6月21日に米津玄師7th Single『ピースサイン』がリリースされる。TVアニメ「僕のヒーローアカデミア」の主題歌となっている本作だが、米津自身の「アニソン」の原体験があって生まれた曲だそう。きっとミーティア読者の共感も多いその曲とは? また、CDへの収録では初となる、自身のボカロ曲のカバーがこのタイミングでリリースされたきっかけとは? 何かと話題に尽きない米津玄師の過去、そして現在に迫る。
その曲からは逃げらないと思ったんですよね
――ニューシングル『ピースサイン』は、TVアニメ「僕のヒーローアカデミア」(以下、ヒロアカ)のオプニングテーマになっていますね。どんなイメージで制作された曲なんですか?
米津玄師(以下、米津) : 僕の時代のアニソンと言えば、「デジモンアドベンチャー」という自分の世代の金字塔的なアニメがあって。同世代の25、26才のヤツと話していると、必ずと言っていいほど「観てたよね?」って話題になるくらいの力を持った作品なんですけど、その最初のオープニングテーマだった『Butter-Fly』という曲が本当に名曲なんです。いま聴いても「デジモンアドベンチャー」のいろいろなシーンが蘇ってくるし、テレビを観ながら感じていたこと、考えていたことを思い出すんですよね。今回「僕のヒーローアカデミア」を担当することになったときも「『Butter-Fly』くらいのパワーを持った曲を作らなくちゃいけない」という思いがありました
――米津さん自身のアニソン原体験と結びついているということですか?
米津 : そうですね。『Butter-Fly』は王道のロックというか、すごくエモーショナルな曲なんです。俺のなかのアニソンといえばその曲だし、ヒロアカの主題歌に関してもある程度はそれを踏襲しようと思いました。というか、その曲からは逃げらないと思ったんですよね。人間は子供のころに見聞きしたものに頼りながら生きていくという話もあるし、実際、子供の頃に好きだったもの、嫌いだったものは、その先の人生にずっと残ってるじゃないですか。自分と『Butter-Fly』は深く結びついているし、音楽を作っている人間として、そこから離れることはできない。それは全然ネガティブではなくて、ポジティブな意味なんですけどね。
『Butter-Fly』
――なるほど。ちなみに小学生の頃の記憶はいまも色濃く残っていますか?
米津 : 残っているものが多いですね。残っていない記憶に関しては、それが存在したかどうか、自分にはわからないので。無意識に削ぎ落としてる記憶もあると思いますが、「デジモンアドベンチャー」というアニメがすごくおもしろくて、『Butter-Fly』がめちゃくちゃいい曲だったという思い出ははっきり残ってます。小学校低学年くらいかな。
――その頃がひとつの分起点なのかもしれないですね。それ以降は思春期に入っていくので。
米津 : そうですね。個人差はあると思いますけど、大抵の人間は中学生になるとスレ始めるので。(笑)だから今回『ピースサイン』を作っていたときは、まだスレはじめる前の自分は一体どうだったのか?を考えていたんですよね。
――その思考が『ピースサイン』につながったんですね。
米津 : あとは“記憶に残るような曲を作りたい”ということですね。『Butter-Fly』は自分の記憶のなかにすごく刻まれていて、自分の人格形成にも影響してるわけですけど、それと同じようなポジティブな力をいまの子供たちに残したいなと思いました。
『ピースサイン』米津玄師
ずっと聴いてくれる人のためにも作っているんですよね。
――歌詞についてですが、『Bremen』の頃の比べると「他者」の存在が浮き彫りになっているように思います。内省から他者へのメッセージに変化した印象があるのですが、アーティストとして何かスタンスの変化があったのでしょうか?
米津 : 他者と言いますか、ずっと聴いてくれる人のためにも作っているんですよね。自分のことを歌っているんだけど、それが結果として、誰かに向けられたものになったらいいなと思っているので。結局、自分のことしか歌えないんですよ。誰かのために歌おうと決めても、自分の視点を通さないと歌にはなりえないので。
『Bremen』クロスフェード
――なるほど。米津さんのインタビューや、ツイッターでの発言を読む限りでは、音楽に限らず、ご自身が何かの枠で規定されることを嫌っているように思います。ご自身が一番心地が良い状態とは、一体どのようなときなのでしょう?
米津 : まず、枠に当てはめられることを嫌がったことはないです。ジャンルというものが存在するとして、ずっとそこに自分を近づけることを考えてきたので。たとえばボカロの曲を作ってたときは、ニコニコ動画などのコミュニティがあって、そことの自分との関係性のなかで“ハチ”というものが存在していたと思うんです。いまは邦楽ロック、もっと広く言えばJ-POPということになると思いますが、その界隈と自分との関わりのなかで"米津玄師"がいると。もともと僕は、社会の一員になりたいという気持ちが強かったんですよ
――幼少の頃から?
米津 : そうですね。いちばん最初に接する社会を小学校だとすれば、そこで出会った人たち――同級生とか先生とか――に、ぜんぜん共感できなかった自分がいて、そのときに“自分ははぐれ者なのかもしれない”という自己認識が強くなったんです。だからこそ、余計に社会とながりたいと思うようになったのかなって、自分では考えてます。
最近、ハチとして作ったボカロ曲が良い意味で“過去”になってきたんです。
――3曲目の『ゆめくいしょうじょ』は、米津さんが10代のころに作った曲のリテイクだそうですが、なぜ今のタイミングでのリリースなのでしょう?最近自分で歌ってもいいと思うようになったとのことですが、ご自身ではその理由はなぜだと思われますか?
米津 : ボカロ曲のカバーはライブではやっていたんですが、音源として発表したことは1回もなかったんです。その理由はいろいろあるんですが、まず、ボカロ曲として出したものを自分で歌う必要性をまったく感じていなかったんですね。自分で歌うために作ったものではないという気持ちが強くあったというか。よく「ボカロ曲のカバーしてください」って言われてたんだけど、望まれてることはやりたくないというひねくれ精神もあったし。
でも最近、ハチとして作ったボカロ曲が良い意味で“過去”になってきたんです。この曲の歌詞のテキストファイルの写真をTwitterに上げたら、「新曲ですか?」という人がすごく多くて。この曲を知らないってことが、すごく嬉しかったんですよね。俺にとっても過去のものになりつつあったし、そもそも曲の存在自体を知らない人がこんなにいる。この曲を自分で歌って、再構築するにはちょうどいいタイミングなのかなと思ったんです。
――実際、この曲を自分で歌ってみた感触はどうでした?
米津 : まず、発表当時とはまったく違う形の曲になってるんですよ。原曲はもっと疾走感があったんだけど、今回の「ゆめくいしょうじょ」はかなりBPMを下げているので。「いま自分が歌うなら、この曲はこういう形になる」ということだと思うし、歌っていても全く違和感はありませんでしたね。たとえば1年前に歌い直していたら、もしかしたらシックリこなかったかもしれないし、アレンジ、歌のニュアンスも違ったものになったかもしれない。そういう意味でも、やっぱりこのタイミングだったんだろうなと思います。
――最後に米津さんの最近の音楽的な志向について。以前から、米津さんは音楽シーンの変化に則した曲作りをしているように思うのですが、現在リアルタイムで聴いている曲は何でしょう? この間はTwitterにThe CardigansやCaribouを挙げてらっしゃいましたが。
米津 : あ、そうですね。新しいものも聴くし古いものも聴くし、そのときのモードによるのかな。ただ、それも卵が先かニワトリが先かみたいな話で、自分のモードを変えたくて音楽を聴いてることもあるだろうし、モードが変わったことが聴く音楽に反映されていることもあると思うんです。そこは自分でもよくわからないですね。
――現行の音楽シーンのトレンドにも興味はありますか?
米津 : ありますよ。海の向こうのポップシーンで起きていることも知りたいし、音楽に限らず、いまの世の中がどう動いているかにすごく興味があるんです。社会がどんなふうに動いて、どんなところに着地するのか。そのことには関心を持ってますね。
【リリース情報】
■ ピース盤【初回限定】
SRCL-9454~9456 ¥1,900(tax out)
・CD
【CD収録曲】
M-1 ピースサイン
M-2 Neighbourhood
M-3 ゆめくいしょうじょ
M-4 ピースサイン(Instrumental)
・DVD(「僕のヒーローアカデミア」ノンクレジットオープニングムービー)
・ピースリング
■ ヒーロー盤【初回限定】
SRCL-9457 ¥1,500(tax out)
・CD(赤透明ジュエルケース仕様)
【CD収録曲】
M-1 ピースサイン
M-2 Neighbourhood
M-3 ゆめくいしょうじょ
M-4 ピースサイン(Instrumental)
・『僕のヒーローアカデミア』TCGスペシャルカード 米津玄師/ピースサインEDITION
■ 通常盤
SRCL-9458 ¥1,200(tax out)
・CD
【CD収録曲】
M-1 ピースサイン
M-2 Neighbourhood
M-3 ゆめくいしょうじょ
M-4 ピースサイン(Instrumental)
※ 初回封入特典(全形態共通)
「米津玄師 2017 TOUR / Fogbound」 チケット最速先行抽選応募シリアルナンバー封入
応募期間:2017.6.20(火)12:00~6.25(日)23:59
【ライブ情報】
米津玄師 2017 LIVE / RESCUE
7月14日(金) 東京国際フォーラム ホールA
OPEN 18:00 / START 19:00
7月15日(土) 東京国際フォーラム ホールA
OPEN 17:00 / START 18:00
米津玄師 2017 TOUR / Fogbound
2017年11月1日(水)大阪府・フェスティバルホール
2017年11月2日(木)大阪府・フェスティバルホール
2017年11月4日(土)兵庫県・神戸国際会館こくさいホール
2017年11月5日(日)兵庫県・神戸国際会館こくさいホール
2017年11月8日(水)埼玉県・大宮ソニックシティ
2017年11月9日(木)埼玉県・大宮ソニックシティ
2017年11月18日(土)徳島県・鳴門市文化会館
2017年11月19日(日)愛媛県・松山市民会館
2017年11月23日(木・祝)福岡県・福岡サンパレス
2017年11月24日(金)福岡県・福岡サンパレス
2017年11月26日(日)鹿児島県・鹿児島市民文化ホール第一
2017年11月29日(水)新潟県・新潟県民会館
2017年12月1日(金)北海道・ニトリ文化ホール
2017年12月7日(木)宮城県・仙台サンプラザホール
2017年12月9日(土)福島県・郡山市民文化センター 大ホール
2017年12月14日(木)神奈川県・パシフィコ横浜 国立大ホール
2017年12月16日(土)愛知県・名古屋国際会議場センチュリーホール
2017年12月17日(日)愛知県・名古屋国際会議場センチュリーホール
2017年12月23日(土・祝)岡山県・岡山市民会館
2017年12月24日(日)広島県・上野学園ホール
▼チケット先行
最速先行:シングル『ピースサイン』封入先行
応募期間:2017.6.20(火)12:00-6.25(日)23:59
申し込み制限:シリアルナンバー1件につき、お1人様1公演日のみ4枚までの販売
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