打線を組んだので、ぜひご賞味下さい。ちなみに筆者はロバート・フッドが大好きです。実の娘とのユニット“Floorplan”も最高。
レフトフィールドなダンスミュージックの総本山、ドイツ
ベルリンの壁崩壊後、急速に発展したドイツの音楽シーン。とりわけダンスミュージックに関しては、「LOVE PARADE」や「MAYDAY」など、歴史的なイベントが数多く開催されました。その後、伝説のクラブOstgutが生まれ、今やキング・オブ・ベニューとして君臨するBerghainの創設へと繋がってゆくわけです。スヴェン・バスのような桁違いの才能を持つDJ / プロデューサーも多く台頭してきました。Berghainは「Ostgut Ton」(もちろん名前は前身のOstgut由来)というレーベルも運営しているのですが、そこから出てくるアーティストはまず間違いないです。Phase Fataleにしろ、Somewhenにしろ、凄まじいスケールのセンスの持ち主。
四の五の言うけれど、やっぱりUKのアンダーグラウンドが一番好き①
1980年代後半、マンチェスターやリヴァプールなどの工業都市からUK全土に広がった一大センセーション「セカンド・サマー・オブ・ラブ」。社会現象として解釈されることもあるので、どこかで名前を聞いたことがある人もいると思います。ざっくり説明すると、「当時のイギリスの若者たちによる非商業主義のレイヴ(=野外パーティー)を中心としたムーブメント」のことです。その影響は今でも根強く残っており、アンダーグラウンドな音楽シーンの豊かさにおいて、UKは群を抜いております。セカンド・サマー・オブ・ラブよろしく、ロンドン以外からも“ヤベーの”が絶えず出てくる。ブリストルはその好例ですね。Massive AttackからEats Everythingまで、ジャンルは違えどシーンの最先端で活躍するアーティストを数多く輩出しています。
四の五の言うけれど、やっぱりUKのアンダーグラウンドが一番好き②
こちらでは、ややハウス寄りのアーティストをピックアップしました。Ross From Friendsやパトリック・トッピング、HAAiなど、UKの若手はハウス勢が非常にアツい。レオン・ヴァインホールは今年<Ninja Tune>から『Nothing Is Still』という大傑作をリリースし、圧倒的サウンドスケープを提示して見せましたが、彼は元来4つ打ちを得意とするアーティスト。『Nothing Is Still』のインストゥルメンタルを主体としたアンビエントは、実のところ新機軸なのであります。その事実ひとつ取っても、やはりUKは奥深いですね。
この記事でピックアップできなかったアーティストのほうが比較の余地がないほど多いので、食指が動いた皆さんはぜひこの界隈をディグってみて下さい。ジョン・ディグウィードやサシャ、マーク・ナイトにダレン・エマーソン。エース格だけでもまだまだ山ほどいます。
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